まくとぅーぷ

作ったお菓子のこと、読んだ本のこと、寄り道したカフェのこと。

お姉さん 30days blog♪ day27

2020-11-04 13:38:00 | 日記
欲しいものがあるとき、地べたにひっくり返って派手にアピールするタイプのこどもっているよね。
公共の場で金切り声をあげて主張するこどももいる。
わたし、どっちのタイプでもなかった。娘もそうだ。そのことについては本当に神様ありがとうと思ってる。あれはほんとうに親御さんが気の毒だなぁとおもうからね。
娘はさておき、小さい頃のわたし、そんなにあれこれ欲しがることもなかったこども時代に心から欲しかったものがひとつある。それは、お姉ちゃん。三姉妹長女の叶わぬ願いである。ちなみにいちばん下の妹は、弟がほしいといつもいってて、お人形で遊ぶときもいつもコージくんと名付けたヘルメット被って作業着のこけしみたいなのを連れ込んで来た。りかちゃんやミキちゃんマキちゃんの世界観に馴染まなすぎて、やだったんだけど。
いやコージくんのことも別にいい。お姉ちゃんだよ。それが突然叶ったのは26歳の時だった。結婚した相手に既婚のお兄さんがいたのだ。そして彼女はおよそわたしが思い描いていた『お姉ちゃん』と違うひとだった。想像の斜め上を行く面白さである。
お姉さんはひとつ上だ。これはまあまあラッキーなことである。年下の可能性だってあり得たのだから。でもやっぱりお姉さんなら上がいい。
お姉さんはとても華奢だ。多分わたしの方が大きい。そしてひっきりなしに休みなく動く。せわしなく喋る。大阪人なので話にはかならず笑いのポイントがある。そのポイントの過ぎ去るのが光より早いので、リアクションしてると置いていかれる。身ぶり手振りが大きいので、可動域にまちがって入ると危険である。それとよく、そんなわけあるかーい、という思い違いをする。こないだなんか夫は仕事辞めてミュージシャンにされそうになった。
お兄さんはこの夏から埼玉に単身赴任している。1年で大阪に戻るということになっているので、お姉さんとお子さんらは大阪の自宅に暮らしている。先週、お姉さんからメールが届いた。
「明日から埼玉いくんやけど、そちらに寄れたらなーと思って。27までは居るから、その前の週末はいてる?」
お姉さん、今日はもう28だ。きっとカレンダー段いっこ間違えたね。でも平気、それは想定内。
次の土曜ならいますよー、と返事した。そしたら昼前にいくわー。出るときメールするねー。
当日、朝から掃除や片付けをして、だいたいこれでいいやとなってからギター弾いて遊んでた。ふと時計みると12時だ。あれ?昼前に行くんじゃなくて、昼前に出発するだったのかな?と思ってたらメールが届いた。
「ごめーん、出発するときのメール送信できてなかったわ。今高速。」
高速っていっても幅が広いなー、まあいっかー、と思ってたらほどなく玄関チャイムが鳴った。
お茶飲んで一息いれて、お兄さんは義理パパ連れてゴルフの打ちっぱなしに出掛け、わたしはお姉さんを近所のカフェに連れていった。それから約二時間、家族や仕事や健康の話をした。こんなに長いこと二人で喋ったことはこれまでなかった。
話の流れでお姉さんが「社会保険」と言う単語を使った。わたしはおやっと思った。お姉さんは基本仕事してる人だが、お子さんの都合や自分自身の健康のことなどで、度々中断しては新たな仕事に就いている。今はフルタイムではなくパートなのだという。「社会保険、払ってるほうがだんなに対して引け目感じなくていいんだけど。」と言ったのだ。お姉さんとわたしの会話は、深くもなりようがないし議論もしようがないため、なんにつけても「そーそー」「おんなじやー」「いっしょいっしょー」なんだけど、このときばかりは心の底から同意した。出産手前から社会復帰までの約三年半、何が嫌だったって、寄生してる感が嫌だった。それは本当は間違った考え方なのは今ならわかる。わかるけど、てめえでてめえの社会保険を払ってる、っていう気持ち良さ、すがすがしさ。お姉さんとそれが共有できてとても嬉しかった。
家に帰るとすぐお兄さんと義理パパが帰ってきて、おやじ疲れたっていうから俺ら帰るわーって帰ってしまった。後ろから見送るとお姉さんは助手席で両手を振り回していた。お兄さんが危険なのでわたしはすぐに家にひっこんだ。
無事についたよー、のメールが届いたのがそれから二時間半後だった。ほっとしてお茶飲んでたらそれから一時間後にまたメールが届いた。
「おはよー。今からでるわー。」
10時間遅いわ。