父が健在だった20歳までは、家には様々な料理が並んだ。
特に大好きだったのが、祖母と母で作るタンシチューだ。
お肉屋さんに頼んで、大きなタンを持ってきてもらって、その皮を剥ぐところから始まる、一家の一大イベントだった。
1日かけて煮込んだタンシチューは、ビーフシチューよりも柔らかくて美味だった。
そんなタンシチューも、オックステイルシチューも、そして、クリスマスの七面鳥も、父が亡くなって以来、一度も食卓に登ることはなかった。
祖母も母も、料理を諦めてしまったのだ。
祖母も亡くなり、母ももう作り方を覚えていない。
先日、一念発起して、コストコで大きなタンを買う、もちろん皮は引いてある、それだけでもずいぶん楽そうだ。
シチューに挑戦するぞ!と思いながら、冷凍保存する。
そうこうしていると、西方から家族が1人で帰省してきた、大阪で仕事らしい。
よし!
今こそチャンスだ!
昔の味に挑戦しよう。
1日目、1時間かけて下茹でをする。
翌日、圧力鍋で炊き上げる。
缶詰のドミグラスソースやらマギーブイヨンやら、色々なものにお世話になる。
恐る恐る味見をする。
あれ?柔らかい!美味しいかも?
家族は、うまいうまい、といいながらほとんど1人で平らげた。ww
(副菜は、ロピア謹製でございます。 ww)
けれど、気づく。
果たしてこの味だったんだろうか。
私はもう祖母と母の味を覚えていないのだ。
今日も邪魔をする猫、今回は化粧ポーチを奪取したんですって。ww
高崎市の行方不明猫『まめちゃん』です。