タンゴが生まれたのは1880年頃といわれていますが、当時の楽団は極めて少人数で、フルート・ギター・バイオリンなど手頃で可動な楽器で演奏されていたようです。
やがてピアノも普及しはじめ、1900年を過ぎた頃から手回しオルガン、そしてバンドネオンが加わり、オルケスタティピカの基礎が完成します。
同時に、場末の酒場で演奏されていたタンゴは次第にポルテーニョに溶け込んでやっと市民権を得ることになります。
フランシスコ・カナロやロベルト・フィルポなどが楽団を組織し、1912年にはカルロス・ガルデルが登場してタンゴはブエノスアイレスに開花しました。
この頃からレコードの吹き込みが始まると、タンゴはアルゼンチン全土へと広がっていきました。
1914年、ウルグアイのマトス・ロドリゲスが「ラ・クンパルシータ」を作曲してタンゴ界に旋風を巻き起こしました。
アルゼンチンはもとより、ヨーロッパ全土にブームを起こすとともに、曲調も場末の音楽から洗練された品のある演奏へと大きく変化していくのでした。
1924年にはマックス・グルックスマン商会(オデオンレコード)主催の第一回タンゴコンクールが開催され、カナロの「センチミエント・ガウチョ」が優勝するなどタンゴの第一期黄金期を迎えることになります。
なお、同コンクールで第三位になったのが 『オルガーニート・デ・ラ・タルデ(黄昏のオルガニート)』
ロベルト・グレラのギター演奏がYOUTUBにUPされていましたので貼り付けておきます。
今では唄われることもなくなりましたが、
やくざ者とのいさかいで、恋人を奪われたうえ片足をも失った哀れな義足の男が
手押し車のオルゴールをまわしながら黄昏の場末を流す老人とともに仇を探し求める…
といった内容の歌詞でした。
美しいメロディーからこの歌詞は想像できませんね。