「ラ・クンパルシータ」(2)
また、この曲が作られたときには歌詞がありませんでした。
1924年にパスカル・コントゥルシとエンリケ・マローニが、音楽劇『キャバレーのとあるプログラム』でこの曲を使った際に、「シ・スピエラス…」という歌詞をつけたといわれています。
さらにガルデルがこれをレコーディングすると遠くヨーロッパでも大人気となり、またたく間に全世界に広がりました。
この曲が世界的な名曲になるとは思ってもいなかった作曲家のロドリゲスは既に二束三文で著作権を売り渡していたのです。
何も知らずにパリで新聞記者として赴任していたロドリゲスは著作権の取戻し裁判を起こし勝訴、さらには無断で作詞されたことに憤慨して自ら作詞した上、コントゥルシとマローニとも裁判沙汰になりました。
しかし、ロドリゲスが「ラ・クンパルサ…」と作詞して対抗したものの、既に定着している前の歌詞には及ばす、現在でも「シ・スピエラス…」が広く浸透しています。
この二つの歌詞がどのようなものなのか記してみます。
パスカル・コントゥルシとエンリケ・マローニの歌詞の訳
あなたに解かってもらえるだろうか
まだ私の心の中にはあなたに抱いた愛情を持ち続けていることを
あなたは知っているだろうか
私が決して忘れたことはないと
あなたが過去を振り返れば私を思い出すだろう
(以下省略)
ヘラルド・エルナン・マトス・ロドリゲスの歌詞の訳
際限なく続く苦悩 あの病人には未来もない
まもなくあまりの苦痛で死んでしまうだろう
だから、ベッドの中で悲嘆にくれてすすり泣く
つらい過去を思い出しながら
(以下省略)
前者は失恋の痛手を切々と訴え
後者はタンゴ歌手が死期に際して幼少期のことが走馬灯のように駆け巡る
という内容です。
↓はカルロル・ガルデルの 『 La Cumparsita 』 YOUTUBEより
いわゆる【Si supieras】です
でもって、ロドリゲスの起こした作詞に関する裁判の結論ですが、裁判は長期におよび、ロドリゲスは死去。
フランシスコ・カナロの仲介調停の結果、1948年に双方の権利を認める形で結審したといわれています。