『巴里祭』 14 Juillet (仏) 1932年制作
監督 ルネ・クレール
音楽 モーリス・ジョーベール
主演 アンナ … アナベラ
ジャン … ジョルジュ・リゴー
レイモン … レイモン・コルディ
ポーラ … ポーラ・イルリー
主題歌 『巴里恋しや』 ( A Paris Dans Chaque Faubourg ) 唄・サウンド・トラック (コーラス)
クレールのトーキー四作目で、巴里の下町の人間模様の哀歓を抒情的に感傷をこめて作り上げた映画詩の傑作。
巴里下町の花売り娘アンナとタクシー運転手のジャンは口げんかしたり仲直りしたりの恋人同士である。7月14日の革命記念日
の盛大なお祭りを二人で楽しんだが、ジャンが家に帰ると昔の女ポーラが転がり込んて来てそれ以来ジャンとアンナの仲は気
まずく疎遠となる。アンナは病気の母を亡くしてカフェに勤めるようになったが、その店に悪い仲間に誘われたジャンが泥棒に
入ったためにアンナは首にされてしまった。アンナは再び花売り娘に戻りジャンも更生して運転手となった。巴里の下町でアンナ
が花を売っていた時ジャンの車がアンナの手押し車に接触して町の住人たちが事故現場に集まり始めて騒ぎ始める。すると
そこに激しいにわか雨。ジャンとアンナは二人そろって雨宿りしているうちに打ち解けあってよりを戻す。
主題歌の『巴里恋しや』はルネ・ナゼール作詞、ラウール・モレッティ作曲によるもので、映画ではタイトル・バックからエンディング
まで繰り返して一つの主題歌で押し通し、映像と音楽が見事に融合して後世のお手本的な存在となりました。特にコーラスによる
反復の効果、変奏、対位法的手法は映画音楽史上高く評価されています。
映画で使われたサウンドトラックのコーラス盤がリリースされたという話は耳にしていませんが、レコードとしてはリス・ゴーティの
SP盤がヒット、後日にはダニエル・ダリューもレコーディングしています。
À Paris dans chaque faubourg
Le soleil de chaque journée
Faut en quelques destinées
Èclore un réve d'amour
↓はリス・ゴーティの『巴里恋しや』 YOUTUBEより
クレールの『巴里の屋根の下』と『巴里祭』はトーキー初期の完成された映画音楽の双璧となりました。