『雨のしのび逢い』 マリー・アントワネット・ピクテ
”Moderate Cantabile” Marie-Antoinette Pictet 【YOUTUBEより】
1960年制作のピーター・ブルック監督による同名のフランス映画の主題歌で、映画の全編に流れていたこの曲の
原曲はディアベリのピアノ練習曲・ソナチネOp.168-4の第二楽章です。
映画の原作者のマルグリット・デュラスはアンチロマンの人気作家であり、また『かくも長き不在』『マドモアゼル』
など映画史に名を残す脚本家でもあります。
監督はイギリス演劇界の鬼才といわれたピーター・ブルックで、身近に起こった痴情殺人事件をきっかけにして
単調な生活に閉塞感を覚えていた社長夫人の日常生活を通じて人間の愛の本質を追求しています。
主人公の心情を暗示するような冬枯れの風景、モノクロ独特の陰影を意識した映像美、そして演劇的なラストシーン
では燃え尽きる女性の情念を見事に映像化しています。
関連記事
2014-06-10 映画音楽史(151)『雨のしのび逢い』1961年公開
この映画の主役を務めたジャンヌ・モローが今年の7月31日に亡くなられたとのことです。
ジャンヌ・モローといえば1950年代後半から70年にかけてフランス映画界を代表する女優でした。
特にヌーヴェルヴァーク作品の『死刑台のエレベーター』『恋人たち』『突然炎のごとく』など数多くに出演、彼女の
存在なくしてヌーヴェルヴァークの成功はなかったとまで囁かれていたようです。
彼女の作品は『現金に手を出すな』の端役時代から殆どの作品を観ていますが、『マドモアゼル』の悪女役が
一番印象に残っています。
遅くなりましたが、あらためまして故人をしのびご冥福をお祈りいたします。