クロムの備忘録的ダイアリー

定年後の日々の楽しみや関心事、具体的には写真、カメラ、観る将あるいは投資の話題などを綴っていきます。

サイコパス

2018年11月23日 15時22分42秒 | 日記
NHK BSに「英雄たちの選択」という番組があり良く見ています。
そこに中野信子さんという脳科学者が出演され、ユニークな視点での見解を述べられていて以前より興味深く感じていました。そこで今回入門的な著作2冊を買ってみました。そのうちの1冊が「サイコパス」です。
サイコパスというと羊たちの沈黙のレクター博士を思い浮かべますが、この本にもサイコパスの特徴はのっていますが明快な定義はないようです。それだけ曖昧な存在と言えそうです。
特徴としては、
 倫理観が低く良心を持たない
 リスクに直面しても恐怖や不安を感じない
 他者への共感性が低い
 外見や語りが魅力的
 平気で嘘がつける、などが挙げられています。
こういったサイコパスがどのくらいいるかですが、アメリカでは全人口の4%という推計もあるそうです。日本は幸いにしてもっとずっと低いそうです。サイコパスは犯罪者をイメージさせますが、確かにその傾向は高いです。しかし意外にも大企業CEO、外科医、弁護士などの大胆な決断を要する人々にも多いそうです。
歴史上では織田信長、毛沢東、ピョートル大帝、近年ではジョンFケネディやビル・クリントンはサイコパス特性が高いそうです。さらに意外な人物としてはマザー・テレサも挙げられるそうです。
サイコパスと脳の器質的関係に多くのページが割かれていますが、この分野はまだまだ発展中のようです。
個人的に興味深かった点は数点あるのですが、その一つが人類全体の進歩にサイコパスが役立った可能性があるということ。これには不安を感じずに大胆な決断ができるという特性が生かされたようです。
もう一つはムンドゥルク族とヤノマミ族の話。後者はブラジル北部などに住んでいますが、この地域は食料は豊富です。この部族では頻繁に争いが起き、男性の死因の30%は殺人で、25歳以上の男性44%が殺人者です。殺人をすることで地位が上がり、配偶者の数も多くなります。結婚も乱婚だそうです。日本では全く想像もできませんが、こういうサイコパスの集まりのような社会もあるということですね。
本書はサイコパスを様々な角度から述べていて、ややまとまりに欠けた印象もありますが、全体を俯瞰するには面白い本だったと思います。



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