クロムの備忘録的ダイアリー

定年後の日々の楽しみや関心事、具体的には写真、カメラ、観る将あるいは投資の話題などを綴っていきます。

葵祭・斎王代列~その1

2024年05月26日 09時53分06秒 | 旅行
今回から斎王代列について紹介します。
まず葵祭の主役とも言える斎王代というのは斎王の代理です。
斎王というのは飛鳥時代に天皇に代わって伊勢神宮の天照大神に仕える未婚の内親王または女王でした。
平安遷都後、嵯峨天皇の時代に平安京の守護神である賀茂神社にも皇女が奉仕することになり、伊勢神宮の斎王を斎宮、賀茂神社の斎王を斎院と居場所から呼ぶようになりました。
現代の斎王代は京都市内の未婚の女性から選ばれ、斎王に代わって葵祭の様々な神事に奉仕する存在です。ちなみに今年の斎王代は新選組で有名な壬生寺の息女で、大学卒業後JTBに勤務している方だそうです。

斎王代列先頭、河原町通にて撮影

斎王代列にも様々な人々が参加していますが、NETで調べた範囲だと一部の名称しか判明しませんでした。
命婦(みょうぶ)
 高位の女官または高官の妻女、小袿(こうちぎ)、単、打袴(うちばかま)を着用。
 打袴は織物の仕上げで、砧(槌)で打って(叩いて)布に光沢を出す工程を経たのでそう呼ぶそうです。
 お付きの白丁が花笠を差し掛けます。
斎王代(さいおうだい)
 腰輿(およよ)に乗っている祭りの主役。十二単を身に着け、檜扇を手に待つ。
女嬬(にょじゅ)、采女(うねめ)
 食事を司る女官。小袿、単、打袴を着用。 
内侍(ないし)
 女嬬の上役。衣装は命婦と同じ。白丁が花笠を差し掛けます。
女別当
 内侍以下の監督役。小袿、単、打袴を着用。
騎女(むなのりおんな)
 騎馬で参加する斎王付きの巫女(みかんこ)。肩に藤の造花の輪を付けています。
蔵人所陪従(くろうどどころべいしゅう)
 西院の蔵人所(会計、経理部署)の雅楽を奏する文官。楽器を運んでいる。


斎王代列の腰輿(およよ)。童が先導していました。

斎王代の後ろの人々。前から女嬬、采女、騎女。男性は舎人(?)。

緋色の衣冠の蔵人所陪従(くろうどどころべいしゅう)。楽器を手に持っています。


斎王代列最後尾の牛車。近衛使代列同様、牛童が先導しています。

葵祭~その4

2024年05月25日 20時44分13秒 | 旅行
近衛使代列の残りの紹介をまとめてしたいと思います。
前回の最後に御幣物を司る内蔵寮史生(くらりょうのししょう)まで記述しました。


馬寮使(めりょうつかい)
神社で行う走馬の担当者で左馬允。六位の武官です。



御馬。走馬ともいい神前で走らせ、神々にご覧にいれる馬です。2頭います。
馬を引いている4人は内蔵寮の馬飼。


牛車。俗に御所車と言われ、平安朝以来用いられました。
牛車の先頭で曳縄を持つのは牛童(うしわらわ)。


牛車に藤や紅梅、白梅、杜若などの造花で美しく飾ることを風流と呼びます。


交代用の牛。


和琴(わごん)
六弦の琴で御物、河霧。神前での奏楽に用いられます。


舞人(まいうど)
歌舞に練達し、東遊(あずまあそび)を舞う五位の武官。6人います。
東遊とは神事用の歌舞で、東国の民間舞踊が平安時代から宮中や神社で行われるようになったもの。


舞人の沓部。


馬がした粗相を掃除する係もいました。


近衛使代(このえつかいだい)
行列中の最高位の人物。四位の近衛中将が務めるが祭りには代理が参加する。



近衛使代の馬は馬具や飾りも豪華。


近衛使代の替え馬。


風流傘(ふりゅうがさ)。祭りを豪華にするための飾り傘。



陪従(べいじゅう)
近衛府五位の雅楽を奏する武官。琴、笏拍子、付歌、笛、篳篥(ひちりき)、琴持ち二人の7人。

葵祭~その3

2024年05月25日 17時18分39秒 | 旅行
検非違使尉(けびいしのじょう)に続く人々です。


山城使(やましろのつかい)
山城国司の次官、五位の文官。
下鴨神社と上賀茂神社は洛外にあり、山城の国司の管轄区域になるため督護の任につきます。


山城使の従者達。山城使の様々な所要品を携えていきます。虎の皮の敷物が目立ちました。

山城使の従者

中央の童は検非違使の笏を持っています。


御幣櫃の守護に当たる衛士(えじ)?。


御幣櫃(ごへいびつ)とその台を運ぶ白丁(はくちょう)。
天皇陛下から下鴨、上賀茂両社への献上物を納める櫃。


内蔵寮史生(くらりょうのししょう)
御幣物を司る七位の文官。

葵祭~その2

2024年05月25日 16時15分41秒 | 旅行
葵祭の行列は総勢500名超、馬36頭、牛4頭、牛車2基、輿1台と大掛かりです。
参加者の人数、役割も数多く、事細かに書くのは難しいので目にとまった人物や物品について書くことにしました。
まず行列は近衛使代列と斎王代列に大別されます。
近衛使(このえつかい)とは行列中の最高位の人で、四位近衛中将が務めるので近衛使と呼ばれます。
近衛使は天皇の勅使です。葵祭は本来、勅使が下鴨、上賀茂両神社で天皇の祭文を読み上げお供えを届けるのが目的なので、祭りの本当の主役ともいえます。
祭りでは近衛使の代理の人が参加するので近衛使代となります。

平安時代は内親王から選ばれた人が祭りに奉仕し、これを斎王と称しました。
現在は未婚の女性から選ばれ、斎王代として祭りに参加します。輿に乗った祭りの主役ですね。
それでは行列先頭の肝煎、乗尻に続く主な役割の人物を見ていきましょう。


検非違使志(けびいしのさかん)、六位。
検非違使とは警察、裁判を司る職で行列の警護に当たります。
舎人(とねり)の引く馬に騎乗し、看督長(かどのおさ)、火長(かちょう)、如木(にょぼく)、白丁(はくちょう)など下役を率いています。


検非違使志とその下役の面々


検非違使志の下役、火長。弓矢を持っています。


検非違使尉(けびいしのじょう)
検非違使志の上役で五位。行列警護の最高責任者。

検非違使尉の下役。

調度掛(ちょうどかけ)。
検非違使尉の下役で弓を持つ役です。隣の童の役は不明です。
ちなみに調度掛の着ている着物の色は青丹(あおに)色。
和歌で奈良の都にかかる枕詞の青丹よし、の青丹色のことだそうです。

葵祭~その1

2024年05月24日 10時08分26秒 | 旅行
2日目は葵祭を見学しました。
悩んだのは場所取りをどこにするか、です。
去年の祇園祭の山鉾行列は若干失敗したのですが、土地勘がなく一発勝負なのでなかなか難しいところです。
結局NETで情報を収集しスタート地点の京都御所・建礼門前にしましたが正解でした。
現地には2時間半前に来ましたが、そこまで早く来る必要はなかったです。
1時間半前でも大丈夫でした。また携帯用の椅子を持参したのは正解でした。

行列の始まるしばらく前から牛車の方々が姿を見せました。牛は交代用を含めて2頭いました。
行列の先導は京都府警の平安騎馬隊の2頭で女性が騎乗していました。
祭りの先頭は狩衣姿の肝煎(きもいり)2名、その後に馬に乗った乗尻(のりじり)と馬を引く無役の雑色(ぞうしき)からなります。
乗尻は左右で衣装の色が異なります。上賀茂神社の競馬会(くらべうまえ)の騎手がつとめるそうです。
行列は10時半スタート、通過するまで1時間とのことでしたが、実際は30分で通過していきました。

牛車は行列スタートのしばらく前から準備を始めました。



先導の京都府警の騎馬隊。


行列は定刻の10時半スタート。先頭は狩衣姿の肝煎2名。
直後に馬に乗った乗尻と雑色、左右各3名が続きます。乗尻の衣装は左右で異なっていました。


馬上の乗尻とそれを引く雑色。しずしずと進みます。


葵祭に使われる牛馬の手配元の明馬会の方々。
明馬会は元々は東映時代劇のために馬を用意していた団体だそうです。