私は、仏壇の中身を丁寧に取り出しては、遺族に手渡していった。
布の隙間から見えてきたものは、仏像ではなく何やら妙なモノだった。
布の上から見える形は、完全に仏像。
なのに、実際に見える一部は、木でも金属でもなさそう。
妙な勘が働いた私は、モノが遺族から見えない死角に移動し、布を開けてみた。
でてきたモノを見て、驚+笑。
モノの正体はバイブ、いわゆる大人のオモチャの一種(経験不足のため、私は正式名称を知らない)。
若い頃、エロ本の裏表紙とかに載っていたのは何度か(何度も?)見たことはあったが、実物を見たのは初めてだった。
しかも、手に取って。
私にとってはかなり珍しいモノで、ちょっと新鮮な気分だった。
「結構、デカいな」
「このかたちはイケてる」
「意外に重いモノなんだなぁ」
「この質感はヤバイそう!」
「スイッチはどこだ?」
「どういう風に動くんだろう」etc
私は、興味があるような気持ち悪いような感覚で、その形や構造をマジマジと見てしまった(念のために言っておくが、私はずっと手袋は着用しており、素手で触った訳ではない)。
少しの間眺めてから、正気に戻った。
「それにしても、何でこんなモノが仏壇に入ってるんだよ!」
遺族から「何でした?」ときかれた私は、とっさに「隠さなきゃ!」という心理が働いて、動揺した。
私が動揺する必要なんかどこにもないのに、男の本能か?
私には、エログッズを隠す習性が染み付いているのだろうか。
ちなみに、今はエロ本・AV等は一切持っていない。
これホント!
遺族に見つからないように、私は慌ててバイブを布に包んで、仏壇の引き出しにしまった。
「どうかしましたか?」
「い・いえ、別に・・・」
「仏像でした?」
「いえ、仏像じゃありませんでした」
私は、何か代わりになりそうな物を言おうとしたのだが、頭の中がバイブだらけで代わりのモノを思いつかなかった。
「じゃ、何だったのですか?」
「わ・私には何をするモノなのか分からなくて・・・何かの機械みたいですが・・・」
「何だろう、ちょっと見てみようか」
「あ゛ーっ!」
「え?」
「やめといた方がいいですよ」
「なんで?」
「なんでって・・・ウ・ウジがゴロゴロしてますから」
「ウジ?、うぇー、それじゃダメだ」
「でしょ!」
「早いとこ、仏壇も処分して下さい」
私は、バイブを入れた仏壇を部屋から運びだした。
後になって考えてみても、バイブの存在を遺族には隠しておいてよかったと思っている。
故人のイメージに合わないだろうし、故人も知られたくなかっただろうし。
それにしても、きれいに布に包んで仏壇の引き出しにしまっておくなんて、その動機への興味が尽きない。
余程に大切なモノだったのか、別れた夫との思い出の品だったのか・・・はたまた、単純に寂しかったのか。
想像したくないのに、想像してしまう私だった。
女は強し、されど女は弱し。
何はともあれ、バイブを仏壇にしまっておくとは、なかなか味のある行動だと思った。
そして、知ったかぶりして「高価な仏像に違いない」とほざいた自分がバカバカしく思えた。
誰しも、人には知られたくない恥ずかしいモノや過去があるはず。
本人にとっては顔から火が出るようなことでも、他人には愉快で楽しいことだったりするもの。
恥をオープンにして笑い合うことも、生きる実の一つかもね。
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布の隙間から見えてきたものは、仏像ではなく何やら妙なモノだった。
布の上から見える形は、完全に仏像。
なのに、実際に見える一部は、木でも金属でもなさそう。
妙な勘が働いた私は、モノが遺族から見えない死角に移動し、布を開けてみた。
でてきたモノを見て、驚+笑。
モノの正体はバイブ、いわゆる大人のオモチャの一種(経験不足のため、私は正式名称を知らない)。
若い頃、エロ本の裏表紙とかに載っていたのは何度か(何度も?)見たことはあったが、実物を見たのは初めてだった。
しかも、手に取って。
私にとってはかなり珍しいモノで、ちょっと新鮮な気分だった。
「結構、デカいな」
「このかたちはイケてる」
「意外に重いモノなんだなぁ」
「この質感はヤバイそう!」
「スイッチはどこだ?」
「どういう風に動くんだろう」etc
私は、興味があるような気持ち悪いような感覚で、その形や構造をマジマジと見てしまった(念のために言っておくが、私はずっと手袋は着用しており、素手で触った訳ではない)。
少しの間眺めてから、正気に戻った。
「それにしても、何でこんなモノが仏壇に入ってるんだよ!」
遺族から「何でした?」ときかれた私は、とっさに「隠さなきゃ!」という心理が働いて、動揺した。
私が動揺する必要なんかどこにもないのに、男の本能か?
私には、エログッズを隠す習性が染み付いているのだろうか。
ちなみに、今はエロ本・AV等は一切持っていない。
これホント!
遺族に見つからないように、私は慌ててバイブを布に包んで、仏壇の引き出しにしまった。
「どうかしましたか?」
「い・いえ、別に・・・」
「仏像でした?」
「いえ、仏像じゃありませんでした」
私は、何か代わりになりそうな物を言おうとしたのだが、頭の中がバイブだらけで代わりのモノを思いつかなかった。
「じゃ、何だったのですか?」
「わ・私には何をするモノなのか分からなくて・・・何かの機械みたいですが・・・」
「何だろう、ちょっと見てみようか」
「あ゛ーっ!」
「え?」
「やめといた方がいいですよ」
「なんで?」
「なんでって・・・ウ・ウジがゴロゴロしてますから」
「ウジ?、うぇー、それじゃダメだ」
「でしょ!」
「早いとこ、仏壇も処分して下さい」
私は、バイブを入れた仏壇を部屋から運びだした。
後になって考えてみても、バイブの存在を遺族には隠しておいてよかったと思っている。
故人のイメージに合わないだろうし、故人も知られたくなかっただろうし。
それにしても、きれいに布に包んで仏壇の引き出しにしまっておくなんて、その動機への興味が尽きない。
余程に大切なモノだったのか、別れた夫との思い出の品だったのか・・・はたまた、単純に寂しかったのか。
想像したくないのに、想像してしまう私だった。
女は強し、されど女は弱し。
何はともあれ、バイブを仏壇にしまっておくとは、なかなか味のある行動だと思った。
そして、知ったかぶりして「高価な仏像に違いない」とほざいた自分がバカバカしく思えた。
誰しも、人には知られたくない恥ずかしいモノや過去があるはず。
本人にとっては顔から火が出るようなことでも、他人には愉快で楽しいことだったりするもの。
恥をオープンにして笑い合うことも、生きる実の一つかもね。
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