マイナスからのスタート

目覚ましがなる前まで、
「寝過ごしてはいけない」
という意識があった。

それが目覚ましを止めてしまうと、
安心感からか二度寝。
起きてはいないのに、気持ちだけの達成感と身体の疲れと脳の欲求が見事に溶け合った。

ふと、その事に気付いたのは３０分後だった。
心の中でにわかに起こった焦りの波に翻弄されて
バタバタと慌ただしい時間を過ごした。
目先の欲に見切りをつけられたのは、トイレの中だった。

苦戦

１０分ほど前に帰宅。
晩飯抜きで働いたけれど、
今日中にやり終えなければならないところまで行けなかった。
とにかく疲れたので、風呂も抜きで寝る。

架空取引再来

久しぶりに夢世界での仕事に右往左往していた。
やってもやっても減らない仕事に悲鳴をあげて、
隣のパン屋に行けば、畑違いなパン屋に並ぶ筈のない、
しかも今生産中の商品が陳列されていた。

納期に間に合わせようと
それを買おうとすると、こちらの販売価格の１０倍以上の高値がつけられていた。

「なんじゃこりゃ」と思っていると
今度はどこからか、
「この商品はいつ生産に取り掛かれるのですか？
もうすぐ納期ですよ」
と声がする。

めげるな！オレ！

なかなか遅れは取り戻せない。
これまでタイミング良く、内職サポートしてくれていた人ともタイミングのズレから今回は援助を得られない。

明日の仕事が大きな分岐点となりそうだ。
同じ機械で作業せねばならない仕事が、詰まりに詰まっている。
今回ばかりは一人で裁き切らねばならない、
と意を決している横で
口を開けばネガティブなことばかり言う従業員は、お得意の負のパワー全開。

飲み込まれちゃいけない。
まだ終わった訳じゃない。
今一度グッと食いしばれ。
ここからようやく始まるんだ。

視界不良、それもまた良し。

昨夜帰宅してから、鼻の調子が良くない。
ちょうど冷え込みも強くなかったので、
風呂へは入らずに寝た。
ほんの僅かな時間だけれど、睡眠時間を長くとれた。

朝は眠りが浅くなってくると、
寒さばかりが意識された。
心配ではあったが、なんとか現状維持出来ているようだ。

朝食にはうどん。
食べて行くと次第に身体も暖まるからか、
食も進んだ。
よし、と気持ちも新たに家を出た。

街灯のLEDより低い角度から、朝日は眩しく顔を覗き込む。
白い息が流れていく。
仕事の憂いが頭をよぎり出す。
あっという間に、駅に吸い込まれていた。