日々のできごと。生物準備室より

理科教育、生物教育に関して考えたことをぼちぼち更新。たまに授業実践報告をします。

ゲノム編集の倫理

2017-11-19 19:32:20 | ワークショップ・研修に関すること

今日はこの講演を聞いてきました。
ゲノム編集の説明は、ほんとにさらっと、切ってはるぐらいの感じ。
「倫理」がメインだからそんなものですかね。

ヒトの多様性の重要性を考えたら、
ゲノム編集によって「クリーニングされた社会」になることは、どうなのか?
そんな話が途中でありました。


病気か否かは、人間が決めている。
手を入れることが可能な技術と禁止する技術も、
生と死も、人間が決めています。
治療とエンハンスメント(能力の強化と訳していた)の境目、
これも人間による線引きです。


各国の取り組みの差について話が及んだとき、
ドイツは過去の歴史から慎重であること。
だから進まないが、結局、近隣の国で遺伝子関連の医療を受けている現状だそうです。
歴史、とは、かつての優生思想のことを指していると思われます。
考えるべき要素が複数あることだけが、
この時間に得たものでした。


生命倫理の関する問題を解決するためには、
医学、科学、政策、そして当事者の共同的な働きが必要。

そんなようなまとめがなされた時、

あ、教育ってここでは挙がらないんだなぁ、と
違う目で現実を見たような気がしました。



高校生物で扱うのは、あくまでも「ヒトの遺伝」。
「人間の遺伝」を法や歴史から考える時間ではないのです。

(もちろん考える時間を設けることは問題ないのですが、
授業時間数という大人の都合で躊躇します。)

もし、教科横断的な時間割を組むことができるのならば、
真っ先に取り組んで見たい題材です。