サントリー美術館「西行物語絵巻」でみる西行法師の旅 5分3秒
平安末期から鎌倉初期の僧侶・歌人西行法師は戦乱の世に背を向け旅と歌に生きました。西行研究者で慶応大名誉教授寺沢行忠さんの新著「西行歌と旅と人生」を読み、「激動の時代に己を貫いた」その生き方が大変私を引き付けました。西行といえば私の故郷福島県白河に関係深く、白川の関跡を訪れ歌も詠んでおり、松尾芭蕉も西行に憧れて奥の細道を訪ね白川の関跡を訪れております。西行とはどのような人物なのか・・・上皇の身辺警護の武士として鳥羽院に仕え、出家し各地を巡り歌を詠みました。西行は源平合戦を始め戦が相次ぎ貴族から武士へ社会の担い手が交代した激動の平安末期に暮らした西行の時代は経済格差やコロナ禍、国際紛争で先が見通せない現代ともどこか重なります。「榊葉に心をかけん木綿垂(ゆうし)でて思へば神も仏なりけり」と歌を詠み、僧侶でありながら古来の神も尊崇し神仏習合の思想も推進しました。「一意専心」の人生はまさに西行に通じるものであると寺沢先生は書いておりますが私も同感です。
「白川の関屋を月のまもる影は人の心を留むるなりけり」西行
白川の関を越えた西行はホームシック?にかかったようですが・・・
とてもこの本を読み、改めて西行法師の思想に感動しました。