今年のツール・ド・フランスが幕を開けて5日目。マーク・カヴェンディッシュが念願のツール35勝という偉大な記録を達成しました。2021年にあのエディ・メルクスと並ぶ34勝を挙げてから3年、39歳という年齢での快挙には正直頭が下がる思いです。
消耗の激しいロードレースで39歳という年齢で、世界の頂点で戦い続けることの大変さは並大抵のことではなかったでしょう。私がカヴを知ったのは彼がまだ20代のことでした。当時の彼はスプリンターとしてスペシャライズドのVENGEというエアロロードを駆り、ゴール前スプリントで勝ち続けていました。
忘れもしない2008年のツール・ド・フランスでステージ4勝を挙げたカヴェンディッシュ。この年はアスタナのヴィノクロフのドーピング問題で主催者のA.S.Oがアスタナの参加を認めず、コンタドールがWツールの可能性を絶たれた年で、コンタドール不在のツールを漠然と見ていたのですが、この年のカヴの強さは良く覚えています。最後まで走り切ればマイヨヴェール確実と思っていたら、北京オリンピックのために14ステージでリタイヤしてしまったのです。
毎年、行われるグランツールより4年に1度のオリンピックに重きを置く選手がいるのも事実の様です。今年はそのオリンピックイヤーですから、選手の中にピークをそこに併せている人もいるはずです。今年のツールは昨年に比べ、平均速度も遅く、展開も厳しくはありません。特にスプリンター勢に勢いを感じないです。昨年4勝を挙げマイヨヴェールを手にしたフィリップセンもこのステージで落車したピーダスンも、スプリントに勢いを感じないです。
また。アシスト勢の中にもオリンピック代表が数多く含まれています。チーム戦ではなく国別戦となるオリンピックですが、世界最高峰の176人の選手が選ばれるツール・ド・フランスならではでしょう。第3ステージでマイヨジョーヌを手にしたリチャル・カラパスは東京五輪の金メダリストですが、今回のパリ五輪の代表に漏れている選手でした。マイヨジョーヌを狙っているチームや選手は別ですが、そうではないチームや選手の中にはピークをオリンピックに併せている選手がいても不思議ではないのです。
フランスは代表の発表を遅らせた結果、第1ステージでバルデがマイヨジョーヌを獲得することに成功しています。第2ステージもフランス人のヴォークランの逃げ切り勝利でフランス人の2連勝はオリンピック代表の発表を遅らせた効果だと思っています。逆に既にベルギー代表に決まっているファンアールトやオランダ代表が決まっているファンデルプールには精彩を感じないのです。
彼らはエースではありませんが、昨年、フィリップセンを好アシストし、今季のクラシックでも大活躍を見せたファンデルプールの調子はあまり良くないと感じているほどです。昨年のマイヨジョーヌ獲得に大きく貢献したファンアールトも同様です。彼は骨折明けでスケジュールが急遽変更になったこともあり、目標はオリンピックになっているのかもしれません。
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