チームメンバーも発表されましたが、チームUAEエミュレーツはツール・ド・スイスを征して勢いのあるアダム・イエーツがエースアシストを務めるようです。彼は昨年も不調のポガチャルを支えながら3位表彰台に上がっているのです。また、2020年からジロやブエルタ・ア・エスパーニャの総合エースを任されてきたヨハン・アルメイダは、満を持してツール初出場を決めたようです。
今季のチームUAEはあくまでポガチャルのWツール制覇が目標なので、山岳アシストを強化して来た印象です。新加入のクライマー、パヴェル・シヴァコフを選出。そして、2022年に19歳でブエルタ・ア・エスパーニャの総合表彰台(3位)に上がったフアン・アユソがツールデビューを果たすようです。ツール・ド・ラヴニールを征し鳴り物入りでUAEに加入してきたアユソはポスト・ポガチャルの最有力候補です。ただ、直前のクリテリウム・デュ・ドーフィネでの落車リタイアの影響が心配されますが、骨折などの情報がないので大丈夫でしょう。
また、ツール5度の出場と経験豊富なマルク・ソレルも選ばれました昨年、ポガチャルが大きく遅れた山岳ステージで最後までポガチャルに寄り添いサポートしていたのがソレルでした。平坦区間ではニルス・ポリッツとティム・ウェレンスがペースメイクを担うようです。残念なのは、長年ポガチャルのエースアシストを務めて来たラファウ・マイカの名前がないことです。グロスシャートナーを含めチーム・ポガチャルは刷新されることになるのでしょう。
対する、チーム・ヴィスマ・リアースバイクは骨折明けのヨナス・ヴィンケゴーの参加を発表しています。同じく骨折明けのワウト・ファンアールトは5月下旬のツアー・オブ・ノルウェーで実戦復帰してからメンバー入りしています。ただ、ワウトは最初ジロ参戦でツールはパスする予定でしたから、このスケジュール変更が彼のモチベーションにどう出るかでしょう。
その他のメンバーでは山岳アシストのウィルコ・ケルデルマンが昨年と同じく選ばれ、マルチな役割をこなすティシュ・ベノート と平坦区間やスプリント力が持ち味のヨーロッパ王者クリストフ・ラポルトも出場します。残念なのは昨年のブエルタを征し、ヴィンケゴーの山岳アシストして期待されたセップ・クスがクリテリウム・デュ・ドーフィネで感染した新型コロナウイルスからの回復が間に合わず、代役としてプロ2年目のバルト・レメンが選ばれたという発表が25日にあったことでしょう。この2年、ツールの山岳でヴィンケゴーを最後まで引き続けたクスの不在はヴィンケゴーには明らかにマイナスになるはずです。
一方で注目されているのが今年モビスターから移籍してきた24歳のマッテオ・ヨルゲンソンです。次期エース候補と目されるヨルゲンソンは今年3月のパリ〜ニースでレムコ・エヴェネプールを退け総合優勝に輝き、直後のドワルス・ドール・フラーンデレンでは優勝。またドーフィネでもプリモシュ・ログリッチに次ぐ総合2位とキャリアハイの成績を残しているからです。ヴィンゲゴーの最終アシストは彼が担うことになるのでしょう。また、ヴィンケゴーが振るわなかった場合、タイムトライアルも苦手ではないヨルゲンソンが総合エースを務める可能性さえあるのではないでしょうか?
そのほかでは、オランダ王者ディラン・ファンバーレが前哨戦であるクリテリウム・デュ・ドーフィネで鎖骨を骨折したため、代役にジロを走ったヤン・トラトニクが選ばれています。いずれにしても。昨年までは最強といわれたチームですが、年々UAEが力を付けてきているのに加え、ヴィスマは厄年のように主力メンバーに落車骨折が多発していて、エースアシスト不在の今年はチーム力が逆転しているかもしれません。
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