
ポカラからジョムソンに向かう小型機の窓からみたマチャプチャレ

ポカラ飛行場

一行二十数名が二機に分乗する前に行った記念撮影
写真追加版 馬場の外国詠19 (2009年7月)
【ムスタン】『ゆふがほの家』(2006年刊)91頁~
参加者:泉可奈、T・S、T・H、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:渡部 慧子 司会とまとめ:鹿取 未放
154 夢と思ひしヒマラヤの雄々しきマチャプチャレまなかひに来てわれを閲せり
(レポート)
「夢と思ひし」は「ヒマラヤの雄々しきマチャプチャレ」にまで掛かっていよう。宗教上の理由から登山許可の出されていない聖なる山が「まなかひに来て」のとおり作者に近づいてきた。もちろん、高速で近づくと自分の方か相手方なのか、錯覚を起こすこともある。さてそのマチャプチャレが「われを閲せり」と作者を見て調べているという。雄々しい聖者ならばありうる話だ。だが作者も相手の意中をちゃんとみてとって呑まれてしまってはいない。スケールの大きさに擬人法という手法さえかすんでしまって、実感として壮大な気分がつらぬかれている。(慧子)
(まとめ)
ヒマラヤに来ることすら夢のような憧れであった。しかし、はからずもヒマラヤにやってくることができた。そしてヒマラヤの中でも屈指の秀峰である雄々しいマチャプチャレが、飛行中、目前に迫ってきた。こんなに近い距離で眺めるなどということは夢にすぎないと思っていたのに。しかも、マチャプチャレは向こうから近づいてきて「お前は何者だい?」と問うのだ。だが、レポーターがいうように、小さな人間である〈われ〉はここではしっかりとマチャプチャレに対峙しているようだ。ちなみにマチャプチャレというのは「魚のしっぽ」という意味である。(鹿取)