かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『泡宇宙の蛙』の一首鑑賞 143

2022-10-09 11:58:02 | 短歌の鑑賞
  2022年度 渡辺松男研究2の19(2019年2月実施)
   Ⅲ〈錬金術師〉『泡宇宙の蛙』(1999年)P96~
   参加者:泉真帆、M・I、岡東和子、A・K、T・S、渡部慧子、鹿取未放
    レポーター:渡部慧子   司会と記録:鹿取未放


143 うんうんと焼葱を首に巻き付けて風邪(ふうじゃ)の父は座しておるなり

     (レポート)
 「焼葱を首に巻き付けて」とは民間療法で咽頭の炎症に効くのだろう。それにしてもこの語順が巧みだ。焼葱を首に巻き付けてうんうんうなるなどとはしない。さらに風邪(ふうじゃ)とルビのあることも、ユーモラス。(慧子)
  

    (当日意見)
★葱の香が鼻から入ってそれもいいようですよ。晒しに巻いて使うんですね。昔は火鉢で気
 軽に葱が焼けたんですね。(T・S)
★具体的で、この歌いいですね。時代というものが見えてきて。「おりたり」じゃだめで
 「おるなり」がいいですね。ふうじゃというふりがなもいい。(A・K)
★「ふうじゃ」が堂々とした感じでいいですね。風邪だけれど臥せっているのでは無くきち
 んと座っているのですね。このお父さんの設定は大正生まれか、昭和の初めかもしれな
 いけど、そういう風格というか、父親としての大きさを「ふうじゃ」から感じます。  
    (鹿取)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 渡辺松男『泡宇宙の蛙』の一... | トップ | 渡辺松男『泡宇宙の蛙』の一... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

短歌の鑑賞」カテゴリの最新記事