かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『泡宇宙の蛙』の一首鑑賞 7

2022-02-04 12:55:16 | 短歌の鑑賞
  渡辺松男研究2の1(2017年6月実施)『泡宇宙の蛙』(1999年)
    【無限振動体】P9~
     参加者:泉真帆、T・S、曽我亮子、A・Y、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:渡部慧子 司会と記録:鹿取未放


7  頭のなかに茸がぎっしり詰まっては冷蔵庫のようで眠れやしない

        (レポート)
 頭の中にぎっしり茸が詰まっていて、一晩中稼働している冷蔵庫のように眠れないとの意だろう。詰め込まれた茸が知識・情報そのようなものだとすれば、頭が冴えてしまうだろう。それを現代の暮らしに欠かせない冷蔵庫と組み合わせて「眠れやしない」とぼやくように、現代の知識人の呟きをする。(慧子)


        (当日意見)
★頭の中をCTスキャンのように割ってみたら喉の辺りの筋肉のへんに皺が出るように、頭のなか
 に茸がびっしり詰まっていて一晩中胴震いしているようで眠れないという妙なリアリティがあっ
 て面白い。(真帆)
★慧子さんのような考えもあるのでしょうが、私はやはりこのまま取って、頭の中には本当に茸が
 びっしり詰まっている像を思い浮かべました。まあ、冷蔵庫は新鮮さを保つために働いて眠るこ
 とが出来ないのでしょうが、〈われ〉は茸の本質を守るために眠れないのでしょうかね。次の歌
 を見てもそうですが、茸と知識・情報というものとは全く相反するもので、茸は原始的な生命そ
 のものみたいです。そういう原始そのものの茸が頭の中に詰まっていて眠れないと。この解釈に
 は文明の利器の冷蔵庫がちょっと邪魔ですが、単に食べ物がびっしり詰まっているイメージでと
 りました。松男さん、客観的には知識人でしょうけれど、いわゆる「知識人」は嫌いだと思いま
 す。(鹿取)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 渡辺松男『泡宇宙の蛙』の一... | トップ | 渡辺松男『泡宇宙の蛙』の一... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

短歌の鑑賞」カテゴリの最新記事