かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

清見糺の短歌鑑賞 240、241

2022-11-01 20:14:40 | 短歌の鑑賞
     ブログ版 清見糺の短歌鑑賞    
                       鎌倉なぎさの会  鹿取 未放


 手術間近の歌で、推敲する気持ちのゆとりがなかったのであろう。さすがに粘りや捻りがなく、ストレートな歌が多い。

240 世間言う「兎角外科医は切りたがる」と、さもあらばあれわれは切られん
             2003年8月作

 遠く漱石の『草枕』が下敷きになっているようだ。曰く、「智に働けば角が立つ。情に竿させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかく人の世は住みにくい。」
 自分の病状についてうるさく詮索したり、あれやこれやと無責任に口出ししたがる人々への通告かもしれない。自分のことだから自分の意思で手術しようときめたのだ、外野はとやかく言うな。


241 眠るのがなんだか怖いどろ沼のようにつかれた寝覚めおもえば
        2003年8月作

 抗ガン剤の影響か病気の進行のゆえか、目覚めた時からすでに疲れてだるいのだ。

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