帝国以後 〔アメリカ・システムの崩壊〕 | |
藤原書店 |
2002年の本なので、今更何を言っているのよ、の気もするけど、いやしかし、これは今読むといいのじゃないのかと思った。
ここまでの10年間の動きの大枠としてはある程度以上あたっていたな、と思いながら復習してみるという意味でもあるけど、それだけじゃなくてアメリカという帝国の弱点がよくまとまっていたのだなと改めて思うのでそれを確認するためにもいいと思う。
とはいえご本人は、最近で自分がヨーロッパの将来について誤った観測をしていた、とかなんとか言っている。
後退する中国、「大惨事」のヨーロッパ
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20140408/262573/?rt=nocnt
フランスが大被害を受けていると考えてるんだろうなぁと思うけど・・・。というか、構造的にはトッド氏のいうような動きがあったからこそフランスは没落したのじゃなかろうか、など私は思ってみたりもする。
それはともかく、今読むなら、ロシアをどう見ているのかについて着目して読み返すことが非常に良いのではないか、など思った。それで今更マークしてみたくなった。
というのは、当時日本ではアメリカにのみ着目していてロシアに関する言及にはほとんどなんの注意も払われていなかったように思うんだが、ソ連じゃなくてロシアとはどういう国か、という掴みが上手い本で日本語になっているものは多くはないので、これは一つの視点として良かったと思う。覇権に関してロシアの持つ普遍性というキーワードが、いかにもフランス人がいいそうなことではあるけど、でもそれって重要だったなと思う。
あと、中国に対する評価が低いのも、ロシアと比べてしまうからじゃないのかなとも思う。
ただし、彼はフランス人なのでフランス人が考えそうなロシア観でもあるので、これをうのみにするのもまた危険。でも、ある程度一般性があるように私は思う。
グローバリズムが世界を滅ぼす (文春新書) | |
Emmanuel Todd | |
文藝春秋 |