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ジャーナリズムの政治化とジハード支配

2016-12-21 17:44:58 | 欧州情勢複雑怪奇

アレッポが事実上解放されていることから、と書いていいと思うんだけど、ちょっとずつ西側ジャーナリスムが言い訳っぽいことを言い始めてる感じがある。

今日見た英インデペンデント紙によれば、エジプト警察がアレッポ関連で使う捏造写真を作っていた人を5人逮捕したそうだ。

Egyptian police arrest five people for using children to stage fake 'Aleppo' footage
http://www.independent.co.uk/news/world/middle-east/aleppo-fake-footage-children-five-peopele-arrested-egyptian-police-a7486541.html

と、そういうのを受けて、これはもう潮時になってきたと思ったからなのか、パトリック・コクバーンが若干長めの「言い訳」を同紙に書いている。

There's more propaganda than news coming out of Aleppo this week

http://www.independent.co.uk/voices/aleppo-crisis-syrian-war-bashar-al-assad-isis-more-propaganda-than-news-a7479901.html

 概要はこんな感じ。

2011年から2012年にはシリアにおいて本当にアサド政権に反対していた、独立的な活動家がいたが、だんだんとジハード主義者が取って代わっていって、本当の活動家たちは国外に出るか、沈黙するか死んだかするようになっていった。

それにつれてシリアのジハード主義者支配地域に入ることも難しくなって、実際西側ジャーナリストは本当に酷い目にあった。

で、外国政府が資金を出してPRみたいな情報を出したりと、ニュース組織はジハード主義者やそのシンパが提供するニュースを、確認を取ることもできずにそのまま垂れ流すようになった。そんなソースからのニュースを情報として提供することで、メディアはアルカイダのようなグループに甘くみられるようになった。ジャーナリストを殺したり誘拐して脅しつけて黙らせ、そこに自分たちが作ったソースをくれてやればいいんだから。

 

といったことを今更言われてもね~ですよね。

で、つまり、私たちは過去5、6年、メディアを通してジハードに支配されていた、といって言えないこともない、ってことですね。笑えますけど。

あと、そのシリアの活動家たちは確かに真実、アサドを倒して何か別の世の中をと思った人たちなのでしょうが、この人たちが、外国勢力との共同というのは常に大きなリスクを伴うことを自覚していたかどうか。結局、大量の資金を持った人たちからの誘導なんだろうなと思ってしまいますね。

 

で、この状況観察は昨日アップした、イギリスの元情報機関の人アリステアさんが西側がシリア問題で失敗したまとめにあった結論の一つと同じですね。

三つ目として、武装集団やその資金源が投下する偽情報を、どれほど馬鹿げていても拡大し、繰り返した。

アレッポで外国軍将校拘束という噂&情報操作と認識論

 

どうもほんとうに、マジで、ジハード主義者とそのシンパが作る「情報」が主要メディアの情報だったって感じでOK?

そうであればこそ、ロシア、イランのメディアのみならず、ブラック上院議員、バネッサさん等々のアメリカ人が、あなたがたが聞かされているシリア情勢は嘘です、まったくおかしいと騒ぐのも無理はないわけですよ。

つまり、こっちが、頭が正常だった人たち。少なくとも、一般人を人間の盾にするのは間違ってる、首ちょんぱするのはよくない、武装集団をいきなり居住区に入れるのは間違ってる、言うことを聞かないからといって発砲するのはやめましょう、国境という概念を飛び越えるには国連という組織で一度訴えてからにしてください、といった価値観を持った人々だったわけですよね。

 

■ しかし・・・

でも、ふと思うに、ロシアのジャーナリストはウクライナからこっち何人か死んでいるが、ともあれ彼らは仕事してる。RTの人たちなんかは、おそらくロシア軍に同行させてもらっているから早いニュースが得られるんだろうとは思うが、全部が全部そうでないですね。いろんなネットワークを駆使して行動してあやうく爆破されそうになった人とか、いんな人がいた。

で、思うのは、つい何年か前まで、アメリカ軍とその同行取材という形が普通にあった。

どうしてそれができなくなったわけでしょう? ウクライナとシリアでは、西側ジャーナリストは殆ど、何もしてないに等しい。

と考えてくると、これしか結論がないのではなかろうか。

米、UK、NATO、情報機関等々を含む西側は、報じられたくないことをしている。だから西側とはいえジャーナリストを現地に入れたくない。

他にある?

だって、NATOとかCIAの軍事顧問団だっているんだから、ジャーナリストを入れることは一応できるでしょう。国連の機関の人も、少数で護衛付きだが入ってる。

あるいは、よく考えれば、過激派とロシアは戦争してますが、イギリス人や日本人はロシア国と戦争していないわけですから、ロシア軍とかイラン軍のシリア対応ユニットに同行したってヘンではないわけですよ。筋としては。現状最も安全そうじゃないの。

 

これは、上で引用したアリステアさんの「インテリジェンスが政治化した」という観察がまた有用って話でしょうかね。

これらによって、情報機関は、観察するという仕事を放棄して、自分たちが投資家になってしまい、捻じ曲げた現実、偽情報、次第に高まる傲慢さが織りなす迷路に迷いこんで、負けたのだ。


この文の「インテリジェンス」は概ね、情報機関、諜報機関を指しているんだけど、ここに「ジャーナリズム」も入る、ということじゃないですかね。

つまり、ジャーナリズムが政治化してしまって、何が起きているのかを見るという原初的な機能を失い、政治局の作文担当になっていた、ということ。

そしてもう一つ。そうであるのなら、西側なる団体は既に、ロシアとその同盟者とは自らが戦争状態にあると言っているに近いものがある。敵の情報を信用できない、という態度をオバマ政権は本当に流布していたし。

宣戦布告なき戦争を遂行しているが一般人には知られたくないことも多いため、やむを得ずジハード情報に頼りました、ってことですかね。あはは。

整理すると、

「主要メディア」ネットワークが勝手にロシア相手に開戦して、

私たちはその「主要メディア」に引きずられて、いつの間にかロシアは敵になって、

その戦士たるジハード派の人たちの情報を頼みにしていた。

ジハードこそ我らが正義!

と。構造としてはこんな感じでしょうね。

そらまぁ、ジハード主義者を撃つとかできるわけないですね。もう爆笑。


まぁ、ぶっちゃけ、ムジャヒディーン投入してソ連を撃つ、というスタイルを捨てられないからこうなるんでしょうね。中央アジアをなんとしても手にいれるためには~という夢が捨てられず、冷戦が終わった終わった終わったといいつつも侵略の思惑を捨てられなくて、この「甘美な夢」がもったいなくて対立構造を解けなかった。

アフガン、イラクの侵略というのはこの構想の中の一場面ですからね。

そして、ついにジハード思想にメンタリティ支配を許す私たちになった、と。笑えないよ、ほんと。


考えてみるに、トランプがロシア、ロシアと言っている本当の意味は、「本当に冷戦を終わらせよう」なんでしょう。

私は、ワッファービズムやイスラム過激思想に心酔してテロを敢行する集団ではなく、各種制度、法体系がともあれ整備された国家と、私たちとはいくらか違うにせよ妥当で穏当な秩序を持った集団にみえるロシアの人々を友としたいし、自分の知り合いにも、自分の国にも、是非この選択をしていただきたいと心からそう思う。


いずれにしても、現状の世界中の「主要メディア」なるネットワークは一回崩壊してもらわないことには、世界各国の民主主義あるいは、人々のための政治なんて夢のまた夢。

私はジハード思想に支配されたくない!



 


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2 コメント

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それを防ぐための反ロシア (ブログ主)
2016-12-22 14:33:38
ローレライさん、

ということは、ジャーナリストたちがロシア、イランに同行して取材して、真実暴露に至ることを防ぐための、にわかの「マッカージズム」だった、とも言えるのかも。

しかしネット民にはイランとかイラクの人もいるわけで、その人たちが一つのカギとなって、アメリカ人の結構な人たちが結果的にRT等のロシアメディアを評価しだした、という成り行き。
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『戦争サファリツアー』 (ローレライ)
2016-12-22 07:26:22
『ロシア軍とかイラン軍のシリア対応ユニットに同行』の『エンベッド取材』させる『戦争サファリツアー』が必要ですね。プーチン氏やスレイマニ氏の検討課題!
返信する

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