DEEPLY JAPAN

古い話も今の話も、それでもやっぱり、ずっと日本!
Truly, honestly, DEEPLY JAPAN!

経済制裁と地政学

2014-11-19 17:25:47 | アジア情勢複雑怪奇

 

ロシア大統領に金正恩氏の親書 北朝鮮特使が手渡し
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM19H02_Z11C14A1EAF000/

 【モスクワ=田中孝幸】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の特使としてロシアを訪問中の崔竜海(チェ・リョンヘ)朝鮮労働党書記は18日、モスクワのクレムリン(大統領府)でプーチン大統領と会談し、金第1書記の親書を手渡した。大統領府が発表した。親書の内容は明らかになっていないが、両国の関係強化などを訴えているとみられる。

 会談では北朝鮮の核問題や経済協力の拡大について話し合ったもようだ。金第1書記の初外遊としてのロシア訪問の是非や具体的な時期に関しても協議した可能性がある。

金正恩氏の初外遊先はロシアか?「2020年までに貿易総額10倍に」朝露急接近のワケは…
http://www.sankei.com/world/news/141116/wor1411160019-n1.html

春先からの動きを見ていても、北朝鮮にとっての第一選択がロシアになったのは間違いのないところなんでしょうね。日本の報道は北朝鮮と聞くと拉致問題としか応答しない仕様になってるけど、ここって日本が大陸に関わることとなった重要地点なわけで、もう少し多様な視点からの報道がなされてもいいのではないのか、と始終思う。

で、この意味はどう考えても決して小さくないわけで、なによりも中国にとってこれはそんなに嬉しい話ではない。でも、現状他でバランスを取りながら妥協が可能だと見ているんでしょうか。中国はフィンランドあたりに接近しているという話もあるので、互いに喉元にナイフを突きつけながら仲良くしよう、という話か。

これもバランスしていればとにかくOKではあるけど、歴史的経緯や支援の安定度から見るとロシアの方に条件がいいような気はする。

さてしかし、フィンランドのことは置いておいて、北朝鮮がロシアの影響下に置かれるというのは要するに冷戦時代に帰ったとも言える。北朝鮮はソ連が作ったものだから。

が、しかし、もっと昔のことから考えると、意外とこれは安定したりしてと思わないでもない。というのは朝鮮は日本が支配して区域を区切ったから朝鮮という器が出来たようなところがあって、その後38度線で別れたから一つの国が分断されたという話になってる。でも、必ずしも朝鮮全土が歴史的に同じ民族かというと、かなり・・・・なところがあるようだ。だから、半島部分をバッファにして全方位外交をやってもらってたら、意外と安定するのかもなと思わないでもない。

いやしかし、それはゲームとして眺めた場合の話であって、日本国の立場からするとどうなんですかね、これ・・・。

結局伊藤博文は正しかったという話になったりするのか。
満韓交換論

なにか、アングロ勢の退潮を象徴するような動きになるのかもしれない。

■ 中露の接近とユーラシア

一方、ロシアの国防大臣ショイグさんが現在北京を訪問しているそうで、そこでショイグは、中露間の軍事・技術協力はとてもつもなく重要だと力説している模様。



セルゲイ・ショイグさんはブラフをかける役回りの人ではないので、おそらく太平洋地区の軍事演習などを通した連携は確実に強化されるんでしょう。なんとなく、熊本の加藤さんですと言われたらそうかと納得しそうな風貌なのは、中央アジアのトゥヴァ人だからか。

Russia-China military-technical cooperation of paramount importance ? defense minister
November 19, 8:34 UTC+3
http://en.itar-tass.com/russia/760464

フィナンシャルタイムスに出ていたJamil Anderliniという人の記事では、中露は同盟を構築する気だ、といったちょっと煽った形になっている。

普通に考えて正式に同盟することはないだろうし、その必要もないと思うけど、上海条約協力機構という枠組みを通じて、協力関係を拡大して大陸内部を固めていることは間違いないでしょう。

China and Russia vow to build alliance
http://www.ft.com/cms/s/0/16364ade-6fb2-11e4-90af-00144feabdc0.html#axzz3JUnvJp3I

内部を固めるということは外周に戦力を配置することになるわけだから、極東太平洋と、後は黒海・地中海方面を固めに来るんでしょう。で、ここで日本ってどうするの問題があるんだけど、どうなんでしょうか・・・。

しかし日本はなんといっても、支那はけしからん、露助は敵だと二正面を敵に回すことになんの躊躇もない人が多数いる国なのでなんとも・・・。でもそれって前回失敗した道だと思うんですけどね。

海洋勢力の攻め口はもう一組、バルト海と南シナ海もある。1か月ぐらい前、スウェーデンとロシアの間で意味不明な潜水艦騒ぎをやっていたり、エストニアあたりにNATOが焦点をあてて勝手に騒動を作ってる(「ロシア軍が来る~」という声が既にオオカミ少年扱いされてるけど)のはそのせいか。南シナ海はご存じのとおり。

そうなると争いはインドシナ、インド、イラン、中東でやってください、みたいな感じにも見える。しかしインド、イランにはそれぞれ上海条約協力機構の魔の手(失礼)が伸びている。

まだまだそんなに固まったわけではないけど、でもふと思うに、ここまで海洋勢が退潮した感じになった(まだ実際何がどうしたわけでもないが)のはいつ以来だっただろう?

そして、この大きな動きのきっかけは、クリミアをロシアが編入したことへの実際問題大したことのない一連の制裁とNATOの頭がおかしいとしか思えないほどの動き。

制裁してロシアの弱点である経済(経済構造と資本力)をぶち壊すという構想もどうもあんまり上手くいってるようにも思えない。少なくともOECDの経済予測はそう読んでないようだ。というより、フォーメーションが固まった中で多少経済的混乱があっても、それがどうした?ではなかろうか。地政学イベントが発生している時にそれを経済で振り払おうとするのは、多分無理なんじゃないかと思う。

 ■参考記事

対ロシア制裁と黒海・地中海

 


 

地政学入門―外交戦略の政治学 (中公新書 (721))
曽村 保信
中央公論社
100の地点でわかる地政学 (文庫クセジュ962)
パスカル ゴーション,ジャン=マルク ユイスー,斎藤 かぐみ
白水社

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 高倉健さん亡くなる | トップ | 30年代に出版されたユダヤ関... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

アジア情勢複雑怪奇」カテゴリの最新記事