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ベラルーシ:ユニオンステート vs 未知のベラルーシ

2020-08-19 22:11:48 | 欧州情勢複雑怪奇

ベラルーシの話がなんだかたくさん西側メディアに出てきて、そのあおりでいい加減な記事が出回ってきた感じ。なんでもいいと思うけど、とりあえず、大事なピースが欠けているので補足したい。

まず、ベラルーシには多数の西側工作機関がずっと入ってる。

名高いUSAIDはこんな感じで、親切ごかして若い人たちをサポートしている由。

21世紀のトロキストは理想を説かずフィーリングであなたを誘います!みたいな感じか。

 

 

これまた名高い

National Endowment for Democracy(全米民主化基金)は、現在34プロジェクトを続行中。

ここにリストがある。

Belarus 2019

https://www.ned.org/region/central-and-eastern-europe/belarus-2019/

 

さらに、そもそもベラルーシはEUが金出してる、東方パートナーシップなるNATOへの引き込み団体による工作対象国。青がNATO加盟国、緑が現在工作中の国。

(アメリカ人たちの中にはこれを嫌ってる人たちがいるのは前から言ってる通り。彼ら曰く、それはすでにソ連の中に手を突っ込んでる、やり過ぎだというもの)

 

ここが介入しているってことは、当然NATOの応援団のAtlantic Councilとか、ソロスのところとか数々のお金持ち団体がベラルーシ内に資金を出して入り込んでいることは確定。

 

ロシアは、ウクライナ危機以降、数々のこれらアメリカの現代のコミンテルン団体を活動禁止団体にして、お出入り禁止にしていったが、ベラルーシは何もしていない。

National Endownment for Democracy(NED、全米民主化基金)
MacArthur Foundation (マッカーサー基金)
Freedom House (フリーダムハウス)
National Democratic Institute(NDI、全米民主国際研究所)
Atlantic Council(大西洋委員会)
Jamestown Foundation(ジェイムズタウン財団)
 

ロシア、法輪功を困りもの団体に指定

 

で、ルカシェンコの治世というのは、ロシアから親戚価格の安い原油を輸入して、それを精油して西側に売って儲け、また、ベラルーシの工業や農業の産品は過半数以上(60~70%)がロシア向けで稼がせてもらう、という具合にロシアを利用して安定を得て、西側から金をもらうというもの。

ルカシェンコの行動は、当然ながらロシアから見たら嬉しくもなんともない。ロシアから補助金もらって、懸命に反ロシアを追及していたのだから。

総じて、ロシア国民の一定以上の人々は、ウクライナで懲りて、もうbrotherly(兄弟)はあてにしないという考えを持っていると言われている。もうソ連のように敵も味方も仲間になれるなどという夢を追わぬがいいということなのだろう。

 

■ とはいえEUでもない

とはいえ、ベラルーシは別にEUに入っちゃったというわけではない。EUの国ではない。

にもかかわらず、ドイツのメルケルやフランスのマクロンが、ベラルーシの今般の大統領選挙の結果を認めない、などと言ってみたりする。

何の権利があってお前らそんなことを言うんだい、ってところだが、こうやってEUのエライ国が応援についているのよという政治的介入ですね。

それに対して、ロシアからは、お前らの介入は受け入れられないとプーチンが言い、

Putin tells Merkel foreign interference in Belarus’ affairs is unacceptable

https://tass.com/politics/1190881

 

ザハロワ報道官は、フランス政府はイエロー・ベストの人たちをサポートしろとEUに呼びかけるのかい、と言って、むしろ欧州人から好評を得てた。

Will he call for EU to support Yellow Vests? Moscow accuses France’s Macron of hypocrisy after Belarus protest intervention 

https://www.rt.com/russia/498194-zakharova-macron-tweet-belarus-unrest/

 

そりゃそうでしょう。こういうやり方で、勝手に、あの選挙は認めないのへちまというのなら、フランスの大統領選挙なんか、当確はフィロンの線だったのにフィロンをスキャンダルで追い落として、マクロンが取ったんだから、他国はフランスの大統領選挙はインチキだ、フランス人を扇動した成り行きは民主主義的とは認めがたい、従ってマクロンを大統領とは認めないと言い出したり、あるいは、イエローベストに毎日声援を送ろう、みたいなことをやってもいいのかという話。

 

■ Union State

で、上でメルケルとマクロンにプーチンがベラルーシへの外国勢力の介入をunacceptable(承認できない)と言ったことが現状では重要なマーキングでしょう。

他方で、ロシアは Union Stateの片方だという立場から、ベラルーシに急迫な危難があれば支援する、という形で話していると言っていいと思う。

ロシアの上院外交委員会の人は、我々はベラルーシとUnion Stateを組んでいて、かつ、ベラルーシは我々の最密接な隣国だが、EUは何者なのだ? 私が知る限りベラルーシはEUの構成員ではない、というところまで明言していた。

"We are the Union State, and Belarus is our closest neighbor. We are told not to meddle. But why on earth would the EU meddle? As far as I know, the republic does not form part of the EU," First Deputy Chairman of the Russian Federation Council’s (upper house of parliament) Committee on Foreign Affairs Vladimir Dzhabarov told the newspaper.

https://tass.com/pressreview/1190769

 

今日になると、ルカシェンコも、

EUはベラルーシの話をするな、自分の問題に集中しろ

と言った模様。実際その通りでしょう(笑)。

Lukashenko urges EU not to discuss Belarus, but focus on its own problems 

https://tass.com/world/1191347

 

さらに、ベラルーシの大統領側近が、もし、対立候補だったあの「主婦」の言う通りを聞いてUnion Stateを停止したら、ベラルーシはGDPの25%を失うことになるとベラルーシのテレビで言った模様。

Abandonment of Union State would cost 25% of GDP for Belarus, says presidential aide 

https://tass.com/world/1191459

それで済めばな、って感じでは? ロシアの態度如何で直ちに半分ぐらいになるオッズはそれなりにある。

 

■ 現在のベラルーシとはルカシェンコ体制のこと

そもそも、現在のベラルーシというのは、言ってみればルカシェンコ体制みたいなものでしょう。ソ連を解体した際に、史上初めて独立したけど、殆どの体制をソ連のまま持ち越し、その中にロシアからの支援も入ってる、みたいな恰好を所与のものとして、ロシアとNATOとの間の位置を利用しつつ1/4世紀やってきた。

だから、ルカシェンコを倒すということは、ベラルーシにとっては単なる政権交代ではなくて、必然的にベラルーシはどういう体制になるのかを伴う問題でしょう。ルカシェンコ以前はないんだから。

そこでオファーされているのが、一方はUnion State。

では他方は? EUはそこまで言うのならどうコミットしているのだろうか? 

 

多分、EUのリーダーたちは「リビア」になればいい、ぐらいに思ってるかもしれない。

誰のものでもなくなる場所にして、ベラルーシの人がたくさん死んで、絶望して、娼婦になったりシャブ中になったりするのを、ブリュッセルのリーダーたちは、むしろ幸福と感じるのではないのか?

これはそれほど不思議なことではない。

ちょうど、ヒラリーがカーダフィーの死を楽しむように、メルケルはベラルーシの人たちの絶望と死を待望しているかもしれない。オデッサで人を生きたまま焼いたことが彼女にとって何でもないことならば、ミンスクの人々の絶望もまた何でもないことになるだろう。

Clinton on Qaddafi: We came, we saw, he died

 

■ 劣等人種を扱う気でいるEU

プーチンが、今年の1月、「ホロコースト」の犠牲者の40%はソ連の市民だったという発言を行った際の言葉を思い出す。

「ホロコースト」は意図的に人を殲滅させたものでした。 しかし、ナチスは他の多くの人々にも同じ運命を意図したことを覚えておく必要があります。

ロシア人、ベラルーシ人、ウクライナ人、ポーランド人など他の多くの人々が、Untermensch(劣等人種)と宣言されました。 彼らの土地は、ナチスの生活空間として使われ、豊かな生活を提供するものとされ、他方で、スラブ人や他の人々は、権利も文化も、歴史的記憶も言語もなく絶滅するか奴隷になることが意図されていました。

The Holocaust was deliberate annihilation of people. But we must remember that the Nazis intended the same fate for many other peoples. Russians, Belarusians, Ukrainians, Poles and many other peoples were declared Untermensch. Their land was meant to serve as living space for the Nazis, providing for their prosperous existence, while the Slavs and other peoples were meant either to be exterminated or to become slaves without rights, culture, historical memory and language.

「ホロコースト」犠牲者の4割はソ連市民

 

The Westのやっていることは、70年前も今も別に変わってないのだなと思わされるものだらけだ。

 


 


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3 コメント

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Unknown (にゃんこ)
2020-08-20 11:26:05
ルカシェンコさん、オーガニックチョコレートの会社の社長さんでもあるとの事で、結構私腹を肥やしているのかもしれませんね。
以前に、ベラルーシを旅行した方が、ベラルーシのおっちゃんと話した内容をブログに書かれていて、それがとても面白かったのですが、彼らは英語で話したのかなと。普通のオジサン英語出来るのかな。そのおっちゃん、ナイジェリアへ出稼ぎに行って、そこに、北朝鮮からの出稼ぎも来ていて、彼らと話すと、北朝鮮の労働者も色々良く分かっているようです。彼らも英語出来るのかな?北京のロシア人がよく行く商店のおっちゃん、おばちゃんが、ロシア語ぺらぺらしゃべっていたそうですから、必要に迫られると出来るようになるのかも。
ベラルーシの国の事、ほとんど知りませんでした。
リビアのようになる可能性。本当に欧米諸国はすごいですね。ポーランドの事も、ただ、気の毒な国としか思っていませんでした。日本ではそういう感じですよね。イギリスのドラマを見ててもそうです。チャーチルのあくどさも最近知りました。子供の頃、立派な政治家と教えられてきましたから。
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カエサル気取った冷血の女殺人鬼 (名無しの在日)
2020-08-20 12:23:59
昨日の今日で「今後は自制を」とか言っておきながら申し訳ありません。今記事のご指摘・引用を拝読し、ちょっと怒りを抑えられませんでしたので。

ヒラリー動画のタイトルにもなっている “We came, we saw, he died”って、「来たり、見たり、勝てり」をもじったものなんでしょうおそらく。
「来た、見た、死んだ」ってTVカメラの前で言いながら大はしゃぎしてる政治家の画ヅラって、アメリカでも90年代初くらいまでなら「放送事故」レベルなんじゃないでしょうか。
曲がりなりにも国家元首の死亡という事象を「ウマいこと言うたったw」みたいなネタにするとかね。心底はサラッサラそんな気はなくても、それなりに居住まいを正した物言いをするものだと思いますよこれだけの大物政治家なら本来。

そういうザマでは主さまご指摘のように、ベラルーシを「誰のものでもなくなる場所にして、ベラルーシの人がたくさん死んで、絶望して、娼婦になったりシャブ中になったり」したところで、西側は屁とも思わないでしょう。

アメリカ大統領選の行方、私ごときにはどういう結果が出るのか予測もつきませんが、バイデンに当選させるくらいならトランプが勝った方がよほどマシだと思ってます。民主党は恥知らずの人殺しの巣。
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ベラルーシのリビア化 (ローレライ)
2020-08-20 16:51:45
ベラルーシのリビア化、新自由主義の頭の程度だとありそうだから怖い!暗黒大陸化は日本やアメリカ社会も経験中である。
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