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グローバリスト人道派のスキームが見えた気がする

2019-02-21 17:38:15 | アジア情勢複雑怪奇

ベネズエラでグアイドなる男を外国勢力が支援して、その男を通して外国の軍がエイドを持って侵入しようという試みをしている。

これは普通に考えればこのグアイドなる男は侵入されようとしている国に対する外患誘致罪で捉えられる事態ではあるまいか?

通常、多くの国ではこの罪に相当する(名前はなんでも)罪は最も重い。そりゃそうでしょう、だって外国軍に国を売るという行為だもの。

現在私たちが見ているのは、まさしくそれなのだが、先進各国とかいう各国はこぞって、グアイド支持を打ち出している。

日本も今日正式にグアイドを支持することにしたそうだ。

ということは、このルールを日本の現在の政体が支持するということは、この政体は、いずれの時にか、中国軍が支援する日本人Aが世界各国に支援を求め、中国人民解放軍の軍が北九州の沿岸に張り付き、そこを拠点に援助を入れるから、日本の自衛隊は防御を解けと毎日騒いでる、といった事態が生じた時に、それで良いとするということだ。

つまり、主権国家に対する内政干渉はすべきでないの原則を拒否するということ。すごい選択だね。

 

まぁ、日本の場合そもそも全土が基地化された状態で70年も過ごしているのに多くの国民が気づかないという、世界史上稀に見る寝ぼけたnation(民族集合体)なので、この集合体は、本心のところで、強い人たちが統治してくださるのならそれを受け入れるのが良いのだという原則を支持しているのかもしれない。

 

しかし、他の集合体ではこうはならないので、今日、ベネズエラは抵抗している。シリアもイラクも北朝鮮も抵抗している。

イラク、リビアはnationを壊され、何十万、何百万という人間が殺され、傷つけられたが、だからといって、「主権国家に対する内政干渉はすべきでないの原則を拒否する」という日本式を受け入れようという気があるとは現在のところ聞かない。

 

■ BBCがなかなか詳しいことを書いてる

それはそれとして、イギリス人の大金持ち、バージンレコードやらバージン航空で有名なリチャード・ブランソンがベネズエラでエイドコンサートをする用意をしているという話は、イギリスの中でも、というか、BBCにとっても、全面的に素晴らしいとは言えない感じがそこはかとなくある模様。

BBCに、ブランソンとそれを受けたロジャー・ウォーターズのビデオなどを含めたこの間の出来事のおさらいのような長い記事が出ていた。(テレビでは報じないが記事は書いておく、というアリバイ的なものだろうが)

Venezuela Aid Live: Why is Branson being told to 'back off'?

https://www.bbc.com/news/world-latin-america-47271182

 

そこでブランソンは、エイドコンサートは、グアイドからの直接のリクエストだと言っている。

Mr Branson says it was a direct request from Mr Guaidó and opposition leader Leopoldo López.

また、1971年にバングラデシュで行ったコンサート、1985年のエチオピア飢饉のためのコンサートに触れ、ああやってライブエイドをやることで世界を行動の方向に向かわせたのだ、とか言ってるらしい。

しかし、国連の担当者たちは、人道的援助は政治、軍事、その他の目的とは独立であるべきだと言っている、と。

For example, United Nations spokesman Stephane Dujarric told reporters earlier this month that "humanitarian action needs to be independent of political, military or other objectives".

さらに、ライブエイドであげた収益が本当に多くの人々のために使われたのかというと、実はそうでもなかった、と。エチオピアの時には結局エチオピアの指導者たちが武器を買うのに使われていた部分もある、と。

そして、2010年のハイチの地震の時のコンサートの利益も、ものすごいお金を集めたが、ハイチの復興に使われたとはとても見えないという話も出てきてる。

Benefits after the 2010 earthquake in Haiti, for example, are thought to have raised more than $9bn - but these fundraising efforts were later marred by allegations of financial impropriety by musician Wyclef Jean's charity Yele Haiti. Years after the disaster, people in Haiti said their communities were far from being rebuilt.

 

しかし、ベネズエラでコンサートをやろうとしている組織は、バングラデシュのコンサートは、「グローバルな気づき(awareness)をもたす役に立ち」、「前例のないほどの一般人のサポートを動員する(mobilize)」ことができたと反論している、のだそうだ。

 

■ グローバリスト人道派

いやぁ、これを読みながら私が思ったのは、こういう動きって結局、「カラー革命」への道を整えるために役に立った、みたいな話だよなってところ。

そして、リチャード・ブランソンの動きを見ていると、70年代から一貫して、要するにこれはグローバリストの世界制覇のための一部局なんだろうなどと思った。そもそもこの人自身が、英王室と非常に関係が深い。

やり口はこう。

いかにも良いことをする。しかし、じゃあどうしてそんなことが起こったのかの根本を見ようとはしない。

悲しい話ですね、とか、みんなでなんかした満足感で消費させてしまう。

 

ベネズエラが好例でしょう。貧しい人たちを助けるのだ、と聞くと良いことに見える。しかし、だったら西側先進諸国がこぞってかけてくる経済制裁を止めるのが先だろう、などとは語らない。

イラクで子どもたちが医療品の不足で50万人も死んだとしたら、どうして気づいた地点で医療品を含めた経済制裁(イラクへの輸出を各国に禁止させる等)を止めさせないのだ、という話なのだがそこは華麗に無視する。

ベネズエラもイラクも石油収入があるから金がないわけではない。金は稼げる。しかし、その金の決済を西側世界に握られているから(今回も、ゴールドを英中央銀行が返してくれない)、思うように自分の意思で行動できない。そして、米が経済制裁をかけて各国の貿易行動を制限するから、金があっても買えない。したがって経済発展も安定もできない。そこが問題。

自分でいじめて、自分で任意にかわいそうがる、という狂った行動だとも言える。

 

ということで、これらの「いかにも良いこと」は実に政治的な動き。

しかし、政治的なのはダメ、というトークはトリッキーかもしれない。そうすると、例えばロジャー・ウォーターズの行為もまた、マドゥロの方をひいきすることになるんだから政治的だろ、となる。

問題は、大きなパワー、大きな資金量を持った集団が、あの手この手を使って世界各国をコントロールしようとしているという話。制裁を止めないのも、目的は言うことを聞かない政権を潰して傀儡を付けることだから。

で、これらの世界コントロール志向の人たちのつくるグローバル世界なるものが、それはそれなりに多くの人を満足させられるようなものだったら、その仕組みについていくという手もなくはないのだろうが(上の日本の例はそれを信じた人たちの例)、実のところ、収奪というものが付いている機構で、常に常に上下左右で対立させられるモデルなので安定もしない、というお話。

だからこそ、このシステムに反抗する人たちをなんとかして黙らせようとして、折々にあの手この手でなんとかして黙らせようとする、と。

今回、リチャード・ブランソンを名指ししたウォーターズは、ガッツのある反抗者ですね。

ライブエイドはエイドと関係ない by ロジャー・ウォーターズ

 


 


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4 コメント

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PC面したプロパガンダ機構ー国際NGO (私は黙らない)
2019-02-22 04:23:36
私が特に質が悪いと思うのは、アムネスティや医師団のような国際NGO。NGOの中でも圧倒的な知名度と、信頼度故、誰もが疑いを持たず献金する。そのすべての活動を否定するつもりはないが、シリアでこれらNGOが何をしてきたかを知るにつれ、それがプロパガンダ機構に他ならないのではないかと思うようになった。PCの皮をかぶっているだけに、悪質だ。献金した善男善女の善意はどうなるのだ。
ロジャーウォーターズ、我が家のヒーローだ。こんな人、滅多にいない。
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クレオールの支配層と有色人種の貧困層 (宗純)
2019-02-22 10:40:22
ベネズエラ危機が1ヶ月目に入るが、志位委員長は声明で反政府側支持を鮮明にした。今朝の赤旗の第一面

いわゆる左翼ですが、誰も彼もシリアやリビアの悲劇を忘れているふりで誤魔化していた。
ベネズエラ支持は、櫻井ジャーナルとマスコミに載らない海外記事程度で他は全部が過激な反対派。
中東や北アフリカで起きたことを全部忘れるど、一億総痴呆状態なのですが、
この騒動の中身が良くわからないのです。
マスコミに載らない海外記事の、
ベネズエラの白人優越主義がトランプ・クーデターの鍵
2019年2月8日

にあるようにクレオールの白人支配層と有色人種の貧困層の争いらしいのですが、この事実は日本人には一番縁遠い。
アメリカ在住の映画評論家の町山智浩が、アルフォンソ・キュアロン監督『ROMA/ローマ』(2018年)。1970年頃、メキシコシティのローマ地区で10歳だったキュアロン監督が自分を育てた有色人種のお手伝いさんに捧げた映画で、背景に隠されたメキシコの人種と社会階層を描いているらしい。
これは日本人では一番苦手な部分でしょう。
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PC面(づら) (ブログ主)
2019-02-22 14:36:36
私は黙らないさん、

わかります。きれいな顔して出て来るから余計に腹がたつ。実のところ、助けるところと助けないところを決めている、とてつもない差別主義者の金城湯池だと私は思ってます。

ウクライナの時、オバマが民間人の住むただの団地に砲撃させていたその時、赤十字もUNも抗議の声一つあげられなかったのを見て、これはダメな組織(少なくとも現状)だとはっきり思いました。

ロシアの赤十字とUN関係者が奮闘してそれらの組織をなんとかちょっと動かして結果的にウクライナ人を助けていたのが、結局あそこの地面のいつもの仕様だなとも思った。
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システム支配妄想のなれの果てのような (ブログ主)
2019-02-22 14:46:51
宗純さん、

右派左派というより、the Westまたはthe Systemとでもいうべき「システム」内右派左派 vs そのトークがおかしいと気付いた人、という感じじゃないでしょうか。

論理的に考え絵、むしろ50年代ぐらいまでに左派と呼ばれていた人たちの受け取り方はきっと現代に役に立つんじゃないかと思います。当時の左派はまだ「システム」内左派じゃなかったはずだから。

ベネズエラは、白人vs有色優勢の現地人という構造の上に、チャベスがアフリカでカーダフィーがやろうとしていたようなことを念頭において行動していたことが、「システム」としては許せないというのが大きいんじゃないでしょうか。自国の資源を使いながらのカリブ海・中南米の自立性確立を念頭に置いていたみたいです。
(多分、だからこそこの10年ぐらいで各国が右派にひっくり返されていった)

ただしトランプの現在の取組としては、宗教右派におもねってるという要素が強いと思います。再選されたいから。
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