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豪の石炭を拒む中、露に留まるシーメンス

2019-02-22 16:57:00 | 欧州情勢複雑怪奇

アメリカが支援物資を満載して隣国のコロンビアに行って、ベネズエラに向かって吠えるそうなので、ベネズエラは国境を閉鎖して構えるようだ。ブラジル側では大量のベネズエラ人が国境付近に行ったという記事もみた。

つまり、国内ではむしろマドゥロ支持が固まったみたいな感じさえあって興味深い。

そんな中でも世界は通常通りビジネスをしてるわけで、東アジアでは、中国がオーストラリア産の石炭の輸入を止めているんじゃないかというので騒ぎになっている。

中国、豪からの石炭輸入禁止 両国関係の悪化背景か
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41591580R20C19A2FF2000/?nf=1

【大連=原島大介】中国の税関当局が東北部にある遼寧省大連など5つの港で、オーストラリアからの石炭輸入を無期限の禁止にしたことが明らかになった。ロイター通信が伝えた。豪州にとって中国は石炭の主要な輸出先で、今回の措置は豪経済への一定の影響が避けられそうにない。

 

無制限の禁止にした、と確定情報にしているけど、事実上オーストラリア産の通関が遅らされている、という話であって法的に中国当局が禁止措置を取ったというところまでは行っていないのではないかと思う。

だからこうなることもあるんだよという脅しの段階か? ロシア、インドネシア産は通常通りだという話だし。

ロイターによると、大連のほか、丹東や盤錦など遼寧省内にある計5つの港で豪州産石炭の通関ができなくなった。ロシアやインドネシアといった豪州以外の国からの石炭は影響を受けていないという。ロイターは、今年に入ってから中国で豪州産石炭の通関作業が滞っており、荷降ろしできない運搬船が港の外で列をなしていると伝えた。

 

いずれにしても、ファイブ・アイズが異常な執念をもやして中露をこき下ろし、敵視し、難癖つけては商売の妨害に及んでいることは事実なので、どうして中露側から正常な反応を期待するのか、思えばずうずうしい。

オーストラリア産の石炭は特にコークスに適性のある優良なものなので商品としての優位性はあるだろうが、石炭は中国国内にもたくさんあるので開発の仕方によってはそっちを優先していっても不思議ではない。

また、ロシアもウクライナ側の石炭は有名だが、それだけではなく調査したらシベリア側にも瀝青炭が結構あるんだよね~ってのがわかったんですと何年か前に言っていた。ということは、中国にしたら、背中側の安心なところからの輸入量を増やした方がいいと考えるオプションもあるでしょう。

 

欧州の側でも、全体としてみればずうずうしい筆頭のドイツは、産業界と政治界がず~っと割れていて、産業界はロシアへの関与を小さくしたいなどとは考えていない。

だからこそノードストリーム2というパイプラインについて、アメリカからの度重なる嫌がらせ、度重なる脅しにもかかわらず、断固着工、断固遂行という成り行きになってる。

 

1月にはアメリカの上院議員が、ドイツのパイプライン関係の会社に直接、こんなこと続けてると大変な結果を招くからな、という脅迫状(笑)を出していたという恐ろしい展開になってる。

が、ドイツは折れてない。

それどころか、今度はシーメンスが、ロシア国内でのタービン生産の比率をあげる、こうなったら100%ロシアで生産する、あと1年か1.5年でそうなるとか言ってる。

Siemens reviews accelerating localization of gas turbine production in Russia

http://tass.com/economy/1045375

これは2014、2015年あたりにシーメンスの大型のタービンがクリミアで使われてるとアメリカにつつかれて、制裁違反だ~とかいう騒ぎになったことに対するドイツ・ロシアの答えなんだろうと思うな。つまり、合弁企業を立ち上げてロシア産にしてしまえばいいんだな、と。

このへんは、商売としてもドイツは噛んでいた方がいいんだろうと思う。だって、どう考えてもこのあたりの分野をロシアが永遠にキャッチアップできないとは思えないから。ジェット機作って宇宙に人を運んでる人たちが大型タービンできませんってことはないでしょう。

だから、問題は商業生産ベースの立ち上がりの問題と投下可能な資本の問題。で、ソ連およびソ連崩壊後の混乱の間に西側の優位性を受け入れていたロシアという形のままで、ドイツは商売したい。ロシアはロシア・ドイツ間の政治問題としてドイツの優位性を受け入れられる分野を残す、という判断をしているのだろうと思う。

 

さらに、シーメンスは北極海側のLNGポートでも現地生産化を進め、これは必要な機材を入れるという話だけじゃないんです、これは自社の生産を現地で行い、エネルギーセクターに対するエンジニアリングソリューションをそこでやるって話なんですからね、と何か力強く語ってるようだ。

Siemens to team up with Russian firm to make equipment for Arctic LNG 2 project in St. Petersburg
Published time: 19 Feb, 2019 14:53

https://www.rt.com/business/451830-siemens-arctic-lng-turbine-russia/

 

なんかこう、絶対にサンクトペテルブルク(レニングラード)から離れないと誓ってるドイツ産業界というのも、思えば怖いような気もするけど(笑)、でも戦争しない関係を作っていけるならそっちの方がいいと思うのがロシアだと思う。

そして、次のフェーズはロシアから欧州へのガスの通り道として通過料収入があったがためにガスの女王だのオリガーキができちゃって無茶苦茶になったウクライナは、いよいよノードストリームによってそういう「おいしい」お金がなくなる日が近づくということ。では一体そこをどうするのか? まだ誰にも見えていない。

 

これらを見ていていて思うのは、虚業界は嘘で話を作って(マスコミ&宗教)、それに乗って売買する(金融)ことで話はすむが、実業界はそうはいかない。ただそれだけのことだと思うな。


 


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