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歩兵の歌

2016-12-08 18:07:36 | 参考資料-明治

昨日、思いがけずロシアの戦争時代の曲のコメントをいただいて、youtubeを見たら日本語がついているロシアの歌がいっぱいあって驚いた。

ロシアは音楽を含むパフォーミングアーツの才能が、どうしてそうなのか不明なほど素晴らしい民族だと私は思っているので、軍とか戦争に関するそれにも素晴らしいものがいっぱいある。

毎年やっている軍事パレードの曲目も、いやぁ優良品ぞろいですなぁと思わざるを得ない。パレードに使うためマーチにさらに優れたアレンジを加えているので当然歩行に適しているわけで、BGMとして流しているとなんかしゃっきりする(笑)。

で、いろいろと個人個人で好みがあると思うんだけど、でもやっぱり、私が思うに、彼らのお宝はスラビアンカじゃないのかなぁ。「スラブ娘の別れ」ってやつ。今でも陸軍の行進の際には必ず入っている。

この曲は、ロシア帝国時代に作られたものなので、革命以降は白軍がもっぱら俺らのものだと歌っていたらしいんだけど、結果的には度重なる戦争時代にもロシア内で好まれて歌われていたようで、ソ連もロシアも関係なく今でもロシア軍を代表する曲になっている。

一説によれば、ロシア帝国もソ連も当局者ではこの歌はいかんやないか、と考えた人がいるとか。というのは、歌詞を見ればわかるんだけど、祖国のために戦う青年たちが徴兵されて、ふるさとの景色を見ながら、自分はもう帰れないだろうと思っている趣旨なわけ。だからこそ、スラブ娘にさよならを言う。それじゃ士気に影響するんじゃないか、と当局者は考えたが、そんなことは関係なく歌われ現在に至っている。

プーチン時代になって人気と実力のある歌手の人がカバーしたりして、さらに愛好者が増えているような感じ。

Дина Гарипова и Военный хор - Прощание славянки

 

やっぱりこう、二等兵ってか末端ってかの兵士には兵士の情ってものがあって、その情を満足させるようなものが人々に愛好される、って話なんだと思うんですよ。故郷愛があるからこそ自分の行動に魂が入るわけですし。

 

で、日本にもこれとちょっと似た話がある。

「日本陸軍」という不愛想なタイトルで、この曲は日露戦争の頃に出来たものなんだけど、大東亜戦争時代もずっと歌われて、ほとんど定番の曲だったといわれている。当局者は別のものを流行らせようと(歌詞が古いという理由だとどこかで読んだことがある)いろいろ募集したりしたが、それにもかかわらず特に一番が愛好されていた。私は2番が好き。

【軍歌】日本陸軍

 

一番の歌詞はこんな感じ(出典は wiki

天に代わりて不義を討つ
忠勇無双の我が兵は
歓呼の声に送られて
今ぞ出で立つ父母の国
勝たずば生きて還(かえ)らじと
誓う心の勇ましさ

 

昨日からのテーマで行くと、やっぱり最初っから、この地面とその上に暮らす人々への愛着、祖国愛じゃないんですよね。天に代りて不義を討つ、がテーマみたいなものなのかなぁ・・・。

何が正義か不義かさっぱりわからないけど、でもこうやって父母に送られて出征する我々は正義なんだ、という気持ちが、ともあれ日本の戦争時代には愛好されたということなんでしょうね。2番以下は、各兵科(歩兵とか斥候、工兵とかいう分類のこと)が互いに仲間のために尽力しているという話。

私はこれを悪いというつもりで言っているんじゃないです。徴兵されて命をかける兵には大義が必要だという話だと思う。

そして、この曲が愛好されたという事実は、日本の場合好まれた大義が「正義の御戦(みいくさ)」だったことをはしなくも示しているんだな、と思います。

しかし、さはさりながら、それにもかかわらず、やっぱり兵隊さんたちは、自分たちが大陸で、南洋で死ぬことによって、一人の米兵を倒せばそれだけ、いくらかでも本土への空襲が遅れる、妨害になる、と思って死んでいったんだろうと思います。私はそれが絶望的に悲しいんです。

 

■ オマケ

下でローレライさんに書いた話の続き。

中国の人民解放軍は去年2015年、モスクワの対ナチス戦勝記念のパレードに行った。その時のリハーサルの流れで人民解放軍がモスクワを歩いた時、彼らはカチューシャを歌って歩いていた。

https://www.youtube.com/watch?v=DrZM1B1zBuA

本番でも、解放軍の登場場面の音楽はカチューシャだった(確かめた)。


 

戦場のメリークリスマス [DVD]
大島渚,サー・ロレンス・ヴァン・デル・ポスト,ポール・マイヤースバーグ
紀伊國屋書店

 

戦場のメリークリスマス―影の獄にて 映画版
由良 君美,富山太佳夫
思索社

 

 

 

 


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6 コメント

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ロシア人の気骨 (私は黙らない)
2016-12-11 14:12:28
ブログ主さん、プーチンをカリスマ独裁者としたいのは西側とのご指摘、ありがとうございます。新しい視座を得たように思います。
強烈なカリスマ亡き後、カオスになった国で皆さん思うのはチトーのユーゴだと思います。
ロシアがプーチン後、どうなるのか私にはわかりませんが、NHKのドキュメンタリーで垣間見たロシア人の愛国心、プライド、忍耐強さは、大変心強く思いました。地球上にこうした対抗勢力があるというのは、救われる思いがします。
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反プーチンは結構普通では? (ブログ主)
2016-12-10 17:27:43
「私は黙らない」さんどうも。

プーチンの政策に反対している人はロシアでは普通にいると思われますです。特に経済政策は多分4割かそこらの人は常に反対だと思います。なんでかというとプーチンは自由主義フレンドリーだから(新自由主義じゃないんですが)。

で、別にそれは秘密ではないから、ロシアのテレビメディアでは別の考えがどんどん出てると思います。

支持率が高いのは、それにもかかわらず全体として結果出してるから、というのが第一で、次が、現在は対西側で戦争しているも同然だという認識から、上手くいってるリーダーを変える必要はない、ってな認識が第二であろうと思います。

プーチンをカリスマ独裁者としたいのは、西側の反プーチン戦略だと思います。プーチンは論理的なおしゃべりじーさんで、とにかく説得しようと頑張る人ですから、カリスマ性というテーマからはかなり外れると思う。
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スタローバヤ (私は黙らない)
2016-12-10 04:02:03
同感です。バレエ、フィギュアスケート、シンクロにしても、他国を寄せ付けないのは、もはや彼らの血に何かあるのでは、と思えてしまいます。
ところで、ご覧になられた方も多いかもしれませんが、NHK BSで放映したロシアのドキュメンタリーが期待に反して大変おもしろかったです。

http://www.nhk.or.jp/docudocu/program/2443/2779238/index.html

反プーチンの意見を言う人が全くいないのも、マスメディアに向かって言えない空気があるのかもしれませんが、それを差し引いても庶民の本音が私には大変新鮮な驚きでした。EUからの経済封鎖にしても、困っているのはEUの方で、ロシア人はしたたかに生きているという印象です。ただ、一点心配なのは、強烈なカリスマによってリードされている国は、そのカリスマ亡き後、カオスになることが往々にあるという歴史上の事実です。
今晩9時から再放送します。

今晩9時から再放送です。
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ハイセンス (蔵権)
2016-12-09 09:51:26
チャンネルワンで放送された独ソ戦のドキュメンタリーなんですが、コメント欄がおもしろい。
やっぱり音楽と演出が誉められてますね。
ttp://sp.nicovideo.jp/watch/sm14202913?cp_in=wt_tg
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カチューシャ (ブログ主)
2016-12-08 20:32:57
しかし、チャイニーズはカチューシャを愛好していたといいますし、この愛好は今も伝統みたいにして引き継いでますね。多分私たちが知らないだけであるんじゃないでしょうか。一般人の、この地の戦いという感情があれば、必ず愛する女性は出てくるでしょう。

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『彼女に贈る軍歌』 (ローレライ)
2016-12-08 20:20:49
『彼女に贈る軍歌』はロシアやドイツにはありますが、不思議と日本や中国にはないのでヨーロッパの『騎士道』などの伝統があるのかも知れませんね?
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