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バンデラ主義クーデターと明治クーデター

2019-04-29 19:32:55 | 参考資料-明治

ウクライナではコメディアンが大統領に当選した。ロシアはその直後、ルガンスク、ドネツクのいわゆるドンバス地方の住民に対して、ロシアのパスポート取得手続きを簡易化すると発表。

ウクライナとそのマスターである西側諸国から苦情が舞い込むが、どこもかしこも二重国籍だらけの国々がウクライナに住むロシア人だけ二重国籍はまかりならんなどと言えるわけもなく、話はわやわやとなる。

プーチンはこの処置は、ドンバス地方の住民は、ウクライナのパスポートを発給してもらえないことがあったり、年金を支給してもらえない、教育機会を奪られるといった不利益を受け続けているのだから、人道的な問題だ、と言い切る。

続いて、ロシアはこの簡易手続きを全ウクライナを対象とする可能性もあると言い出す。

Russia may offer fast-track citizenship scheme to all Ukrainians – Putin

https://www.rt.com/news/457688-russia-may-offer-fast-track/

 

それを受けて、コメディアン大統領は、プーチン政権下で苦しむロシア人にウクライナのパスポートを発給する予定がある、などと言い出している。今ここ。

誰がバンデラ主義者の混乱地帯にわざわざ暮らしに行くんだよ、ということで、まぁロシアからウクライナに移住する人はロシア当局者に追われている人に限られるのではなかろうかと想像したりもする。

この成り行きの後ろでは、ロシアからウクライナへのエネルギー供給というマジな話が横たわっているので今後また揉めるでしょう。

ヨーロッパはもちろん口は出すし、余計なこともするけど、根本的にウクライナ人の生活やら幸福に興味があるなんてことは全くないので、混乱を収拾する気もないでしょう。

西欧州とその派生物であるアメリカがこういう関わり方をした場合には、現地住民の大量虐殺と歴史的遺跡の破壊が第一目標で、次にどこかから移民させて、新しくしちゃうって感じを想定してるでしょうね。このやり方をこの人たちは1000年、1500年やってるんだから、これが勝利の方程式と思っているんだと思うな。

といったところで、この先どうなるのかはまだ誰にもわからない。偽旗事件の可能性もあるでしょう。

 

■ 明治クーデターを思い起こすよすがだわ

と、ウクライナのこの5年間を見てて、しばしば考えていたのは、明治なる年号で始まった「新日本」というのはこういうクーデターの結果なのだなということですね。

一般に明治維新などと呼ばれているその出来事は、適切な政権交代というより薩長を中心とした外国勢を呼び込んだゴロツキ勢による政権奪取ですよね。要するにクーデター。ユダヤ人たちを中心にロシア帝国をひっくり返した政変のスケールの小さいものとも言える。

その後の、いわゆる戊辰戦争というのは、言うことを聞かない奴らを痛めつける、殺す、破壊する、という目標で行われたもの。そしてその過程で、「新日本」の王は天皇様なるぞ、とかいってビラを撒いて、これに従わない奴は殺す、と脅して現在がある。

キエフで、正統に選ばれた大統領であった、しかも東部が押していた大統領であるヤヌコビッチ大統領が追い出された時に、東部側の住民は、驚いて、「なんでだ!」と立ち上がった。まったく当然そうなるでしょう。

しかしそれを、キエフを抑えたアメリカCIAは、「奴らはテロリストだ」と宣言して、東部住民はいきなりテロリストとして殺されることになった。これをATOと呼ぶ。Anti-terorrist operation(反テロリスト作戦)。冗談のようですが、これは真面目にオバマ政権が実行した作戦。東部側の団地に住んでいた普通のウクライナ人は朝起きたらテロリストと指定され殺害された。

戊辰戦争前後の日本中の数多い地域、とりわけ東部側の住民の反応もまた、「なんでだ!」であったことは疑いもない。なんだかさっぱりわからないうちに、お殿様とご家中は戦(いくさ)の支度をされ、たくさんの人が死ぬ。お城が壊される。ゴロツキがやってきてあたりを破壊する。一般住民は恐怖以外の何物も感じなかったでしょう。

 

しかも、「私有財産制」というのがまた非常に問題のある制度だったんだろうと思う。現在において「私有財産制」に疑義を唱えたら、お前は共産主義者か、とか言われるだろうが、それはこの制度が着地したから、それをなんらかの大義の元であっても取り上げるとはまかりならん、と解釈されるということ。新日本から最初に取り上げたのは「資本主義者」でしょう。

そもそも、江戸時代で一番偉かったということになっている徳川家は私有財産をどれぐらい持っていたというんだろう? 丸の内や霞が関、大手町、桜田門 etc.という江戸城の周辺の土地は徳川様のものであると、江戸時代の人は間違いなくそう思っただろうが、明治維新なる政変を乗り越えるほどに強い所有権ではなかった。気が付けば私企業があたり一帯の所有者になっている。

大阪や名古屋、仙台といったところのお城はそれ自体大きく周辺が公園となっているのでこの変化に気づかれない人も多いと思うが、地方の町々を歩いていると、お城の周辺のかつて二の丸、三の丸であった場所にたくさんの民間の住宅が建っている。この人たちはどういう順序でこの土地の所有者となったのだろうかとしばしば考える。

多少の知己のあるところで尋ねると、明治の終わりころの所有者のあたりまではわかったりすることもあった。が、なぜその人が、というのも不思議な人物だったりする。特に悪い人でも特にエライ人でもない人が広大な敷地の所有者になる、その経緯はどんなものだったのか。多分、明治の最初の土地台帳などが手掛かりになるのだろうが、そういうものを総合的に調べたことのある人はいるのだろうか?

しかし、台帳に載っていたからといってそれが正統かはかなり怪しい。現在の都市部の郊外などでは、明治の最初になんとかさんという大地主がいたことから付近の来歴が語られているが、問題はどうしてそのナントカさんが大地主になったのか、だろうと思うがそこには触れられていない。多分、農地や共有地だったところを、現金に窮した、あるいは対価の相場がわからない農民やら付近の庄屋クラスの人を相手に買い付けた、という話だろうと想像するが、多数の詐欺まがい、強盗まがいもあったことだろうと思う。

一緒に旅をしていた友人の一人は「そんな手間のかかることしないわよ。勝手に登録しちゃったのよ、きっと」と言った。そうして、おかしい、これは私がどこそこのお殿様からこれこれでと苦情を申し立てる人があり、その証文が前後左右を見渡して受け入れるしか仕方がないなら多少は受け入れ、仕方があるなら丸め込む、簡単でしょ?というのであった。確かに、秩序が厳然と存在しておらず、暴力は一元的に誰かだか知らない「上」にあるのだから、多分簡単だったと想像して悪いことは何もないようにも思える。

 

これらを総合して考えると明治時代が明るい時代のわけはないでしょう。昨日までの秩序が暴力と詐欺の横行によって破壊されているんだから。

また、明治六年の政変など政府内部が割れた事件が多少知られてもいるが、この手の政変の叙述ももう少し考え直すべきだろうと思う。誰がリーダーなのが、なんの故あってリーダーになっていいのか全然わからないままに昨日までの秩序が壊された中での出来事なのだというのが理解されていないように思える。

今年でキエフでオバマ政権が押し込んだバンデラ主義者を主体とするゴロツキによるウクライナのクーデターから5年が経過した。

明治六年の政変とは、つまり来年あたりの話。

混乱しているに決まってる。偉そうなことを言っていたゴロツキはやっぱり泥棒だったとみんなが知る頃とも言えますね。それはちょうどポロシェンコがどれだけ金を使っても票を買いきれなかったように(コメディアンは支持されたから当選したのではなく、まずはポロシェンコを追放するためにみんなが票を入れた、という話。ヒラリーを落とすためにトランプを当選させたアメリカ人と同じだと言ったロシア人もいる)。

 

明治維新といえば神仏を分離していって、日本の聖職者の在り方をぶち壊したことが知られているが、これもこの外側からの影響の強いクーデターの一つの特色だったと言えるとも思う。なぜなら、宗教の在り方、聖職者の配置のされ方、威信、機能といったものは秩序維持、善悪判断、知識、教養と密接にかかわっているから。

といってわたしは別に、今更江戸に戻れとか言いたいわけではないが、現在というのは大きなクーデターがあったことで成立した時代なのだとの理解が及ばないと、次に変化しようがないと思う。少なくともまたプロパガンダに騙されそうだと思う。

 

■ オマケ

司馬遼太郎の著名な「坂の上の雲」は明治100周年にあたる1968年に書かれている。

多分、1945年の敗戦を受けて、根本的に考え直してみようという人々がいたのではなかろうか? だから、それを封じるために「明治維新」を作り直したという成り行きなんではなかろうかと思う。ロシアが敵というのも具合がいいしね。

蜷川新の「維新正観―秘められた日本史・明治篇」が出たのが1953年。

しかし、前から何回か書いているけど、司馬遼太郎はノモンハン事件をほじくるという、日本の社会では力の要る仕事をしている。

つまり、かなりの程度使われ、しかし、だからこそちょっと冒険が出来たという人なんじゃなかろうか。途中でいろいろ気づいた人なんでしょう。だから、この人を全否定することはそれはそれで非常におかしいことになる。

今の著名な作家さんで、こんなこと言える人いなくないですか? シベリア出兵をいかがわしいことと言明できる知識人はもはや見当たらない気がする。

いつでも、ロシアの、ソ連の脅威が語られました。日露戦争が終わったあと、軍部はロシアの復讐を恐れていたのですが、そのうちロシア革命がおこりました。

これは幸いだと思ったわけです。

そして、ロシア革命でシベリアががら空きになったときに、シベリア出兵という、実に恥ずかしい、いかがわしいことを日本政府は行動に移しました。

シベリアで兵隊たちは死に、土地の人に迷惑をかけた。そして、ロシア人にいまだにシベリア出兵の恨みを忘れさせない。そういうアクションをして、リアクションを考えず、やがて何をなすこともなく撤兵しました。何億円という当時の金を使って撤兵した。シベリアを取ってどういう利益があると考えたのでしょうか。要するにシベリア出兵は、恐怖心の当の相手が、やや引っ込んだように見えたようなもので、今でも悪評の高いことですね。日本の近代というのは、実にがさつなものであります。

「昭和」という国家/司馬遼太郎

2016-05-09 22:44:42 | 参考資料-昭和(前期)

 

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