昨日珍しく司馬遼太郎のことを思い出したら、ふと懐かしくなってちょっとネット上を見ていたら、『太郎の国の物語』がDVDになっていることを知った。これはいいです、ほんと。
『太郎の国の物語』は1989年にNHKスペシャルで放映されたもの。太郎とは日本のことなので、ある日本の物語、みたいな感じで明治という国家を司馬遼太郎氏がじゃんじゃん出て来て語っている。ちゃんと知ろう日本のこと、一家で見たいDVDみたいな感じで私は超お奨め。
NHKスペシャル「太郎の国の物語」司馬遼太郎 [DVD] | |
司馬遼太郎 | |
NHKエンタープライズ |
内容的にはこの本にまとめられている。
「明治」という国家〈上〉 (NHKブックス) | |
司馬 遼太郎 | |
日本放送出版協会 |
「明治」という国家〈下〉 (NHKブックス) | |
司馬 遼太郎 | |
日本放送出版協会 |
明治国家を褒めちぎる司馬遼太郎みたいに思ってる人がいるかもしれないけど、褒めちぎってるというより心で一緒に泣いてたと最近思う。やっぱり廃藩置県をして制度をまるまる瓦解させるということは個々人の人生設計をぶち壊しにする話なわけで、そこで翻弄されていく人々のことを思わないわけにはいかないもの。
いろいろ印象的なところは多いんだけど、私がこの「物語」の中で一番胸に迫るのは、滝廉太郎のところ。第3回に入っている。
「荒城の月」という有名な曲を司馬遼太郎は廃藩置県を思わないわけにはいかない歌と語っている。作詞土井晩翠は仙台の青葉城と会津若松の鶴ヶ城のことを思いながら、そして作曲の滝廉太郎は竹田の岡城を思いながら作ったと考えられている。
そうなんだろうと思う。しかし、今から考えればそれはそのまま、閉ざされた分独立的にあった日本が終わった歌とも言える。「昔の光今いずこ」の昔はもう永遠に帰らない。
といって、別にもう一回鎖国したところで意味はないんだけど(笑)、ライプチヒの街に一人たたずむ滝廉太郎を思うと胸が張り裂けそうになる。
NHKスペシャル「太郎の国の物語」司馬遼太郎 [DVD] | |
司馬遼太郎 | |
NHKエンタープライズ |
NHKスペシャルのトークドキュメントシリーズ『太郎の国の物語』全7回を収録した3枚組DVD-BOX。
NHKの短い解説はここ。
トークドキュメントシリーズ 太郎の国の物語
http://www.nhk.or.jp/archives/nhk-special/library/library_taro.html
夏目漱石がロンドンで滞在していた場所を尋ねた下りが印象的な巻 kindle版が出た!
街道をゆく 31 愛蘭土紀行II | |
司馬遼太郎 | |
朝日新聞出版 |
-- -- --