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イラン:ウクライナ機を間違って撃ちました

2020-01-11 17:37:09 | アジア情勢複雑怪奇

イラン統合参謀本部は、8日テヘラン付近で墜落したウクライナ機は、イランの防衛隊が間違って撃ったものとする声明を発表。

それを受けて、ザリフ外相、ローハニ大統領などがそれぞれ、悔いてる、ごめんなさいといった表明をしている。

で、成り行きとしてはPars Todayがまとめていたので引用しておこう。

イラン統合参謀本部は11日土曜、公示を発表し、「イラン領内の多数の地点を攻撃するとしたアメリカの大統領や軍事関係者の脅迫を受け、また、地域上空では過去に例のない規模で空路での挑発行為が増えている中、イラン武装軍は敵側から予想される脅迫への報復に向けて、最高レベルで臨戦態勢を整えていた」と表明しています。

この声明ではまた、「イラク領内にあるアメリカ軍基地へのミサイル作戦の実施から数時間後、イラン周辺の米軍戦闘機の飛行が増加し、レーダー画面上の一部に多数の物体が現れた。これによりイラン対空防衛部隊は益々敏感になった」とされています。

さらに、「このような緊迫した危機的な雰囲気の中、ウクライナ航空752便がテヘランのイマーム・ホメイニー空港を離陸し、旋回中に、革命防衛隊の重要な軍事施設に完全に接近しようとしているところで、飛行高度により標的と識別され、このような状況において人為的なミスにより誤って撃墜された」となっています。

https://parstoday.com/ja/news/iran-i58149

 

こういう位置関係ですからね。飛ぶもの全部が敵に見える瞬間があるというのもわからないではない。

★マークがイランの周りの米軍基地。

「us air bases in middle east」の画像検索結果

 

 

■ 空域のコントロールはどうなってたんだろう

もちろん、これは(もしこの結論がひっくり返らないとしてだが)イランが責められるべき事象となるでしょう。

ただ、これでお終いとは言えないなと思うのは、どうしてウクライナ機は飛び立ったのか、というところ。

つまり、アメリカが1月3日にスレイマーニを民間飛行場でドローンで暗殺した時点で、既にイラク、イラン空域は戦場のようなもの。3日間服喪期間があったが、その中でイランは報復すると言いっぱなしで言っていたのだから、1日目でなくとも、翌日からでもこの空域は民間航空機の飛行を禁じるべきだったのではなかろうか?

また、イランは実はだしぬけにイラクの基地をミサイル攻撃したのではなくて、スイスとイラクに通告することで、アメリカに伝わるようにして、実際アメリカ軍は対象となった基地の人員をシェルターに入れた、というあたりは確定でいいようだ。

(目標は人を殺すことではなく、ミサイルの精度を見せ、かつ、地上施設を破壊することだったから)

そして、時間的にこのシェルター退避が行われたであろうと思われるあたりに、

米航空管制局(FAA)はその直後NOTAM(航空機への通告)を出して、イラン、イラク、ペルシャ湾、オマーン湾上空の民間機の飛行を禁じた ref

https://twitter.com/ethanklapper/status/1214718817361891329?s=20

 

みたいなんですよ。

であれば、これを他の航空機会社にも適用すべきだったんじゃないのか?

イランの空域だから管制はイランの責任だと言っていいと思うけど、エアライン側もこの戦場のような空域に対してどういう認識を持ってたんでしょう?

ここらへんの、民間航空機にとっての重大な問題がきちんと報じられているように見えないところが怖い。

 

ちなみに私が、あれ、民間機飛んでるのか、と思ったのは9日未明(日本時間)にロシアのTASSを見た時に、ロシア航空当局が、ロシアの航空機に対いてイラン、イラク、ペルシャ湾岸空域を飛行するなというお触れを出したのを見たから。

8 Jan, 18:08
Russia’s Air Transport Agency advises airlines not to fly over Iran, Iraq, Persian Gulf

https://tass.com/world/1106231

 

 

■ 思いつき

なにか、いろいろと出てないものがあるんだろうなとは思う。

イラン軍は上のように言っているが、民間航空側の代表は違うと言っているのも一応気にしておきた。

イラン民間航空機関(CAO)のアリー・アーベドザーデ局長は10日、首都テヘラン近郊で墜落したウクライナ旅客機について、ミサイルに撃墜されたわけではないと「確信している」と述べました。

https://parstoday.com/ja/news/iran-i58145

 

だがしかし、どこかが故意、どこかが不慮の対応、意図せぬ反応に対するそのまた反応、みたいなことであったとしても、全体としては中東が大変革中であることには変わらないわけで、これで落ち着くとみるのは大間違い。しかし、第三次世界大戦が~、というのも違う(狂人がハンドル握らない限り)。

多分、外交重視グループ(各国にいる)の考えは、引き分け狙いみたいな感じで収めようというものではなかろうか。

 

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コメント (8)    この記事についてブログを書く
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8 コメント

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訂正と御礼 (ミール)
2020-01-12 11:31:31
皆様
拙文の最終段落の「操作」は「捜査」の変換ミスでした。お詫びして訂正いたします。

И.Симомура 様
私もロウハニの声明に(悪い意味ではない)違和感を感じたのですが,それをうまく表現できませんでした。「踏むべき段階の奇妙な飛躍がある」がまさにその通りです。ありがとうございます。

ブログ主様
おっしゃる通りです。
破壊工作員対策はしっかり行った上で,そういう者たちをも内包して行かないとならないでしょうね。何せ相手が一筋縄では行かないので。
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Unknown (ローレライ)
2020-01-12 06:51:03
しらを切り通せたがイランが認めたのはロシアとの調整の結果と観る!
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恥知らずの愚か者を相手にするのは大変 (ブログ主)
2020-01-12 02:57:50
ローシャンさん、

私も、撃たされたにせよ撃っちゃったことが事実ならそこを率直に早めに対応したのはよかったと思ってます。

そういうところから「悪魔化」しようとする人たちの目を摘むために。ソ連の悪魔化に一役かった撃墜事件も全く怪しい話だと思ってます。

謀略のプロいうと凄い集団みたいですが、でも、やっぱり、その中には花谷正みたいなのは当然いるんだろうなと思うと、謀略屋の先は暗いのではないのかと、希望が見えた気がします(笑)。
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確信犯の謀略 (ブログ主)
2020-01-12 02:53:39
Симомураさん

トランスポンダー小細工
計器の操作による誤誘導
他の機体が民間機の進路にわざと入る

とかとかいろいろありそうです。そういえば1年ぐらい前に、シリアでイのつく国が民間機の機体に隠れて防空網をかいくぐろうとしてロシア軍に怒られてたことがありました。ロシアが誤射で民間機を撃ってしまう可能性があった。


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事実は早く明らかに (ローシャン)
2020-01-12 01:59:46
今回イランが率直に撃った事実をオープンにしたのはよかったと思います。ひっかけられたか、特務がやったかわからないけど、イランの相手は謀略にかけてはプロ中のプロですから、隠すほど真実が見えなくなるでしょう。

昔日本がやった満州事変なんて、東京裁判でも隠し通して、真相が明らかになったのは、戦後10年ほどして当事者の一人だった元参謀の花谷正が雑誌で暴露してやっとわかった。

9.11もそうですが真実が隠されることでより大きな悲劇が生まれる。



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敵機と誤認させられた (И.Симомура)
2020-01-12 00:29:57
小生もミールさんと同様の疑問を抱いている.レーダースクリーンには民間航空機である識別記号が見えたはずだ.官制内部の破壊工作員がそれを外した.または,外部から電子的方法で撹乱された.航跡にある右変針は地上管制官の指示によるものか.或は,誰かが交信周波数を乗っ取り,担当管制官になりすまし,声で右旋回を指示したのか.ミールさんが指摘されたが,ロウハニ師のあの声明には,踏むべき段階の奇妙な飛躍がある.「人的過誤を犯した責任者を処罰する」というのは,「全てはお見通しだ,覚悟しろ」という意味ではないのか.ドンバスで撃墜されたあのマレーシア機も奇妙な旋回を複数行っている.管制官になりすましたものが,スホーイ機からの砲撃に最適なあの座標へと誘導したのではないのか.
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いろいろ変ですが (ブログ主)
2020-01-11 20:53:22
ミールさん、

ご指摘の通り割れてますね、ほんと。2つではなくもっと割れてると思いますが。古い国ってみんなそうだとも思うんですよね、チャイナもロシアも。

だけど反対派をみんな潰すことはできないわけで、それでも共存できるユニティがないと将来的には分割されてしまう。

遠くの敵より難しいのは身内。

私はでもあんまり心配もしてないんですよね。だってイラン人はイラン人の道を行くに決まってますから。
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真相解明を待つ (ミール)
2020-01-11 18:43:09
イランの抱える問題の大きなものに,ロシア以上に国内に西側のエージェントが跋扈していることがあります。

どうしてイラン当局が墜落の原因を突き止める遥か以前に,事故が起こってすぐさまトルドーが「イランが撃ち落とした情報を持っている」と言えたのか。犯罪のことは犯人が一番良く知っているということから考えると,答えは明らかでしょう。

そして,これがイラン人が多数搭乗した便を狙って行ったのはイラン国内に政府に対する批判を起こさせるためでしょう。

ロウハニがこの事件の操作を行って,事件に関わったものを特定し,処罰すると言ったことは,上記の文脈で理解すべきだと思います。
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