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ウクライナ、議会前で爆発

2015-09-01 12:43:11 | 欧州情勢複雑怪奇

ウクライナ:議会前で爆発、死傷者多数 憲法改正審理中
毎日新聞 2015年08月31日 21時04分(最終更新 09月01日 01時02分)
http://mainichi.jp/select/news/20150901k0000m030089000c.html

 【モスクワ杉尾直哉】ウクライナ最高会議(1院制議会、定数450)は31日、親ロシア派が支配するドネツク、ルガンスクの東部2州により大きな自治権を付与するための憲法改正案を審理し、第1回の採決を行った。法案の審理継続に必要な226票を上回る265議員が賛成し、審理継続が決まった。

憲法改正してドンバスの2州に大きな自治権を与えるようにするための審理が行われ、次のステップへとなるところで民族派による爆弾事件が発生した模様。

民族派によると毎日新聞は書いているけど、誰その民族派ってところですね。まぁあの人たちでしょうか・・・。

スプートニク(ロシア)は、ウクライナ内務省によれば30名以上が拘束され、同省は過激なスバボーダ党に疑惑を向けているとしている。(ここ

スバボーダさん、最近出てきませんでしたが、ウクライナ国家社会主義党のことで、つまりここがまるっきりのナチスの劣化・縮小コピーみたいなところ。

これじゃまるで絵に書いたような反抗なので、ほんとかなぁとか思ったりもするけど、だけど事情としては確かに、ウクライナでクーデーターをかまして勝った気になってた、ウクライナからロシアを排除するのだとか言ってた人たちからしたら、現在の状況は敗北なので、こうなる事情があることは理解できる。

(ウクライナからロシアを排除する、というのは文字で書くと大したことがないように聞こえるけど、そもそもウクライナ国籍を持った大多数は民族ロシアなので、それを排除するってどうやるのよ、なわけです。このおバカなカルトじみた発想を持った人を主体にしたことが最初の躓きですね。)

■ ウクライナの財政がらみ、金がらみ

そういえば書いてなかったけど、この間ウクライナ国は、民間債権者との協議が成立し、債権者は20%のカット、支払期間4年間延長で合意。

NHKによればこんな感じ。

ウクライナのヤツェニューク首相は27日の閣議で、多額の対外債務のうち、アメリカの投資会社など民間の債権者が持つおよそ193億ドル(日本円で2兆 3000億円余り)について、元本の20%を削減することで合意が得られたと明らかにしました。また、ことしから始まることになっていた元本の返済も、 2019年からに繰り延べされたということです。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150828/k10010207441000.html

 

「アメリカの投資会社など民間の」はフランクリン・テンプルトンで、この会社はウクライナ危機のほとんど直前みたいな時期に大量に増額して、ウクライナ債権の3分の1を保有していた。(ここ

まぁ誰だって、これって何?と疑うでしょう。一応、だからウクライナ危機で損をしてます、みたいな書き方の記事が出ていたけど、そもそもそんな時期に増額してたってのは怪しすぎでしょう。だから、20%ヘアカットという条件で債権者が損をしたのかどうか、なんともいえん話なんだろうと思う。

さらに、NHKは書いてないけど、民間債権は協議成立だったけど、民間債権ではないロシアの債権は協議不成立。

長く読んでくださってる方がいたら覚えていらっしゃると思うんですけど、このロシア債権がどうも今回のウクライナ危機における英米勢力の取り組みの大失敗の一つだったりするのかな、という感触はちょっとある。

だって、どうしてこんなに欧米金融誌界隈が拘るのかわからないほど拘っていた、ロシア債権はブービートラップだとまで騒いでいた。結果から見れば確かに拘るだけのことはあった謎のロシア30億ドル債権にはクロス・デフォルト条項がついていたというやつね。

このへんで書いたやつ。

ウクライナ雑報:ソロス登場、30億債権、キエフ政権の歴史認識

この債権を、ロシアは突っぱね、民間債権じゃない、国家債務であると主張し、IMFも認め、ヘアカットに応じなかった。

というか、これもやっぱりクロス・デフォルト条項の効果なんでしょうか。つまり、認めないならいいよ、ロシアはウクライナがデフォルト状態であると宣言することができる。そうするとこの条項によってロシアが貸し込んでいる他の債権も期日前でも支払い義務が生じる。ウクライナ、そんな金ねー、アメリカ&その仲間たち、払う気ねー、っていうこと。

でもロシアはデフォルトさせない、と突っぱねてたから別の解釈なんだろうか。詳しいことは結局わかりません。

わかるのは、結局、普通に民間債権者に泣いてもらいましょ、となった、ということ。

そういうわけで、30億ドルは引き続きロシア債権として残るのか・・・。いやおそらくなんかかんかでアメリカが支払うんじゃないのかいうちょっとへんな観測記事みたいなのがZero Hedgeに出ていた。

これを払わないとIMFがウクライナに融資できないからだ、とZero Hedgeの記事は書いていたけど、それってどうなんだろうね。むしろ、問題債権をロシアに持たれたままじゃ嫌なので買いとれってこと?

こんなチャートまでできてた。ウクライナのロシア債権ジレンマ、だそうだ。

 

■ やばいほどバカげた策略

こうやって考えてみると、ウクライナ危機って、やばいほどバカげた取組みだった。主要プレーヤーは劣化版ナチスで、なんだか知らないけど債権売ったり買ったりのビジネスが絡んでて、それらを仕切るのが、ヌーランドとかパワーといったネオコンの妻たち(笑)。そこに各国の軍事予算狙いでNATO関係者が乗りだす、みたいな。

で、日本人たる私にとって問題なのは、このバカ騒ぎになんで日本が付き合わないとならないんだという点ですね、まったく。この危機は日本にとって回避可能でした。そもそもそっちの方は私どもは不案内でとでも、日本国は天皇を抱く国でございましてクーデータには滅法ネガティブですでも、なんとでも言って付き合わなければよかったわけですよ。バカのふりしてる価値すらあった。

もしそういう態度、すなわち全くの自主独立的判断ができていたら、日本の評価は本当に異なるものとなったでしょう。やるな、力あるな、だし、そして、判断が慎重で頼りになるな、だっただろうし、最後には正義感あるなとなった可能性も見えるわけですね。ロシア語話者は世界中に3億人ほどいるわけで、この人たちがみんなして一目置いたら、それはどんなにか長期的なアセットとなったことでしょう。

さらにいえば、アメリカ人たちも、当座は怒ったにしても、上のZero Hedgeの記事がそうであるように、「マケインがいたあのクーデータ」みたなことをさらっと書くようになってるわけで、最終的には、なかなかやるな、となったでしょう。

大事なのは、特定の政権の特定のグループじゃない。私たちはアメリカ人とか中国人、ロシア人、イギリス人といった各国の一般人との関係を築くべきなんです。長い目で見た国家の安全保障の基礎はそこしかない。で、そうであれば、その際の判断基準は、わかりやすく合理的な損得、正義感、判断の妥当性あたりになるはず。

 


 

 

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3 コメント

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ほんとに (ブログ主)
2015-09-04 16:36:15
コメントありがとうございます。
そもそもウクライナというソ連が作った行政単位を民族国境みたいにしたストーリーが無理だった、ってことだと思うんですよね。夢から覚めたらみんなRussianだった、みたいな。波乱の犠牲がより少なくなりますように、と祈ってます。
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今後の推移 (slavs watcher)
2015-09-03 22:15:45
ウクライナはこの先、もうロシアが何もしなくても勝手に自滅して自らロシア圏に回帰しそうですね。誰の想像よりも遥かに速く。それまでに武力衝突含め、幾つも波乱がありそうですが。
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『飼い犬に噛み殺されるウクライナ』 (ローレライ)
2015-09-02 16:26:03
飼い犬『ナチス』が暴れ廻るウクライナ首都キエフ。
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