5月9日はロシアというかソ連というかロシア圏というかの対ナチ戦勝利の日。いわゆるビクトリーデー。
Victory Day Parade on Red Square 2016 (Full Video)
毎年やってるモスクワの軍事パレードで有名。今年もつつがなくパレードが行われたのでそれを見た。去年との比較でいえば、去年のパレードの出来があまりにも、異常に凄かったのでそこからすると控えめ、抑制的なトーンだったと思う。
去年2015年は70周年ということもあり、インド、中国他の外国の軍から儀仗の兵隊さんたちが参加しただけでなく当時の赤軍の制服を来た部隊があったりして、何かものすごいスケールで、かつ、パフォーマンスとして見た時の完成度も非常に非常に高かった。そして、緊張感もすごかったなぁと今更ながらに思う。(動画は多種多様なのがいっぱいあるけど私のチョイスはこれ)
これはつまり、今年(2015年)は軍を実践投入する可能性が高いという状況が共有されていたし、政権も国民にそれを知らせる目的が含まれていたためでなかろうかと思う。国防大臣のショイグ氏が観兵のために登場する時クレムリン内の大聖堂の下で十字を切るという、ドキッとするような出来事もあった。これは、神のご加護を必要とする状態にあるという意味なんだろうなぁとか思ったものだった。
その後、9月の国連総会でのプーチンの演説が来てその2日後ロシア軍シリア攻撃に参加、という流れが来て、話が一気に変わり今に至る、と。
去年10月にはダマスカスにISの旗が翻っているはずだった?
■ 不滅の連隊
今年は、軍のパレード自体はしっかり、さっぱりまとまってたけど、ロシアの政権のフォーカスは軍の整い方自体にはもう懸念はなくて、国民的にこの共有財産をどう定着させるかにあるんだろうな、など思った。
去年もやったけど、今年は去年以上に、「不滅の連隊」に力を入れているようだ。
これこれ。去年書いた通りでしたね。
「不滅の連隊」
しかし、そういうことじゃないんだ。ソ連時代の誤りは誤りとして、あれは俺たちロシアにとって国家存亡の危機で、それを一人一人の犠牲によって支えたんだ、という具合に再提示したきたのがプーチン政権と私は見てる。で、これは嘘ではないですからね。
そこで、今回の対ナチス戦勝記念のハイライトは、実はあの有名な赤の広場の軍事パレードではなくて、国中で広げられたこっちのイベントだと思えるわけです。プーチンが何度も何度も、この日は第一に私たちにとってのホリデーだと言っていた意味はあるわけですね(それを、西側メディアは欧米が参加しないから強がってる、と書くのね)。
いやいや、「不滅の連隊」は今年は去年よりも参加人数が多いんじゃなかろうか。しかもロシア国内だけでなく、在外ロシア人たちが各国で小規模ながらもパレードをやっていた模様。
まぁその、
ロシア弱体化という願望
という動きがある限り、用心してないと俺たちは潰されるってのは彼らの被害妄想でもなんでもなくて実際経験値からも確からしさは高いんだから、用心していくことになるんでしょう。
でね、私はロシアには是非崩れず、強くいていただきたいと思ってます。そうである限り、日本の中に、「ソ人は概して頭脳粗雑、科学的思想発達せず。」云々となめてかかって、あげくの果てに極東シベリアを支配すべき、みたいな妄想が生まれる機会が大きくなることはないから。
司馬遼太郎がはしなくも、日本はロシアが怖かった、だから、革命が起きて相手が混乱した時、しめた、と思ったんだろうと書いていたけど、いろいろ読んだり考えたりして私もこの要素はとても大きいと思うに至りました。
「昭和」という国家 (NHKブックス) | |
司馬 遼太郎 | |
日本放送出版協会 |
■ 不滅の連隊は不滅らしいのならば
で、そうやって考えてくると、不滅の連隊が不滅であるならば、実に困ったことになるのは日本が一番だと思うんですよね。なんでかというと、日本の場合は自国民を欺いているから。
ロシアを叩いて済む問題じゃないですからね、これ。
「昭和」という国家 (NHKブックス) | |
司馬 遼太郎 | |
日本放送出版協会 |
「明治」という国家 | |
司馬 遼太郎 | |
NHK出版 |