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「ジョンの心はモスクワにある」

2016-05-07 18:30:49 | 欧州情勢複雑怪奇

安倍ちゃんの欧州+ロシア訪問が終わった。で、ロシアには、オバマ大統領の強い反対にもかかわらず安倍ちゃんはロシアを訪問した、ってことになってるけど、どうなんですかね。私は懐疑的ですね。

だって、そもそもロシアは孤立してないし、アメリカの国務長官は去年も今年もモスクワを訪問している、その上、今年もまた既にケリーとラブロフは25回の公式接触があるという状況で、ロシアとアメリカが離れているというのはちょっと何なのそれ、でしょう。

単純に、ごく一部のアメリカが突っぱねてるが残りのアメリカは、もうこんなイレギュラーっつか偽の冷戦とかやってられるわけねーだろー、になってるってのが正しいような気がする。つまり、そのごく一部アメリカは浅間山荘に立て籠もってる、みたいな感じどころか、意味不明に混乱させたうえに核戦争も辞さじ、みたいな感じでいるのは、これは「本土決戦も辞さじ」と一緒でしょう。

昨日、ロシアの外務省で広報を担当しているザハロワさんが、ケリーについて尋ねられて非常に面白い答えをしていた。

ジョン・ケリーの現状を、ロバート・バーンズの詩になぞらえて、

"His heart is in Moscow. His heart is not there. His heart is in Moscow, chasing a bear. Chasing not grizzly, but kremlinese. His heart is in Moscow wherever John is,"

彼の心はモスクワにある。彼の心はそこにはない。
彼の心はモスクワにある、熊を追いかけながら。
グリズリーではなく、クレムリネーズを追いかけながら。
ジョンがどこに行こうとも、彼の心はモスクワにある。
 
と言ったんだそうだ。
映像はここ
 
タス通信の記事はこれ。
http://tass.ru/en/politics/874299
 

クレムリネーズとは、クレムリン語みたいな感じらしい。冷戦中に使われてたらしい。つまり、ジョン・ケリーは、グリズリーじゃなくて、クレムリン語と格闘してるってことなんでしょう。

どうしてこうなるかと言えば、上で書いたように、ケリーは、現状をどう整理したもんか、むしろアメリカまたはアメリカと一部同盟国の問題に頭を悩ませている、ってことじゃないでしょうかね。

宴の始末

大きな宴の始末

今日も今日とて、ロシアの国連大使が、別に目新しいことではないんだが、イスラム国だかISが、リビア、アフガニスタン、そして欧州に散らばってるぞー、と警告していた。

Islamic State expanding its activities into Libya, Afghanistan, Europe - Russian UN envoy
http://tass.ru/en/politics/874464


■ 来週月曜は、モスクワのビクトリーデー

それかあらぬか、今日は駐ロシアの米大使が、無名戦士の墓にリースを奉げた。

"We have a deep and abiding respect for the tremendous sacrifices made by the Soviet people during the Great Patriotic War. I am proud that our two nations stood arm in arm in fighting together the defeat the scourge of Nazism," Tefft said.

私たちは大祖国戦争中においてソビエトの人々が被った多大なる犠牲に対し永遠に深い敬意を表します。私は私たちのこの2つの国が共に武器を取って戦いナチズムという災いを打ち破ったことを誇りに思っています。
 
 
日本語版にもあった。
http://jp.sputniknews.com/russia/20160507/2094197.html
 
 
これは、去年の様子とは異なりますね。去年は、ビクトリーデーの式典を西側の旧連合国、つまり、米英仏が「ふん」といった感じで取り合わない、といいつつ、外相たちが無名戦士の墓に詣でるという折衷案を取って、しかしその煮え切らない態度を笑うように、インド、中国がモスクワに儀仗兵の一団を送ってビクトリーデーのパレードに参加し喝采を浴びていた。
 
結果は、中国、インドのみならず世界中の西側以外の人たちが新しい時代はこうなる的に盛り上がって、一方欧州各国の国民の中には自国のこの行動に対して非常に憤慨していた人が見られた。それはないだろう、って感じ。あ、アメリカ国内でも退役軍人を中心に非難ごーごー。
 
そんな中、静かにドイツの動きが興味深かったかも。ドイツ外相シュタインマイヤー氏が5月7日スターリングラードを訪問し、胸をうつようなスピーチをしていたし、メルケルもパレードの翌日にモスクワを訪問していた。
 
このスピーチの真骨頂は、ただだらんと謝罪してるんじゃなくてちゃんとスターリングラードの意味、つまり名もない一般人兵士たちの奮闘が局面をひっくり返すためにどれほど重要だったか、そしてそれがどれほどの犠牲を生んだのかを踏まえているのが素晴らしかった。いろいろ考えると私まで泣けてくる。
 
 
■ ラットライン
 
と、1年たって考えてみるに、やっぱり問題はナチとはなんぞや問題なんじゃないっすかね。というかもっと狭めればラットライン問題。
 
 
wikiを見たら日本語版がない。
 
ラットラインとは、第二次世界大戦後ナチおよびその他のファシストがエスケープしたシステムことなんだけど、後にCIAとなる組織はむしろこの後継みたいなところがあるわけですよね。で、それら諜報機関が、昔はNATO、EUを形作るために影で仕事をして、その後はグラディオ作戦なるものを展開し、結果というか最新の状態はどうなったのかといえば、現在のシリア情勢を見てもわかる通り、なんだのかんだの理由を付けてアメリカ他からの資金を持って傭兵を持ってる。そのうえアルカイダはテロリストだのと言ってる後ろで、実はアルカイダとはCIAの手駒だったりする、と。
 
ウクライナ、バルト三国あたりでナチを賛美している人たちはその表象ってか、第二次大戦どころかその前から手を入れられて凶悪化していた人々の末裔といってもいい。で、それを保護していたのはアメリカ、カナダ、イギリス等の国々。
 
このあたりをどうやって整理していくのかってのが現在の問題なんじゃなかろうか。
 
■ 極東
 
前から思ってるんですが、極東も同様のことが起こっていたんじゃないですかね。自民党がコラボレーターだというだけでなく、様々な人物が実は戦前からずっと日本の支配構造に深く入ったままだったやんか、というのは最近になって語られるようになった。
 
ブレークスルーはこの本か。
 
 
であれば、こっちも本当は欧州戦線並に解明されるべきなんでしょう。
 
が、しかし。私が思うにこのパスコースは危険だ。
誰にとって? すわ、それはアメリカに都合が悪いからだ~とか言うのが現在の日本の知識レベルだと思うんだけど、違うでしょう。これは日本にとって一番ダメージが大きい。しかし、日本はそれを受け止められず暴発する可能性もある(それが1930年代)。へんに落ち込まれても困る。域内のバランスが崩れるから。
 
だもんで、時間をかけてなんとかやっていくしかないだろう、とロシア、アメリカは考えている、って感じなんじゃなかろうかと思う。へんな言い方だけど、いやしかし、多分そう。
 
ワシントンの方を向いてお手だのチンチンだのをするばかりの政治家、知識人ばっかりを日本に作ってしまったのをアメリカは猛烈に後悔してると思う。
 

 
 
 
マンガでわかる永続敗戦論
岩田やすてる
朝日新聞出版

 

永続敗戦論――戦後日本の核心 (atプラス叢書04)
白井 聡
太田出版

 

 


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4 コメント

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『ケリー外交はモスクワ中心』 (ローレライ)
2016-05-07 21:53:07
『ケリー外交はモスクワ中心』『日本外交の覚悟は?』
返信する
ガラパゴス的回答 (ブログ主)
2016-05-07 23:16:17
「そんなことがあろうはずがないのであります」 じゃないでしょうか(笑)。

なんかこのへん、アメリカと戦ったらどうなるのかと尋ねられて議会で陸軍大将が、アメリカには戦術がありません、我々はドイツから学んだのですから勝てます、みたいなことを本気で言ってたという話を思い出させる。
返信する
Unknown (石井)
2016-05-08 13:11:08
日本在住乍ら、ロシアのテレビのみ見ている者です。昨晩の第1チャンネルの「ロシア文化省、国防省推薦」のドキュメンタリー番組「ヨーロッパ解放」は、貴ブログのロジックに近い気がしたので報告させていただきます。
https://www.youtube.com/channel/UCl5wh1Gj5u1k_d2iPeh9FUw
ここ数年、西側の「歴史の見直し」の露骨さ(要はヒトラーを打ち破ったのは米国であり、ソ連はどさくさに紛れて東欧占領したり漁夫の利を得ただけ)に相当カリカリしてますので、ここで一般向けに教育番組を作ったという感じです。良い出来だと思いました。

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アメリカのほの暗い情熱 (ブログ主)
2016-05-08 22:14:47
石井さん、

はじめまして。興味深いお知らせをいただきまいてありがとうございます。

ナチから解放したのは俺らだという線で第二次世界大戦を語りたいとアメリカが考えはじめたのは遅くとも70年ぐらいじゃないかとPaul Craig Robertsが言ってました。

私もこのへんで書いてますのでもしよろしければ。
http://blog.goo.ne.jp/deeplyjapan/e/855bb8dfe5b857d1159bebd3a874c56a

それにしても、あまりにも卑怯未練で気が狂いそうな話だと私は考えていますので、断固、そうじゃない的な記事を書いていきたいと思います。今後ともどうぞよろしく。
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