どうもいろいろ変わろうとしているらしいサウジアラビアは、国王の命令によって汚職摘発委員会が設置され、その責任者に、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子が指名された。
この人。
11 Saudi princes, 4 ministers arrested as crown prince unleashes crackdown on corruption – report
https://www.rt.com/news/408815-saudi-princes-ministers-arrest-corruption/
で、その委員会は、国内の法令、規制等々が適用されず、つまるところ委員会の判断で違反や犯罪を識別し、かつ、懲罰を行うという。すがすがしいまでの徹底した独裁権力ですね(笑)。
なんかさ、ロシアとか中国を独裁権力がどうしたこうしたとかいう書き方をすることが、過去何十年かの習わしみたいになってるけど、そんなの全然違うでしょう。中露は帝国の後の政体であることもあり、法の設置と運用は普通にできるし、むしろ違反に対しては比較相対的に厳しいことの方が多いのではあるまいか。
独裁というのは帝国などの官僚制ががちがちに存在するところではむしろ難しい、というのも一般的に是認される気がするな。
で、むしろ小型の王制でこそ独裁はやりやすいというべきではなかろうか。官僚制が整ってないから。
いや、そんなことはどうでもいいのだが、中露だと独裁、独裁という言葉がこれでもかとつくのに、サウジアラビアみたいな本気の絶対君主制+政教一致国家には、そういう罵倒がなされることは稀であるというのが、現在のアメリカ体制を象徴していると改めて書いておきたい。
要するに、この体制の最強の武器はプロパガンダなんですよ。これによって知性が奪われるという副産物が顕著すぎて、おかげで西側全域で知性の低下現象が見られるとまで私は言いたい。
さてそのサウジ。がぶがぶの産油国なのだが、原子力もやると言い出している。
サウジアラビアがウラン濃縮開始で中東に嵐の予感
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/11/post-8810.php
(中略)
サウジアラビアは、まずは2基の原子炉を建設する計画であり、2018年末までに、建設に向けた契約を結ぶと、ヤマニは10月30日の会議で明らかにした。報道によれば、サウジアラビアは応札の可能性がある韓国、中国、フランス、ロシア、日本、アメリカの企業と接触を持ったという。
中東地域で核兵器を保有しているのは、イスラエルだけ。現在の勢力バランスを維持してこられたのは、核兵器の力が大きい。
つまり、
ロシア、中国、または the West (フランス、日本、アメリカ)という組み合わで声をかけているってことですかね。
ロシアは、イランで原発を作ってるので、サウジもとなったら、それはそれでバランスするのかもしれない。そう考えているからなのかなんなのか、ロシアのロスアトムは、16基作りませんかと提案したらしい。そんなに必要かぁ?
Russia bidding to construct 16 nuclear power plants in Saudi Arabia
https://www.rt.com/business/408586-russia-saudi-nuclear-projects/
ひょっとしたらこれは、中東戦域に対する迷惑料込みでふっかけているんだろうか、など思ってみたりもする。ロシア鉄道(Russian Railwaysという会社)は、サウジで鉄道を敷く交渉をしているらしいし、カマーズの大型トラックを6500台お買い上げ、ロシアの肉の輸出先にもなった、とかとかいろいろと相対的にいえば小さいビジネスも出て来た。
いずれにしてもサウジとロシアの関係は、ロシアとイランとの関係とバランスして見て行かないとならないだろうし、そして、これらすべての動きの先にあるのはイスラエル問題なんだろうと思う。
■ 続報
粛清が続くサウジアラビアでヘリコプターが墜落、乗っていた元皇太子の息子を含む高官が死亡
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201711060000/