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NATO事務総長と会わないオバマ

2015-04-02 15:00:12 | 欧州情勢複雑怪奇

ちょっと面白い記事を見つけた。

オバマ大統領が新任のNATO事務総長にまだ会っていない。新任といっても半年前の話。しかも3月には事務総長はワシントンにいたのに正式な会談をしてない(非公式は不明?)、しかしもちろん事務総長側はずっと前から会談の要請をしていた、ということらしい。

NATOの事務総長は昨年交代して、ラムスセンというブッシュ・ジュニアの子分みたいだった元デンマーク首相から、ノルウェーの首相経験者であるイェンス・ストルテンベルグに代わっている。

これを、なんということだ、といった調子で書いた記事がブルームバーグとThe National Interestに載っていた。

Obama Snubs NATO Chief as Crisis Rages

http://www.bloombergview.com/articles/2015-03-24/obama-snubs-nato-chief-as-crisis-rages

Rejected: Why Obama Snubs Europe

http://nationalinterest.org/feature/rejected-why-obama-snubs-europe-12516

 

欧州各国をがっからりさせている、オバマは欧州を見捨てているのか、みたいな感じでうだうだ書いてるけど、重要なことはそこじゃなくて、会っていないことが明言された、ということじゃないかと思う。


欧州人は全然気づいてないだろうけど、オバマ大統領に故意に冷遇されたと思しき総理大臣を抱く我が国国民といたしましては、この大統領のこういう態度には意味があると断じざるを得ない。

去年からずっと言っている通り、今般のウクライナ問題はNATO現地軍が、あたかもそれ自体に意志があるかのように振る舞っていることが非常に目につく。

NATOは加盟国が平等の権利を有している組織なのでそれ自体としての意志というのは戦略的な話以上にはないのが建前だろうけど、そういう感じの組織には到底見えない。

だからあれだ、極悪な関東軍みたいな感じ。

で、なんでそうなるのかといえば、この組織には実のところ存在理由があるようなないような、だからでしょう。もともと対ソ連ブロックとして作ったのに、ソ連側がワルシャワ条約機構を解体したのに、こっちは残ってそれこどころか拡大していった。

メディア上はロシアが攻めて来た~、というムードの作成に成功しているけど、誰が見たって攻めてるのは「東方拡大」しっぱなしのNATO軍。その上でウクライナまで取ろうとして、大きなノーがやってきた、というのが少なからぬイギリス人が去年3月から言ってること。(主流メディアはそうは言わないけど)

さらに、ウクライナでの危機はつぶさに見れば分かる通り、小競り合いを大きな戦争にさせたい勢力が確実にいるらしいことはもう疑いがないわけで、そこに加担している(焚き付けている)のはNATO軍関係者なのではないのか、と考えたくなる(私はそうだと思ってるし、おそらくポーランド人にもこれに賛同してくれる人はいると思う。あそこが怪しいことの基地めいたところになってるから)。

NATOと第三次世界大戦はしかし今に始まったことではない。1999年ユーゴ危機の時にもこの話題は出ていた。あの時も、アメリカ人のウェズリー・クラーク将軍がロシア軍を挑発しようとしたが、その行為の帰結は全く不要な争いになるといって、イギリス軍のマイク・ジャクソン将軍がイギリス軍本体と相談して阻止したと言われている。その時に、ジャクソン将軍が「I'm not going to start the Third World War for you.(あなたのために第三次世界大戦を起こす気はありません」と言ったという話が非常に有名。(Incident at Pristina airport

と、考えて来ると、やっぱりこう、現在非常に問題なのはNATOという、思いがけず巨大になった組織だというのはある程度あたりなんでしょう。リビア、シリアあたりもここの作業だろうけど、ここまでは、不道徳すぎる、モラルゼロの軍事組織の所業という恐ろしい事態ではあったにせよ、負けはないしある程度制御もできた。しかし、ウクライナに突っ込んだことは、どういう結果にせよ最終章でしょう。

一方、北大西洋条約機構というより、ユーラシア冒険軍みたいになってるNATOの方は、組織防衛として、バルト3国、ポーランドあたりに振付けさせて、きゃーきゃー言わせ、意味不明に危機を煽って、今度こそ大きな担保を得たと思ってる。

しかし、アメリカ人の保守派、リアリスト系(そしておそらくオバマ政権)が恐れているのはそうすると何かが引き金となってエスカレートしていく可能性なんでしょう。満洲事変を考えればわかる。一旦火がつくと世論は、不合理だろうがなんだろうが自分に都合のいい方向に景気の良い話に飛び乗る。そうすると一部軍人がますますやる気になって、最後には意地とか面子がかかってくる・・・となると、ウクライナという地平では核戦争を視野に入れないとならなくなる。

Jens Stoltenbergでgoogleしたら、

NATOは東方拡大していない、ただ東欧各国がNATO加盟を希望しているだけだと事務総長が言ったとか、各国の防衛負担の増額の問題がここ1週間ぐらいの記事の見出しになっている。ということは、東方拡大を少なくとも問われてるという意味でもある。

予算については、欧州って実はこれだけ煽って世界の終わりみたいな記事があふれていても、どの国も、一旦は、ええその通り防衛は大事とかいうんだけどたいして増額する気はない。アメリカからすれば、EUは全部あわせりゃアメリカよりお金持ちなわけで、なんで俺らが殆どの防衛負担をするんだ、という非難がず~っとある。これも無理からぬこと。

ドイツから出た欧州軍の話も、オプションの一つとなるんでしょうか。この話は、まだ立ち消えでもなくてチェコの大統領が最近でもこれに賛成していたりしてた。

■ 米陸軍の東欧演習とパレード

米軍は米軍で妙なことをしてるんだよね、これが。米陸軍がわざわざ遠征して東欧各国で演習して、その帰り道、何日間かかけて東欧各国を車輌100台ぐらい、戦車だの装甲車だのを連ねてわざわざ練り歩いてる。つまりパレードしてる。これって何のパレードなの? 占領軍は俺、主人は俺だってことを忘れるなパレード? なんか、とってもへん。自分たちは歓迎されているという思い込みでやってるんだろうと思うけど、何か、痛々しい気がする。

もちろん各国の軍人家庭の人たちが出迎えて、歓迎!とかやってて、一方では、反戦グループが、go home(出てけ)とやるという決まりきった反応が取られてる風なんだけど、大部分の人は「さわらぬ神に祟りなし」的に嫌なものは見ない、話さない、みたい感じになってると想像する。つまり、これって米軍にとって追い風にはならん、と私は思うわけで(誰だって唐突にこんなものが日常空間に来たら嫌でしょ?)、なぜやってるのか理解不能。

Germany: "Army go home!" - 'Dragoon Ride' met with anti-US Army protest

 


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