DEEPLY JAPAN

古い話も今の話も、それでもやっぱり、ずっと日本!
Truly, honestly, DEEPLY JAPAN!

ボストン爆破事件メモ、ミランダ警告適用除外など

2013-04-23 01:01:01 | 日々雑感

●ボストン爆破事件の容疑者兄弟の兄は、2011年にロシアから通報があって、その後にFBIがインタビューをしている。

2011年というと、ロシアでは2009年の地下鉄爆破テロとか、どこかもっと他でもテロ事件があった。でもロシア政府はチェチェンがらみではないと言っていたはず。しかし、たぶん、それはうまく統治というか関係を進めるための判断、とかだったのではないのか(チェチェン人全員と敵対する必要はない、悪い奴だけ捕らえればいい、とかいう判断)なんてことが言われていた気もする。やっぱいろいろチェックは行き届いていたということなんでしょうか。

●兄は市民権を申請したが、授与はされていない。
上のFBIのインタビューがあったことと、2009年にガールフレンドとのいざこざで暴力沙汰を起こしていることが主要な要因で、さらなる調査が必要と判断され、結果的には月曜の爆破事件までには授与されていない。

http://www.reuters.com/article/2013/04/21/us-usa-explosions-fbi-idUSBRE93K0AY20130421

弟は、2012年9月11日に帰化済みなので、法的にアメリカ人。

お兄さんは法的にはチェチェン共和国の人(だと思う間違いでした。チェチェンの隣のドゲスタン共和国の人)ということになり、アメリカにとっては外国人。これが逆だったら、法的にアメリカ人でない人の尋問になるから結構複雑になる可能性もあったけど、今となってみればまぁいいか、みたいな(何がいいかはわからないけど)

●ミランダ・ライト適用外
いわゆるミランダ警告、またはミランダ告知ともいう。捜査当局が、被疑者に対して、あなたには黙秘権がありますよ、供述はあなたに不利になることもありますよ、弁護士立ち会わせる権利がありますよと告知し、この告知がなされない状態での供述はオフィシャルじゃない、というルール。

今回はFBIが公共の安全を理由として適用除外を宣言しているようだ。

事件発生からしばらく立つと、米メディアが事件を描く表現としてテロ事件という言葉を使い、そのうちオバマもそう呼んでいたが、これは、印象とか気分、または事件の規模の問題(他にももっと大きな犠牲者を伴う拳銃乱射事件はよくある)じゃなくて、ミランダ警告の内容を無視して進めらられるか否かがかかっていたのでしょう。

テロと捜査、裁判の進行に関する手続きはずっと議論されており、それはミランダ警告の問題だけでなく、もっと広く、そもそもテロ行動であると認定された場合は通常の裁判ではなく軍事法廷で裁くべきという意見もある。だいたい半々ぐらいで支持と反対があるように記憶する(この事件で支持が広がるという気配もあるが)。

通常裁判を否定する根拠としては、黙秘権を許したり、その個人の人権を守るという目的のために事件もしくは潜在的な事件の全容が見えなくなるのは間違いだ、という考えによる。

しかし、じゃあ国家がそれはテロだと認定するその認定に誤りがあったらどうするんだという考えも当然に想起されるわけで、そういうわけでそう簡単に、そうねその方が合理的ね捜査を進め、もってテロを未然に防げるわ、賛成よ、とはならない。

このへんはアメリカは結構正常にまじめに対応していると思う。いろいろ思うに任せないことにはなっているにせよ。

個人的には、一国内の話とみたときには慎重派の言い分に分があるとおもものの。さはさりながら、法の支配の正義は果たして国際事件にも通用するものなのかと考えてくると、強硬派の意見もわかるんだよなぁなどとも思い出す。

というのは、そもそも世界はまったく正常でも公正でもでないから。これが問題。

世界の中には、国内法の執行がいい加減な国もいっぱいあるわけで、そこに根っこがありそうな問題が発生し、それが故にテロが発生した場合に、表面に現れた容疑者の人権に配慮した結果として、後ろの組織には常にアクセスできません、とか、なんかそれっておかしいだろうと思えるから。正しくあろうとする人は、常に正しくない人たちに負けていく可能性が見えているのにあえて正しさを追求するとしたら、それはどういう罰ゲームなんだろうと思うのだ。

こちらは目一杯透明なのに、あちらは秘密でも圧迫でも圧制でもOKみたいな不均衡を是正できる見込みが可能な限りない世の中にあって、そんなきれい事はどこまで続くのよ、との疑念を持たないわけにはいかない。これからは国際法ぜよ、ってのはまぁその、現実問題、夢、希望の類でした。

(とはいえ、アメリカの場合は、他国に対して有形無形様々な手段で脅しをかけていくという外交姿勢を是としているので、全体としてみれば、まじめにやっていて気の毒だともあまり言えないのも事実。このへんは強いからこそ勝手なバランスでやってると思う。)

■FBIの執行ガイドライン内にあった、Public Safetyを理由としたミランダ警告の適用除外
http://www.fbi.gov/stats-services/publications/law-enforcement-bulletin/february2011/legal_digest

 

●ロシア当局の通報について

ロシアにとってはチェチェン周辺の動向は常に重要なので、その観測体制の中からこのおにいちゃんに対するフラッグが立ったのだろうけど、既にすっかりアメリカで平和に暮らしてる人によく到達するものだと感心した。

が、アメリカFBIはその通報を受けて容疑者の自宅までインタビューに出向いて話をして、結果として問題ないと判断した。このへん、どうしてそういう判断になったのか、FBIはそのうち議会とかから詰め寄られると思うので、続報を待とう。

なんとなくの感想だけど、これって、アメリカFBIの人も所詮はアメリカ人だってところに問題があるのかもなと想像したくなる。つまり、アメリカ人の外国に対する知識の乏しさはハンパでない、とは以前から言われているけど、そこには、人を見る目も含まれているかも、ということ。

アメリカ国内にあって、この兄弟は広義には白人だし、見た目も悪くない頭も悪くない、スポーツOK、意地が悪いようにもみえない。こうなると、大丈夫なんじゃないかと思い為す要件ばかりが目立つ。そしてそのデータの裏側で数値化できないものが落ちていく、と。

それに対して、ロシア当局は彼らの本拠地と浅からぬ縁を持っているわけだし、登場人物は民族的に近しい人とその関係者みたいなものなので、見た目や行動パターンについてもっと微妙な差異を嗅ぎ分けられる、みたいなこともあったのかしらなど思う。

グローバリズムの弊害のような話だわと思ったりもする。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 俳優・三国連太郎さん死去 | トップ | 江戸城の宮廷政治/山本博文 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

日々雑感」カテゴリの最新記事