神護寺へ
旅の3日目、12月2日(金)は雨。一段と寒さの増したこの日、体力に自信のない家人は、山登りの様な神護寺拝観を拒否し、私一人、京都駅発8時丁度のJRバスで高尾方面へと向かいました。
9月14日に出掛けた「空海と密教美術展」を観て、空海が住み、密教の儀式を施したのが神護寺であった事を知り、どんな寺なのか実際に訪れてみたいと思いました。これがこの山寺を訪れたい一番の動機ですが、ある大きな錯覚もありました。この寺にお参りすれば両界曼荼羅(いわゆる高尾曼荼羅)を再度拝観できるものと思い込んでいたのです。これは全くの誤解で、私の浅学さを思い知ることになるのですが・・・。それに、友人のBさんから「神護寺にいらしたら、必ずパンフレットを2部頂いてきてね」との強い要望もありました。 バスに揺られること55分で山城高尾到着。バスを下車したのは私只一人でした。雨降る周山街道から、谷を越えた山中にある神護寺は全く見えません。心細い思いで清滝川への階段を下る道すがらに、終わりかけた紅葉と落葉が私を迎えてくれました。(写真:まずは清滝川へと下りま)
谷まで降り切りいよいよ昇りに掛かります。かなりの階段と坂道を昇ること15分くらいで漸く楼門到着。350階段はありました。拝観料400円を支払い、パンフレットを2部頂いて境内へ。バスを降りたときは私一人でしたが、この辺りまで昇って来ると、バスツアーの拝観者が多数。とくにこのところ、クラブツーリズムの団体が目に付きます。更に階段を昇って金堂到着。(写真:神護寺へ至る階段)
(楼門) 本尊の薬師三尊をお参りした後、側面をまわると曼荼羅の模写があり、高尾曼荼羅に付いてお坊さんにお聞きすると、「ここには保存されてはおらず、京都国立博物館に保存されていて、今は非公開ですよ」との事。両界曼荼羅のようなものは保存状態の良い場所にしか置かれていないという、当たり前の事に思い至ったのでした。(写真:金堂)
多宝塔まで昇ると金堂の屋根や山が良く見渡せます。雨は上がり一時青空も広がって来ました。”弘法大使霊場遺迹本山”と称するだけの険しい山中の寺だと実感しました。苦労して登り詰めてお参りをしてこそ、有難みも増すというもの。家人とは京料理店「乃し」での待ち合わせ。それに間に合う京都市バスは10時48分発。慌てて下山を開始しました。(写真:多宝塔よりの眺め)
(ハイキング中の一団にも出合いました)