マーちゃんの数独日記

かっては数独解説。今はつれづれに旅行記や日常雑記など。

さよなら『おとめ湯』

2013年07月01日 | 銭湯

 文京区の銭湯の灯がまたひとつ消えた。
 千石の「おとめ湯」が、昨日の6月30日をもって、創業以来60年続けて来た営業を終えたのだ。建物と煙突の老朽化がその原因と、貼り紙には書かれていた。2年前まで11あった文京区の銭湯は、3・11大地震時に煙突が壊れ、根津神社すぐそばにあった「山の湯」が店を閉じて10に減少。昨日で遂に9となってしまった。文京区に限らず、都内の銭湯も同じように減少一途の運命を辿っている。銭湯を愛するものの一人として、非常に残念なことだ。






 「おとめ湯」は、男湯・女湯の仕切りに、岩石を主役とした植え込みがあり、浴室から、水槽を泳ぐ鯉が眺められた。又湯から出た一画に休憩出来るスペースがあり、親子連れが寛ぐ様子や、軽く一杯引っかける人の姿も見られ、入浴+アルファーが楽しめる湯として人気が高かった。”神田川”に歌われたように、”いつも私が待たされた 洗い髪がしんまで冷えて 小さな石鹸カタカタ鳴”るようなことは起こらなかったはずだ。私は3ヵ月に一度ほどの割合で、独りでここに通っていた。(写真:男湯・女湯の仕切り)






 既に3ヵ月以上前から、6月30日をもって閉店との貼り紙が出され、最終日には必ず入湯しようと決めていた。この日の入浴料金はなんと75円。昭和49年5月の料金表が掲示され、今日はその当時の料金で入れるというサービス。嬉しい気分になり、足を一歩脱衣所に入れると、大勢の入湯者が目に入った。ざっと数えると30名はいるだろうか。









 ここの”薬湯”も気に入っている。温度は42度位で長湯には最適の温度だ。湯船に腰かけ銭湯談義をする二人の話に耳を傾けると「この辺りの銭湯密度は日本一、いや世界一」と語る人あり。私「本当ですか」と尋ねると、「ここの隣の宮下湯(豊島区)で、銭湯組合の方から聞いた話です」とのこと。正確な話か否か確かめようもないが、何故か頷ける話だ。(写真:薬湯)
 銭湯去り際に「長い事お疲れ様」と声をかける人多し。私も番台に一声かけて「おとめ湯」を後にした。