7月11日(木)、江戸東京博物館での「ファインバーグ・コレクション展」へ、再び出掛けた。6月18日に作品の展示替えがあり、一昨日までが後期展示。前期とは異なる作品が多く展示されることが、展示リストから窺えた。 後期のみ展示の作品を中心に鑑賞した。入場して直ぐに観たのが、第1章「琳派」に登場の、酒井抱一の「柿に目白図」、かって購入した抱一の画集の「十二ヵ月花鳥図10月」で似た様な作品を見たが、この絵は観たことが無かった。暫し足が止まった。柿の木と、それに留まる目白という簡素な図だが、柿の枝が右上へ、中央へと伸びていく、のびやかで大らかな図柄。その図右上に綾瀬漁人梓(亀田綾瀬)の賛が書かれていて、文字が小さくて読めない。しかし、この図の解説文にはその賛と意訳が書かれていた。
『脱風吹雨過林盧 柿葉飄紅手自書 無限瀟湘江潚景 一樽相対鱸魚』とあった。
細かい内容は忘れたが、凡その意味は『林を風が吹きぬけ雨が止んだ後の、赤く熟した柿の絵を眺め、洞庭湖に思いを馳せ、山奥に酒と魚を持参し一献傾けた』の様な内容が書かれていた。特に酒を持参して、山に入り、良き友と酒を酌み交わした、との賛の詩を読みながら、この絵を眺めていると、陶然として来て心地よいものがあった。言ってみれば、一献傾ける図や詩は、自らをそこに重ね、感情移入しやすいだけの事かも知れないが。(写真右:柿に目白)
森狙仙「滝に松樹猿遊図」は楽しい絵だ。猿の家族を描いたこの図は子猿に愛嬌が感じられ、全体の構図も素晴らしいと思う。森狙仙は小動物の絵を多く描いたようだが、特に定評のある猿図が良い。
今回は図版は購入せず、気にいった図の絵葉書を購入して来て味わっている。以下にそれを。(写真下左:滝に松樹猿遊図)
(俵屋宗達:虎図)
(鳥文斎栄之:遊女と蛍図) (葛飾北斎:源頼政の鵺退治図)
(曽我蕭白:宇治川合戦図屏風)
(山本梅逸:嵐山春景)