今回の帯広行で、トムラウシ温泉に2泊もしたのには理由があった。昨年の秋、息子夫婦は、岳父と共にこの温泉に1泊し、温泉そのものを気に入ると同時に、ここからトムラウシ山への登山が可能であることを知った。私たちが帯広滞在中にここまで足を延ばし、彼ら夫婦と私の3人でトムラウシに登ろうと考え、7月のこの時期の、この宿2泊を予約したのであった。
私の思いはやや複雑だった。息子夫婦との登山は待ち望んでいたことではあったが、日帰りでのトムラウシ登山はキツ過ぎると思えたからだ。7年前、山の友でもある菅原さんと2人、雨の日ではあったが、このコースを下山に使った時の大変さを実感していた。まして、登り+下り、これは無理と思えた。ならば、いとせめて高山植物咲き乱れる前トム平までを案内出来ればなと考えたのだった。
(東大雪荘は大きな宿) (渓流沿いに広々とした露店風呂)
帯広に着いてから、家事と勤めに忙しい弥生ちゃんは鍛錬する機会が全くないと聞き、それでは「沼の原」湿原を目指そうかと考えたが、現地情報ではここへ通じる車道は昨年崩壊し、いまだ修復ならずとのことで、結局、前トム平までの登山と決めた。
7月19日、息子宅発16時30分。18時10分温泉着。なんと所要時間1時間40分。 7月20日、4時に車で宿発。短縮登山口までの悪道を行き、4時25分着。登山口にはなんと、既に100台以上の車が停められている。4時30分にスタート。カムイ天上まで1時間20分。道はかなりヌカルんでいて歩き辛い。ここからは先は、かっての登山道の沢コースは立ち入り禁止となっていて、尾根コースを行く。残念ながら熊笹を刈った登山道には高山植物は何もなく、更に厳しくなった泥んこ道を難儀しながら登った。この泥んこ道が弥生ちゃんには厳しかったのだろう、足を痛め、前トム平まで行かないでリタイア。
この日は雨模様のため眺望にも恵まれず、高山植物にも出会えずに山登りを終えてしまった。弥生ちゃんが、これ以降「山のぼりはイヤ」とはならないことを祈ろう。(写真:右は短縮登山口の駐車場)
(帰路。キタキツネに出会った)
ここ東大雪荘はトムラウシ登山の前線基地として大人気だそうである。ここを基点とすれば13時間かければピストンの日帰り登山が可能だ。朝3時にスタートし16時に戻って来たグループは、夕食時は大はしゃぎの喜びで盛り上がっていた。クラブツーリズムご一行様もいた。勿論日帰りピストン登山。添乗員に概略を聞いたら「東京・新千歳間は往復飛行機。以降はバス利用でのトムラウシ温泉2泊。お値段は150,000円」とのこと。私には無縁のツアー。
ただ日帰り登山では勿体ない気がする。私に、再度トムラウシ登山が可能ならば、この東大雪荘に一泊し、早朝出発で山頂付近の南沼テント泊。山頂付近の、乱れ咲く高山植物を満喫出来たらなと思う。そんな日は来るか?