徒然なるままに…なんてね。

思いつくまま、気の向くままの備忘録。
ほとんど…小説…だったりも…します。

捨て犬ラックの物語…エピローグ

2007-11-11 16:53:16 | 捨て犬ラックの話
 ラック(仮名)の物語にお付き合い頂いた皆さまに御礼を申し上げます…。
プロローグを書いたからには…エピローグで最後を…と思い…後日…実際にあった不思議な話をひとつ…。
それで…終わりと致しましょう…。



 ラックが逝ってしまってから何年経ったか…オカンは防犯の鬼と化し…家中の鍵を変え…何重にも施錠をするようになった…。
何しろ…ラックが居なくなるとすぐに…お隣に空き巣が入ってしまったのだ…。

 もともと火の元と戸締りには神経を使うオカンだが…この厳重な施錠具合を見れば…ラックが如何に実家と両隣の警護役として活躍していたかが窺える…。
それだけでもラックは十分に家族としての役目を果たして逝った…。

 或る日…オカンは窓を閉め切ったまま風呂の掃除をしていた…。
いつものように…洗剤をかけてゴシゴシやっていたのだが…急に具合が悪くなってきた…。
呼吸が困難で胸が苦しくなり…風呂場を離れて…寝室の方でのびてしまった…。
どうやら洗剤による中毒症状らしいが…その時のオカンにはそんなことを考える余裕もなく…ただひとり…伏していた…。

 オカンは夢を見た…。
それこそ…よく言われているお花畑と三途の川の夢…である…。
その場面の詳しい場景は分からないが…どうやら…オカンも川の向こうへ行こうとしたらしい…。

 すると…突然…鼻黒とラックの2匹が現われて…オカンを行かせまいと邪魔をした…。
オカンの足に纏わりついたり…服をくわえて引っ張ったり…。
オカンは鼻黒とラックに…そんなことしたら行かれないがね…というような文句を言ったそうなのだが…2匹は懸命に邪魔をしたという…。

 先に亡くなったオカンの母親…つまりdoveの祖母が居て…あんたまだこんなところへ来ちゃだめじゃないの…などということを言われたらしい…。
それで戻ってきて目が覚めた…。

 何日か…しばらくは胸や喉の調子がおかしかったというが…何とか自力で回復した…。
後からそれを聞いた弟たちやdoveは…オカンが窓を閉め切って風呂掃除をしていたことに呆れたが…それと同時に鼻黒やラックに感謝した…。
もし…2匹が邪魔をしてくれなかったら…それこそオカンはあの世行きだったかもしれない…。

 単なる夢に過ぎない…と言えばそれまでだが…単なる夢だとしても彼等の記憶がオカンの脳に刺激を与えてくれたことだけは確かなのだ…。
齢が齢だから…目が覚めることなくのびていたら…それだけでもどうなっていたか分からない…。

現実的な話ではないので…本編では書かなかったけれど…これも彼等の思い出として…家族の記憶の中に残っている…。

 動物を飼うのは…こちらが思う以上に労力も経済力も時間も必要で…それも長期間に亘り…かなり大変ではある…。
それでも彼等は…それに値する以上のものを与えてくれるとdoveは思う…。

 この話のように…死んだペットが命を救うとか救わないとか非現実的なことは別としても…彼等の与えてくれる喜びや癒しはとても大きい…。
何より…彼等の命の温かさは…作り物では到底得られない…尊いものである…。


ラックたちはdoveに感謝しているだろう…と皆さんから温かいコメを頂いてとても嬉しかったが…本当に感謝しているのは…実はdoveの方なのである…。




合掌…。







この物語を読んでくださる方が…捨て犬や捨てネコについて少しだけ…興味を持ってくだされば幸いです…。


この物語を書く決心をさせてくれた記事です。

http://blog.goo.ne.jp/wildboar_36/e/a86629d45b6e4487bf2eecdc41ab92b0