スペインの慈善団体がアップした動画が話題になっていた。(BBC 2020.11.12)
それはアルツハイマー病を患う女性が、チャイコフスキーの「白鳥の湖」を聴いて、振り付けを思い出し、踊り始める動画だった。
曲が進むにつれて、遠い過去を取り戻すかのように表情や手先などの動きが生き生きとなってゆく。
女性は元バレリーナのマルタ・ゴンザレスさん。キューバでバレエを習い、1960年代にニューヨークで主宰するバレエ団とともに活躍していたと
いう。
スペイン・バレンシアの介護施設で撮影されて間もなく2019年に亡くなっているが、アルツハイマー病患者の生活向上のために音楽を活用してい
るスペインの慈善団体「Asociacion Musica para Despertar」が動画を公開した。
五木寛之氏が「物書きをしていると、指先にも記憶があるのではないかと思うことがある」と何かの本に書いていたことを思いだした。最近は
滅多に無いが、確かに文章を書く時に言葉が浮かぶと漢字、ひらがながを自然に書き始めることは経験してきた。
記憶は五感で脳内に入ってきた情報が整理されて海馬に深くしまわれているものらしいが、動画の女性には身体そのものに振り付けが記憶されて
いたのかもしれない。
生き物の不思議さ、神秘さは神経物質の伝達などのメカニズムだけでは到底、説明出来ないということだろう。
最期に聴きたい音楽・・・、脳内の整理がつかない。