自民党総裁選挙の時に、岸田首相が「新しい資本主義」ということを言い始めたが未だに分からない。
通常国会が始まったので、録音した施政方針演説の「新しい資本主義」の部分を繰り返し聴いてみた。
驚いた。
「市場に任せれば上手く行くという新自由主義的な考え方が生んだ様々な弊害を乗り越え、持続可能な社会の実現に向けた歴史的スケールでの経済社会変革への動きが始まっている。
私は成長と分配の好循環による新しい資本主義によってこの世界の動きを主導していく。」
と述べているにすぎない。
演説はこれまでの経済対策の短冊を繋いだだけ。「新しい資本主義」という大上段に構えるほどのものは何も無い。
岸田首相に求められているのは、この日本がどのような状態にあり、どのようなことに取り組もうとしているのか、国会で具体的に語ることではなかったのか。
岸田首相が世界をリードするとは思えないし、格差と貧困の拡大などの新自由主義の弊害について一般論を述べているだけで、自らの「新しい資本主義」についての説明から巧妙に逃げている。
〝霞が関文学〟によくある手法だがマスコミはあまり問題意識が無いようだ。
あの「美しい国」に通じる空疎なキャッチフレーズを思い出す。これから参院選を控えて何かと言えば「新しい資本主義」を冠にした補正バラマキ予算が組まれるだろう。役所は予算要求が通り易い。要注意だ。
感染症対策も重要だが政治不信、格差と貧困の拡大、新しい産業創出の中・長期的な投資、気候変動対応、東アジア外交等々、国会論戦のテーマは山ほどある。
〝政策提案型〟を標榜する野党の出番だが準備はどうなのか、発信が無い。代表質問が始まってもマスコミは感染症オンリーであり、むしろ〝争点回避国会〟を黙認しているかのようだ。
分裂のマグマも動き始めて、泉代表、大変ですよ。