ラグビーワールドカップ(RWC2019)まであとひと月になったが盛り上がりは今ひとつのような気がしている。
かく言う大昔のプレーヤーも6月の大学同期会で「見所を教えてくれ。」と聞かれて、「最近のルールは分からないし、TVも雑紙も見ていない。」としか返事が出来なかった。
商業主義に染まってはならないというシーラカンスのようなラガーが、今の日本ラグビーはどんなことになっているのか、お盆に一冊読んでみた。
書かれていることが全てそのとおりだとは思わないが、そもそもRWCに参加すべきかどうかで葛藤していた日本ラグビー界がある意味で健在であることに妙な安堵感を覚えた。
著者は“世界最高峰”とされる南半球のプロリーグの「スーパーラグビー」に日本から「サンウルブス」を参加さる原動力となった上野裕一氏(日体大OB)。
「今、日本ラグビーには目指すべきビジョンが無い。」という。ワールドカップイヤーでどうしたことだろうと読み進むと、どうやらプロ化を巡って日本ラグビーは“難破船”状態になっているらしい。
サンウルブズの2020年度シーズン限りの撤退、日本ラグビー協会幹部の大幅入れ替え、前回大会で南アフリカを破った時のヘッドコーチであるエディ・ジョーンズ氏の日本からの転出・・・全てが〝ラグビーとアマチュアリズム〟という古くからの命題と無関係ではなさそうだ。
世界を目指すならプロ化を徹底すべきと考える上野氏は協会の「アマチュアリズムの堅持」は幻想と考える。
事実、RWCの勝者はイングランドを除いてスーパーラグビーで戦っている南半球のラグビー宗主国だ。
しかし、奇跡の勝利と言われた前回大会の南アフリカ戦の時にサンウルブスは存在していない。
主将のリーチ・マイケル始めメンバーは高校、大学、社会人と日本のアマチュア組織で育ち、確か何人かは個人としてスーパーラグビーのチームに所属してスキルアップしていたと思う。高校野球からプロ野球、大リーグ、世界リーグの構図だ。
社会人のトップリーグは既にプロチーム化しているし、同じフットボールのサッカーは世界の強豪チームに所属しているプレイヤーを招聘してワールドカップを戦っている。この方法で何が不都合なのか、というのが読後感である。
日本協会の肩を持つわけでないが、アマチュア組織がプロ組織を財政支援することはあり得ない。ましてや赤字体質の日本協会がスーパーラグビー運営組織から求められた10億円を負担するのは目的と手段が逆転してはいないか。
世界一を目指すのは理解するとして、そのためにプロチームが必須なのか。先ずはプロリーグに相応しい強さとセンスを備えることのような気がする。
WRC2019が終われば選手の多くが引退するであろうJAPANがサンウルブスの成果を出せるか、興味深く観たい。それが同期のA君への回答かな。