季節はずれのインテルメッツォ(続)

音楽、文学、絵画、スポーツ、シェパード等々についての雑記帖。

ショパン前奏曲集(おまけ)

2008年09月18日 | 音楽
コルトーが前奏曲すべてに題名を与えていたことはすでに書いたとおり。

全音から出ている邦訳に、ちょっと注文をつけたりしたが、他の出版社から出ている前奏曲集の解説に、コルトーが題名を与えていたことに言及したものがあって、腰を抜かしたので、暇つぶしがてら紹介しよう。

武士の情けで、日本語訳を与えた女性の名前は伏せておこう。僕はフェミニストだからな。八田さんのと併記しておく。八田さんのを最初に記します。( )は、僕がコルトーになったつもりで突込みを入れたもの。

1番「愛される女性の熱っぽい期待」「いとしい人を待つ」(曲想を暗示する力は八田さんの方に軍配が上がる)

2番「悲痛な瞑想、人気のない海、遠く彼方へ・・・」「郷愁の思い、遠く開けた
海のような」(これも同様。八田さんの訳からは、力なくさまよう眼差しを感じるね、うまく表現できている)

3番「小川のせせらぎ」「小川のうた」(まあ、違えようもないが、せせらぎとい
う語が躊躇なく出てくる感性が好ましいとは思うね)

4番「墓の上で」「親指で」(???僕はフランス語が解らないと言ったじゃない
か。それにしてもこの差はどこから来るのだ、誰か教えてください。気になって夜も眠れない。親指で?指圧の心か?それともヒッチハイクか?)

5番「鳥のさえずりに満ちた木」「うたであふれた木々」(木も切り倒されるときには叫び声をあげるそうだが。木々がうたうなんてスタジオジブリだよな)

6番「郷愁」「ホームシック」(間違いなの?と詰め寄られてもねえ。せっかく
2番で郷愁という言葉を覚えたのに、この人は。ああ、ショパン作曲ホームシック。日本語は・・・どこへ行った、とホームシックを覚えるぞ)

7番「甘い思い出は、香りのように記憶の中に漂う・・・」「すてきな思い出が香水のように記憶の中に香っている」(すてきな思い出、ひと夏の体験、女性週刊誌の読みすぎじゃ。香水のような思い出!むせ返りそうだ)

8番「雪が降り、風がうなり、嵐が猛威をふるう。しかし私の悲しみに満ちた心の中では、嵐がもっと凄まじく荒れ狂っている」「雪が降り風が吹き嵐が吹きあれる。しかし私の悲しい心の嵐はもっとすさまじい」(甲乙つけ難い。もとい、甲乙つけ難い、というのは両者に高評価を与えるときだな。凄まじいという言葉がよろしくない。八田さんのを使うのなら、嵐が、ではなく嵐ははるかに激しく吹きすさぶ、とでもしたらどうか。

9番「預言者の声」「預言者の声」(同じになるであろうと予言しておった)

10番「消え行くのろし」「降りてくるロケット」(・・・ロケット・・・李白は五言絶句、ここでは余白無言絶句。それにしても、ウーム、ショパンの時代にもしかしたらUFOがいたのかもしれない。否定できる根拠はない。それにしても・・・)

11番「乙女の願い」「少女のあこがれ」(月刊マーガレットか)

12番「闇夜の騎士団」「夜の乗馬」(夜景を見にドライブに行かないか、ベイブリッジあたりに。中華でも食べてさあ)

いや、恐れ入りました。もうやけのやんぱちだ、あと12曲紹介しちまうわ、持ってけ、泥棒!と寅さんのようになってしまう。おまけをもういっぺん書きます。お付き合いください。