そういえば、本日発売の漫画雑誌「イブニング」で、なんと小谷みどりさんの本が原作となった作品「没イチ」(きらたかし作)が始まりました。初回記念の小谷さん本人のインタビューも載ってます。ご興味のあるかたは読んでみてください。
もうご存知でしょうけれど、没イチとは、配偶者を亡くしたことを示す、小谷さんが考えた言葉です。「未亡人」は女性個人に対する、ある種差別的な言葉ですが、言葉のイメージとして暗い感じがする。一方、「バツイチ」という言葉は、離婚という一般的に言って悲しい経験に少々笑える力を与えていると感じます。バツイチから発想して、配偶者を亡くした人にも前向きさを、と願い、自身、ダンナさんを突然死で亡くした小谷さんがつくった言葉です。
この言葉の持つ明るいイメージ、訴求力に着目して、若い編集者が企画を考えて漫画家に依頼して始まったのが、今回の作品なのだそうです。昨日、東京・護国寺の講談社に行って、その若い発案編集者から担当を引き継いだ40代の編集者に会って話しをしてきました。
雑誌をいただいて、読んでみました。言葉には魅力はあるし、いまの社会のニーズはあるとしても、あの小谷さんの本の世界をどう表現するのか興味津々でした。しかも、私が想像する没イチって、高齢者だと思っていましたから。70、80代の男性が妻に先立たれ、へなへな弱っていく、あのイメージ。逆だと、女性は夫が死んでも元気になるんですよね、不思議なことに。
でも、実際は、40、50代のまだ働き盛りに配偶者を亡くす人は結構多いんですね。私の周りにも何人かいます。40、50代をターゲットにした「イブニング」では、そういう読者層を想定して、主人公は45歳のドラッグストアの店長さんです。小谷さんの体験とそっくりの、ある日、寝ていて、妻が死んでいることに気づくところから始まり、初回でもう葬儀も終えて、ぼーっとしているところに、友人から誘われて「婚活パーティ」に参加して………っていう展開になってます。あれれっ、ネタバレになるからここまでにします(笑)。
友人の「お前、没イチのままずっと独りで生きていくつもりかよ」とか、「残された者が次の幸せさが探したって罰は当たんねぇだろう」という言葉が、この漫画の芯の部分になっていくのかも。小谷さんがよく言ってる「亡くなった人の分まで幸せになれ」っていうメッセージ。とても素敵じゃないですか!