生きる

思い出を抱えて生きる

お見舞い

2012-07-14 13:27:54 | Weblog
生憎のそぼ降る雨の中、めざすは、この道の行き止まり
遠くに家が見えてきました。
そこからは、いろんな山がぐるりと見渡せます。
さて ここはどのあたりになるのだろう?
北海道の東川?
山です。
何度も訪問しているのにわからない。

このたびの最大の目的は、お見舞いでした。
入院をこばみ 治療もせずに 一日一日衰弱していくであろう方です。
それでも6月に携帯電話でか細い声で
「もうご飯が食べられなくなった」とポツンとおっしゃっていました。
「顔をみにいくまで元気でね!」
「ウン」
さあ 大変! モノが食べたくなくなった人がいったい何を口にできるのだろうか?
さんざん考えた末に リンゴジュース、黒砂糖、お米の爆弾
手紙を添えてさっさと送ってしまった。
後から・・後悔してもはじまらないが なんだか陳腐なような気がする。
行動が先に来る私は、あとから ひそかにあぁぁと思っているようだ。
このたびもそうだ!
玄関先でのご挨拶は開口一番「早いですね」であった。
確かに・・!
少しでも早くと気が急いた。

周囲の山を一望できる一番いい場所にベッドはしつらえてあり 腕は点滴につながれていた。
うつらうつらしながらも時々意識は覚醒し
ぽつりぽつりといろんな話ができたことは幸せでした。
痒がる腕をさすり 手を・・
そう握る手は雄弁でした。
しかし毒舌も健全で
「めづらしく優しいな」には笑ってしまいました。
「会長は、めづらしくハンサムよ」
「・・・」
「顔がすっきりして今までで一番いい男ぶり」
かすかな笑みが浮かぶ。
こんな時 喉の奥に熱いものがこみあげて 
泣いてはいかん 
涙よひっこめと心で思う。
握る手をはなして 
「それじゃ!しつれいします」
沈黙の後
「もう生きてあえんかもしれん」だった。


北海道は、ずぅっと天気が悪かった。

一人になるといろんなことが反芻されて泣いてしまう。
誰に迷惑をかけるわけでもなし 声をだして泣く。


  木製パレット屋のつぶやき