江戸の妖怪、怪奇、怪談、奇談

江戸時代を中心とした、面白い話を、探して、紹介します。

『浪華奇談』怪異之部 4.蝦蟇(がま)

2024-03-03 19:59:49 | キツネ、タヌキ、ムジナ、その他動物、霊獣
『浪華奇談』怪異之部 4.蝦蟇(がま)
           2024.3
蝦蟇の秘術


お盆の最中に、玉造り伊勢町(大阪市東区)の武家の縁側に乾菓子(ひがし)を盛り置いてあった。
しかし、風もないのに自然と前の植え込みの方へ飛んで行った。
家内の人が、これを見てあやしみ、ひそかに菓子の行末を見た。
すると庭に大きな蝦蛙(がまがえる)がいて、いながら口を開き、菓子を喰っていた。

これは、煉気(れんき)の術と言って、蝦蟇(がまがえる)だけではなく、蟒蛇(うわばみ)などが居ながら獣を引き寄せて飲み込むのも同じである。

あるいは、鴨居の上を行く鼠を、下にいる猫が白眼で落して取るのも似た事である。