『浪華奇談』怪異之部 4.蝦蟇(がま)
2024.3
蝦蟇の秘術
お盆の最中に、玉造り伊勢町(大阪市東区)の武家の縁側に乾菓子(ひがし)を盛り置いてあった。
しかし、風もないのに自然と前の植え込みの方へ飛んで行った。
家内の人が、これを見てあやしみ、ひそかに菓子の行末を見た。
すると庭に大きな蝦蛙(がまがえる)がいて、いながら口を開き、菓子を喰っていた。
これは、煉気(れんき)の術と言って、蝦蟇(がまがえる)だけではなく、蟒蛇(うわばみ)などが居ながら獣を引き寄せて飲み込むのも同じである。
あるいは、鴨居の上を行く鼠を、下にいる猫が白眼で落して取るのも似た事である。
2024.3
蝦蟇の秘術
お盆の最中に、玉造り伊勢町(大阪市東区)の武家の縁側に乾菓子(ひがし)を盛り置いてあった。
しかし、風もないのに自然と前の植え込みの方へ飛んで行った。
家内の人が、これを見てあやしみ、ひそかに菓子の行末を見た。
すると庭に大きな蝦蛙(がまがえる)がいて、いながら口を開き、菓子を喰っていた。
これは、煉気(れんき)の術と言って、蝦蟇(がまがえる)だけではなく、蟒蛇(うわばみ)などが居ながら獣を引き寄せて飲み込むのも同じである。
あるいは、鴨居の上を行く鼠を、下にいる猫が白眼で落して取るのも似た事である。