江戸の妖怪、怪奇、怪談、奇談

江戸時代を中心とした、面白い話を、探して、紹介します。

「天草島民俗誌」河童記事  その11から15

2021-12-06 20:59:04 | カッパ

「天草島民俗誌」河童記事  その11から15

「天草島民俗誌」(浜田隆一著、東京郷土研究社、昭和7年、1932年)

                              2021.12

河童は、夏は川にいて、冬は山に登る    「天草島民俗誌」河童記事  その11
河童は、夏は川に居て、冬は山に登り、しゃかぎの根にかくれている、と云う。
そして、その河童のいる木は枯れている、と云う。
夏の川で、子供が遊んでいると、友達に化けて来て、綺麗な花などをくれるから、来い、とだましてじご(しり)をとる、と云う。
(以上、池田瑞穂君の報告)

川の河童が山に行く日  萬鉄五郎  その12
浦村では、川祭の日は、川の神様が年に一度山に帰る日である。
その日は、川にいる河童が、みな山に行く、と云うので、皆泳ぎに行く。
泳がない者は、川に魚釣りに行くことになっている。
        

河童の妙薬  「天草島民俗誌」河童記事  その13
昔、浦村に小さなお寺があって、その前に一つの御堂があった。
そのお堂に、毎晩怪物が出る、と言うので、村で一番強い男が、それを退治に行った。
夜中になると、何物か毛だらけの手で頭を撫でた。
それで、すぐにひっ掴んでグッと引いたら、外の地上に、ドシンと大きな音をたてて、何か落ちた。
早速 馬乗りにまたがり、山刀で殺そうとすると、
下から
「私は何も悪いものでない、河童ですから、今までの事は許して下さい。」
と言うので、許してやった。
けれども、後でまた悪い事をしない用心の為に、片腕を切って逃した。
すると、一週間ばかりたって、夜中に自分の家の戸をコトコト敲く昔がした。
出て見ると、この間の河童がションボリ立っていて
「どうか、腕を返して下さい。
そん代りに、怪我の妙薬を差上げますから。」と言うので渡してやった。
河童は、その腕を切口にはめ、上に薬を塗るとすぐによくなった。
その薬を、その強い男に渡して帰って行った。
(蓮田辰夫君の報告)
         
冬は山に行く河童  「天草島民俗誌」河童記事  その14

河童は、春分から秋分までは水の中に居て、秋分から春分までの寒い間は山に行く。
春分から秋分までの暑い間は河の中にいて、盛んに活動するので、河の水が濁る。
山に居る時には「クロモの木」の根にいる。(迫頭才次郎氏) 

        
河童は、もとは人形であった   「天草島民俗誌」河童記事  その15

昔、「たかたんばんじょ」という人がいた。
有名な大工で、或る城を造るとき、沢山の人形を作って、それに魂を入れて、仕事の手伝いをさせた。
そして怠けたり、言うことを聞かなかったりする時は、才槌(さいづち)で頭をたたいたので、自然と頭の上が凹んで来た。
仕事が完成してから、この人形たちが
「わしだ(わたし等は)これから何ばしやっしゅかい?」と言つた。
すると「たかたんばんじよ」は、
「お前達んごたる ひゆじ(?)は、人の尻どん 取ってちくらえ」と言った。
それで、この人形たちは、川に行つて棲み、河童となった。
今は、頭の上は皿の様に凹んでいて、人の尻を取って食っている。
(仁田長政君の報告)



最新の画像もっと見る

コメントを投稿