栄冠ゼミ (著)、220円(税込) 私立校・中高一貫校生の夏休み(8月)の勉強の仕方を紹介
タイトルに書きました通り、国語の勉強法ですが、
これは理系の講師の方が、授業中に行った講習をもとに考えてみました。
その講師の方は、理系の方らしく、国語をあまり好きではない典型的な方でした。
国語の嫌いな多くの方が言う言葉「答えが一つではない」のが納得いかない、すっきりしない。
だから生理的に嫌悪する、好きになれない、点数が取れない、成績が上がらない。
気持ちはわかりますが、そうは言っても、国語の授業が無くなるわけではありません。
大学で理系に進むとしても、小中高と12年間、国語と付き合わなければなりません。
講師の方も、その葛藤に揺れていましたが、いかんせん赤点と取って、嫌いな国語を補習、
追加で宿題を出される、成績を落とすのは、もっと嫌だと考えたようです。
学生時代の彼は頭の中である一つの結論を搾り出し、それを勉強法として実行したようです。
ここで、その方法を話す前に、その講師の方が行った授業を語らせて頂きます。
その授業はテスト前の授業で、非常に大事な時期でした。
しかし講師の彼は授業を行う際に、教科書のテスト範囲はもちろんのこと、
生徒が持ってくる学校のノート、参考書を一切見ないで、授業に臨みました。
さすがに、塾としてはそれはどうかと思ったのですが、授業が始まって、数分すると
こんな授業があったものかと驚き、そしてこれはこれである意味画期的でもあると思いました。
授業の予習を一切行わなかった彼が取った授業は、まず生徒からテスト範囲の話を聞き、
あらすじを“生徒本人”に説明させました。
彼は黙ってそれを聞き、生徒も拙くはありますが一生懸命教科書の物語や小論文の
あらすじ・全体像を“説明”しました。次に登場人物のことを聞き、同じように説明させます。
講師の彼はそれを黙って聞き、そこで初めて話の内容を大まかに理解し、授業を始めました。
そこからの授業は全て対話式で、先生が聞く・生徒が答えるという授業です。
当然ですが、講師の方は教科書を“読んでいない”ので、質問を矢継ぎ早に生徒に浴びせます。
生徒は教科書を“読んでいる”ので、自分なりの言葉で答えようとします。
そこで、講師は言います
「君の言葉、君なりの答え・表現はいらない、私が質問することに対して、
教科書のどこになんと書いてあるからそうだと言えるのか?
教科書を見ても構わないから、一字一句違わずに、教科書に書いてある通りに、
言って欲しい。書いていないもしくは学校の先生が違った説明をしたというのであれば、
必ずそれがノートに書いてあるはずだから、そこから抜き出して説明してほしい」
これを一時間通してやると、生徒は授業でやっていたことを再確認し、
講師の方は教科書を読まずとも、教科書の内容をほぼ把握することができていました。
次の一時間は更に詳しい質問、学校の先生の授業ノートに沿った質問をすることで、
ほとんどの生徒が長文読解のコツをつかむようになりました。
この授業を見て、これは国語の長文読解の勉強の仕方(長文読解の問題を解くコツ)
そのものだと思いました。
このようなアプローチの仕方の国語の授業は初めてではありましたので、
びっくりしましたが、終わってみると生徒は教科書の内容を実によく把握し、
かつ“読解”のコツをつかんでいました。
国語の授業では先生・講師の方が一方的な説明、意図する答えを求めるような質問で
子供達がポカンとしている、へぇ~そうなんだ程度となりがちですが、
この講師が行ったやり方では、内容を全く知らない人に説明しなくてはなりませんでの、
当然、教科書に書いてあることから探す、探したことを整理して説明するということを
しなくてはなりません。ぼけーと説明を聞いている暇はありません。
上記の授業では、
物語の内容は? 山場は? なぜそんなことが起きた? なぜ主人公はそう思った?
その後どうなった? それらは教科書のどこに書いてある? ノートのどこに書いてある?
と質問が次々来るのでは、生徒も良い緊張感を持って、講師の方との授業を楽しんでいた
ように思えます。
実際に、その生徒は、長文読解の得点が、数点分上がっていたので、
効果がわかりづらいところではありますが、効果があったといっても良いと思います。
この授業、これが国語の勉強法の根幹だと私は思います。
国語の嫌いな多くの方が言う言葉「答えが一つではない」に対する答えがここにあると思います。
答えは教科書の、物語の、文章の中に書いてあるのです。
それ以上のこと、あなた独自の新しい答えなど求めていません。
教科書の、物語の、文章の中に書いてあること・答えを探し出して、
それをそのまま書き出して・抜き出して下さい。
あなたがどう思う、あなたが答えを作るという主観的なことを書くのは、感想文です。
国語のテストで求められるのは客観的な事実(教科書のどこに書いてあるか)を
見つけて、書き出す・抜き出すことです。
さて、それがわかれば、勉強は簡単です。
この授業のように、教科書を読む際に、常に「なぜ?」を考えながら読めばいいと思います。
例えば、主人公が悲しんだと書いてあれば、なぜ、どうして言えるのか?
どんな言葉でどういう表現をしている文章があるから、こう言えるのか?
ノート(先生の説明)にはなんて書いてあるだろう?
これを考えながら教科書を読んでいくと、教科書の隅々になぜ?を書き込め、
それに対する答えになる箇所を見つけることができると思います。
考えながら読むが難しいという方は、教科書の文章の横になぜ1、なぜ2、なぜ3・・・と書き込んで、
それに対する答えになる箇所を、赤ペンで答え1、答え2、答え3・・・と書き込んで構わないと思います。
国語が好きな方は、これを自然に、当たり前のようにやって、物語を、文章を読んでいるのでしょう。
ですので、国語好きの方が、国語嫌いの方に教えると、お互いがミスマッチしてしまうのだと思います。
国語好きの方が、こういう風に書いてあるから、こういう風に考えるだよと、いくら言っても、
国語嫌いの方にはその勉強ができません。
上記の講師の方のように、まず教科書の文章に答えが書いてあることを認識・意識して、
主人公はこう思った、こうなったけどなぜだ? ああ、こういう風に書いているからかと
逆の発想で理解していかないと、国語嫌いの方には難しいと思います。
この方法で、高得点が取れるかどうかは判断が難しいと思いますが、
この方法で教科書の隅々になぜを書き込み、答えを見つけていれば、
少なくとも赤点は免れると思います。
国語嫌いの方はもちろんのこと、国語好きの方も、
試してみるともっと国語が好きになる、テストの点数が上がるかもしれません。
ぜひ一度試してみて下さい。
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