ラパロスコピストの夢

大阪梅田で子宮内膜症と闘うラパロスコピストのblog
子宮内膜症、子宮筋腫に対する腹腔鏡下手術はどこまで進歩するのか?

子宮筋腫核出術への私のこだわり3 - Myoma Pseudocapsule(MPC)を温存して筋腫だけを核出する -

2025-02-13 | 腹腔鏡
3つ目のこだわりは、Myoma Pseudocapsule(MPC)を傷つけずに筋腫だけを核出することです。

Myoma Pseudocapsule(MPC)とは?
Myoma Pseudocapsule(MPC)とは、子宮筋腫に圧迫された正常子宮筋層が変化して生じた結合組織のことです。MPCには血管や神経が含まれており、創傷治癒に重要な役割を果たしています。

MPCを温存する重要性
子宮筋腫核出術において、MPCをきちんと温存することは重要であると報告されています。MPCを温存することで、
  • 術中出血量の減少
  • 術後の治癒促進
  • 子宮の収縮性の維持
などの効果が期待できます。とくに、挙児希望のある方や不妊症の方は妊孕性の保持が大事ですので、このことは重要です。

西梅田ラパロセミナーでの学び
当院で開催した西梅田ラパロセミナー(オンライン、Zoom)で2020年に西村良平先生にMPCについての講演をしていただいて以降、当院でもMPCをできるだけ損傷しない手技を取り入れてきました。その結果、大きな筋腫の核出時の出血量が半分以下になってきました。これは、本当に驚くべきことです。

偽閉経療法との関係
大きな筋腫や多発子宮筋腫の核出では、骨盤内が相対的に狭くなるため、偽閉経療法(レルミナ)を術前に行うことがあります。しかし、偽閉経療法を行うと、MPCが萎縮して核出が難しくなることがあります。そこで、当院ではバイポーラシザーズ等を使って、MPCをできるだけ温存する術式を行なっています。

MPC温存のメリット
MPCをきれいに温存できると、出血が少なく、核出部位が収縮するため、縫合も容易になります。子宮の治癒も早くなります。



腕の見せどころ
MPCをいかに温存できるかは、術者の腕の見せどころでもあります。筋腫は固くて核出しやすいものだけではなく、変性して柔らかくなっていたり、分葉して正常子宮筋層が筋腫内に食い込んでいるものもあります。子宮筋腫核出術は、患者さんの将来の妊娠・出産に影響を与える可能性のある手術です。
ただ、単に筋腫を引っこ抜く手術ではないのです。
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