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子宮内膜症、子宮筋腫に対する腹腔鏡下手術はどこまで進歩するのか?

子宮筋腫核出術への私のこだわり4 - 子宮の縫合修復 -

2025-02-17 | 腹腔鏡
前回は、子宮筋腫核出術における子宮壁の切開について解説しました。今回は、子宮筋腫を核出した後の、子宮の縫合修復についてお話します。子宮筋腫の核出がうまくできていると、核出した後の子宮は下の図のようになります。



多発子宮筋腫症例の筋腫核出直後の状態です。子宮の漿膜面・切開創・MPC(Myoma Pseudocapsule)を温存した核出創が分かるでしょうか?実際に図示すると下の図のようになります。



このような状態であれば、子宮は非常に縫いやすい状態になっています。だから、このような状態になるように核出することが、良い手術と言えるでしょう。(大きな子宮筋腫や多発子宮筋腫では、ある程度長期間偽閉経療法を行いMPCが少し萎縮した状態になっているので、簡単ではありませんが…)

縫合の重要性
さて、子宮筋腫核出術で一番大事なのは、子宮の縫合修復です。核出の際、層がうまく合わなかったり、縫合に時間がかかったりすると、術中出血量が多くなってしまいます。また、修復の方法によっては、術後血腫や仮性動脈瘤ができてしまうこともあります。核出が難しい症例では、そのリスクも高くなります。最悪の場合、将来妊娠した時に子宮破裂が起こったという報告もあります。

強い子宮を作る
子宮筋腫核出術は、単に出血が止まれば良いという手術ではありません。筋腫を核出した子宮は下の図のようになっています。縫合された子宮は、いつかの妊娠のために、胎児が子宮内で育つために強く引き伸ばされても耐えるだけの強度を維持しなければなりません。
そのためには、縫合の際に、
  • 核出創は核出創に
  • 切開創は切開創に
  • 漿膜面は漿膜面に
きちんと合わせることが重要です。当たり前のことですが、これが一番注意すべきことです。

子宮筋腫核出術は、患者さんの将来の妊娠・出産に大きな影響を与える可能性のある手術です。だからこそ、私は子宮の縫合修復にこだわり、患者さんが安心して妊娠・出産を迎えられるよう、最善を尽くしています。


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